全国の”ねないこ”たちへ #深夜のこっそり話 #1117

毎日じとじと鬱陶しい季節ですが、7月は大好きな絵本作家の展覧会が開催されるので、そのことを思うと心にそっと晴れ間が差し込みます。

今夜ご紹介したいのは、76日から始まる「せなけいこ展」。ちょっぴりシュールなおばけが出てくる「ねないこだれだ」は、誰もが一度は読んだことのある超名作ですよね。私がこの本を読んでもらっていたのは物心つくかつかないかの頃だったはずなのに、大人になって読み返してもその内容を驚くほど鮮明に覚えていました。それは私の記憶力が云々じゃなくて、何十年経っても心に残るくらい、この作品に強烈なインパクトがあるということなのでしょう。

絵本の最後に女の子がおばけの世界につれていかれるのですが、それって今読むとなかなか恐ろしい結末だなと思います。でも、うちの子に読んであげるとまったくそういう風に感じていないんですよね。怖がるどころか、おばけの世界にとんでいけるなんてめちゃ楽しそう! という好奇心むき出しの目をしているんです。

大人が読むと「夜は早く寝なさいよ」というしつけのメッセージを含んだ話しだと思ってしまいますが、子どもにとっては「夜遅くまで起きているとおばけに会える!」という未知の楽しみを教えてくれる絵本。その決定的な違いに気づいたとき、大人になるってつまらないなとしんみりさせられました。私も小さい頃は、この本を読んで息子と同じように目を輝かせていたのかしら…。

「せなけいこ展」では、「ねないこだれだ」をはじめとする「いやだいやだの絵本」シリーズ4作の原画が、物語の全ページ分公開されます。パッと目を引く色使いやあたたかみのある貼り絵の質感など、せなさんワールドが原画で味わえるなんて想像しただけでときめきます! 会場には子ども向けのコーナーも用意されるので、親子で存分に楽しめそうですよ。

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エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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