毎晩9時に息子を寝かしつけるのですが、不覚にも一緒に寝落ちしてしまうことがままあります。そういう時に限って悪い夢を見て、ハッと目覚めたら深夜0時。「ヤバい、SKB(本コラムの略称)の原稿、今日までだった」と思い出し、冷や汗たらり……。こういう最悪の寝覚めから唯一救いの手を差し伸べてくれるのが、とっておきの「お夜つ」なんですよね。
母乳育児を終えてから体重がうなぎのぼりなので、動物性脂肪たっぷりのスイーツはしばらく控えることにしたんです。って、いやいや、質の問題じゃないでしょ。そもそも夜中にあれこれ食べるのがいけないんでしょうが。心の鬼が身を責めるも、目の前にある竹皮包みの紐をほどく手は、「もうどうにもとまらない〜♪」のです。
麻布十番の商店街のはずれにある、「呼じろう」のおいなりさん。知る人ぞ知る手土産の名品ですが、ほかの誰でもない、自分のために買ってきました。
笹の上に礼儀正しく並ぶ、黄金色のひと口サイズ。ガリも葉できれいに包まれています。あまりに美しいので、関西人の私は「べっぴんさんやなぁ」とポツリ。元役者の店主が、楽屋見舞いをイメージして考案したというのも納得です。その品のよさといったら、スッピンの寝間着姿で食べるのが申し訳ないほど。おいなりさん、かたじけない、今宵の舞台は一般家庭のリビングにござりまする。
呼じろうのおいなりさんは、揚げが袋状ではなく、ご飯にくるりと巻かれているのが特徴です。使われているのは、熊本名産の「南関揚げ」。確かな歯ごたえがあって、頼もしい。出汁をしっかり吸い込んでいて、噛むたびに旨味がジュワッとにじみ出てきます。その粘り強さ、さすが肥後もっこす。
揚げのジューシーな甘みとまろやかな酢飯、胡麻の香りが三位一体となり、絶妙なバランス。途中でお茶を挟むのがもったいないくらいの、完璧な余韻。中の具材も、胡桃やカニ味噌など、バラエティに富んでいるのがまた憎いんですよ。
竹皮包みは8コ入り。半分だけ食べて、あとは夫に残しておくつもりだったのに、結局6つも食べてしまいました。この止まらぬ食欲、本気でどうにかしたいわ……。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。