「サロン選びは、物件探しと似ている」。あるとき美容師の友人にそう言われて、妙に納得させられました。いくらデザインや機能性に優れた物件でも、自分好みでなければ住みたいとは思えない。美容室やネイルサロンもそれと同じで、たとえ技術力やデザインセンスに定評があっても、仕上がりに満足できなければ、また来たいとは思えない。つまるところ、どちらも「好み」の比重が大きいということでしょうか。
日本にある歯科医院の数は、コンビニのそれより多いという話を聞いたことがありますが、サロンの数も負けず劣らずだと思うんですよ。表参道をはじめ、原宿、渋谷、恵比寿、代官山、中目黒、下北沢に吉祥寺。都内だけでも美容室激戦区、いくつあるんですかね。これだけ街じゅうにひしめいていると、自分に“本当に”合うサロンを見つけるのって、宝くじが当たるくらい難しいような気がします。
私自身、東京暮らしを始めて15年近く経ちますが、ドンピシャで自分好みだと思える美容室には、まだ出会えていません。ただ、ネイルサロンに関しては運命的な出会いがありました。
あるブランドの展示会で、プレスの方の指先を見た瞬間、ハッとしてグッときたんです。「そのネイル、めちゃめちゃ可愛いじゃないですか!!」。大仰ですが、こんなに他人のネイルにときめいたのは初めてでした。聞けば彼女が通っているのは「111 NAIL」(@111nail_omotesando)というサロンらしい。ちょうど友人の結婚式もせまっていたので、その場ですぐさまネットで調べ、予約しました。
南青山の路地裏のビル内にある、隠れ家のようなプライベートサロン。オーナーの中島さんとはもちろん初対面でしたが、初めてとは思えない不思議な感覚がありました。
「今日はどんな感じにしましょう?」
「えっと、朝焼けの空みたいな……」
「あーいいですね! 似合いそう。ポップでキュートというよりは、モードで静かな朝焼けがお好みですよね?」
「はい、そうです!」
「じゃ、色のせていきますねー」
どうです、このスムースな流れ。初対面ですよ? ざっくりしたオーダーを一発で理解してくれたうえに、会って数分で個性や好みをわかってくれる。もう安心感ハンパないですよ。
仕上がりを見て、中島さんのセンスに改めて脱帽しました。たくさんの色を不規則にのせていくことで、絶妙なニュアンスカラーが生まれます。指先ひとつひとつの色味に少しずつ変化があって、まさに朝焼けのようなグラデーション。ファンタジックでモードな色使いにも惚れ惚れ! あまりの満足感に、自分の爪ばかり見つめてしまう帰り道でした。
毎日の家事や育児で、セルフネイルはほとんどできないのですが、いざというときは111NAILに行けば間違いない。この存在感は、私にとってかなり大きいです。なんだか人生を共にできる友人が一人増えたような気分で、ホクホクした夜なのでした。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。