数年前、こちらのコラムで、mixiの冬眠アカウントにログインして見つけた痛々しいプロフィールについて書きました。その話には続きがありまして。パン好きである私は、パン絡みのコミュニティで“パン愛”、特に思いを馳せ続けている食パン(&クロワッサン)について熱く語っていたのでした。SNSが今よりずっとクローズドだったことも手伝ってか、コメントの熱量が高すぎで、読み返して自分で自分にヒキましたね……。
あれからX年。昨今の食パンの進化とバリエーションといったらありませんよね。行列店、専門店が後をたたず、私もおいしいとの噂を聞きつけては東へ西へと足を運んでいます。そんなとある土曜日。趣味の習い事のあと、横浜そごうのデパ地下を巡礼していたら、こじんまりした棚に「100時間超熟成」の文字が。「天然酵母のパン あこべる」の食パンです。見れば素朴ながら白い柔肌のような生地がとても“いい顔”している。手に取れば張るというよりしっとりした弾力があり、大人の色気も感じる。原料はピュアで、小麦粉、酵母、砂糖と食塩のみ。迷わず買いました。
トーストは朝が似合いますが、翌日まで待てずその日の夜に賞味したところ、あら、びっくり。予想を上回るおいしさに、味覚処理がおいつきません。私の食パン判定項目には、「耳のおいしさ」「小麦の甘み」といった味覚点、「トーストしたときの香り」「歯切れ(食感というより)」といった芸術点があるのですが、それらすべてがバランスよく、今シーズンの最高点を記録。サクッとした軽やかな噛み心地の後に、もちっとした生地とともに熟成された小麦の甘みがじわーっと広がる。その一連の流れがクセになり抗えず、夜なのに見事に全て完食してしまいました。3枚入りだったからよかったものの、これが一斤あったら……(以下、省略)。
次の日もまた次の日も、その味と風味が忘れられず、翌週の習い事の稽古の後は、足早にデパ地下へ直行。お目当てのパンと、さらには「ボルディエ」のバターもゲット。お散歩コースにあるお気に入りパティスリー「PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI」のコンフィチュールのシーズンフレーバー「KAKI(柿)」を購入し、万全の態勢で、日曜のブランチに挑みました。おともは、すでに名作と名高い朝ドラ『スカーレット』(#録スカ)。いみじくも、戸田恵梨香さん演じる喜美子と、松下洸平さん演じるハチこと十代田さんが気持ちを通わせる回。朝ドラ史上に残ると言われている告白シーンを前に、パンの甘みが増した気がしました。喜美子に続いて私も叫びました。「好きやねん、ウチ、あんた(食パン)のこと!」。物語は来週も見せ場が続くよう! ミッコー&ハッチーの恋の炎が燃える様を、超熟成食パンをお供に、#録スカではなくリアタイで、毎朝見守りたいと思います。
食べること、カラダを動かすこと、旅することが大好物のアクティブ派。その反動か、ワードローブは甘め嗜好。花柄アイテム&ワンピースがクローゼットを占拠しています。