先週に引き続き、帰省先の京都のお話。東京暮らしが長いので、帰省と言っても毎回観光気分です。あらかじめ作っておいた「行きたい店リスト」を一軒ずつクリアするのが帰省中の楽しみのひとつ。であったのですが、子どもができてからはそうもいかず……。
つたい歩きをマスターした0歳児の我が息子、一段と目が離せなくなってきました。おまけにテーブルの上の物はすべて触ってナメナメしたい好奇心怪獣。たとえ行きたい店が子連れOKだとしても、お隣との間隔が広くないテーブル席の場合(たいていがこのパターン)、気を遣ってしまうのでゆっくり食べるなんてほぼ不可能。子どもを連れて外食するなら、座敷の個室があるお店が一番です。
京都のお店選びで悩ましいのは、“座敷の個室”という条件が付くだけでハードルが高くなってしまうこと。ネットでリサーチすると祇園や先斗町の高級和食店がどんどん出てきます。どこも非常に魅力的ですが、「ちゃうねん、ちゃうね〜ん!」とひたすらページをスクロール。もっと気軽に子連れで入れて、なおかつ京都らしさも堪能できて、それでもって座敷の個室がある店はないもんかねぇ……と超わがまま検索を根気よく続けていたら、なんとありました!
平安神宮や聖護院の近くにある「西尾八ッ橋の里」。え? それって八ッ橋を売っているお店のことじゃなくて? それが違うんですな。京都土産では有名過ぎる老舗「本家西尾八ッ橋本店」がプロデュースしている食事処なのです。
写真を見ていただければわかりますが、実に立派な門構え。本当に子連れで入っていいの? とためらうぐらい風格のある建物です。ホームページの情報によると、もともとは大正時代に建てられた財界人の邸宅で、そこを本家西尾八ッ橋さんが買い受け、5年前にオープンしたそう。
靴を脱いで玄関を上がると仲居さんがお出迎え。乳児がいる旨を伝えると、広い続き間の奥にある個室に案内してもらえました。大人が6名ほど入れるゆったりした和室で、ほかの席とは少し離れたところにあります。そうそう、この程よい隔離感! これならうちのあばれる君が多少動きまわったりシャウトしても周りの迷惑にならずにすむわ〜と、腰を下ろしてホッとひと息。さらに感動的なのは、部屋からとても美しい庭園を眺められること! 大木や池など、まさに京都らしい風情ある景色が目の前に広がり、まるで高級旅館に来たような雰囲気を味わえます。
手入れの行き届いた庭園はそれだけで観覧料が取れそうなほど。お料理もそれなりにお高いのでは? と思いきや、メニューはカジュアルで値段も良心的。私がいただいた抹茶わらび餅は800円でした。もっちりプルンとした食感と、広がる抹茶のほろ苦さ。「ええどすな〜」と言いたくなる美味しさです。ほかにも京風うどんやオムライスなど、手頃な食事メニューがそろっているのも嬉しいポイント。
歴史ある邸宅で庭園を眺めながら心安らぐひととき……。あれ? そういえば子連れなのに、めちゃ贅沢な時間を過ごせたんですけど! さっそく地元のママ友たちにラインで報告。次回はここでママ会をしようと約束し、私は息子とともに東京へ戻ってきたのでした。そして今、ノンアルコールビールと枝豆をつまみながら、狭いリビングで夜な夜な原稿を書いております。これが現実なんですよね〜(笑)。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。