今年の春から子どもを保育園に預けているのですが、入園準備にはかなり手こずりました。細かくサイズ指定された掛け布団カバーに敷き布団カバー、連絡帳のカバー、さらには布製バッグと、用意するもの目白押し! しかもそれらすべてに名前入れが必要。準備リストを見た瞬間「トホホ…」とリアルに声に出して嘆きました。ボタン付け程度の裁縫スキルしかない私がひとつひとつ手作りするなんて至難のわざ。しかもその時期は息子が生まれて3ヶ月足らず。毎日をこなすのに必死で、夜なべをする体力も気力もない…。
思いつく限りの言い訳を並べて夫に託そうとしたら、深夜に冷戦勃発。このままではらちが明かず、最終的には「金で解決や!」の一言で終結しました。布団カバーは通販サイトでオーダーし、布製バッグは市販のものを購入。さぁ、あとは名入れだけ。せめてそれくらいは自分でやろうと名前テープを買いに行って、ふと気がつきました。私も夫も字汚いんだった。殴り書きしなくても、殴られたような字しか書けないんだった。「は〜、こういう時にさっと刺しゅうでもできたらなぁ…」とボヤいていた矢先、紹介してもらったのが京王線の新代田駅近くにある「YACHT(ヨット)」でした。リーズナブルな値段で刺しゅうをしてもらえると聞き、家からそんなに遠くないので行ってみることに。
中に入ると、刺しゅうミシンとプリンタ、プレス機がデーンとお出迎え。BGMに紛れてミシンの音が響きわたり、工場のような雰囲気です。一瞬戸惑いましたがスタッフの方はとても気さくでした。店長のタウンゼンド 桃子 ドーンさんは、音楽レーベルのスペースシャワーミュージックでアーティストのグッズ制作を担当している方。予算の少ない若手ミュージシャンのために、バンドTシャツなどのグッズを低コストで制作販売しようと会社に直談判し、昨年末にヨットをオープン。小ロットでも単価が安く抑えられることが反響を呼び、予想をはるかに上回る注文が入ってきているそう。
余裕がある時は個人発注も受けていると聞き、バッグの名入れを相談したらやってもらえることになりました。全貌をお見せできず残念なのですが、ひらがな7文字にかわいい動物モチーフと星つきで、1,600円(刺しゅうの大きさによって価格は変わります)という驚きのプライス! なんてことない無地のバッグに刺しゅうするだけで、こんなにオシャレ度がアップするとは! たかが名入れ、されど名入れ。保育園でもママ友から褒めてもらえるので、さも自分で縫ったかのように自慢しまくっています。そして子どもに振り回されて心がかさついた夜には、この愛らしい刺しゅうを見てほっこり穏やかな気持ちを取り戻しています。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。