猛暑続きで薄手のワンピースしか着られない日々ですが、脳内ワードローブはすっかり秋冬モード。本来なら表参道や銀座へ繰り出してパーッとショッピングしたいところですが、そのためにわざわざ外出するのも今はちょっと気が引けます。電車に乗るのは避けたいけど、自宅から自転車圏内でなおかつ保育園のお迎えついでに立ち寄れる店なら! という独断のもと、下北沢のヴィンテージショップ「KALMA(カルマ)」へ電動自転車を走らせました。
下北沢といえば若者向けのジャンクな古着屋がひしめく街ですが、カルマはその中で一線を画す存在です。ヴィンテージ好きに限らずファッションプロも厚い信頼を寄せるインディペンデントなショップで、その感度の高さは、静かな裏道に身を隠すように佇む店構えが物語っているようにも思えます。店内は、ヴィンテージとセレクトブランドが違和感なく共存するコンテンポラリーな空間。本当にその境目がわからないほどシームレスに調和していて、唯一無二の世界観が確立されています。バイヤー兼ディレクターの溝口翼さんのセンスには脱帽のひとこと。
さて、行けば欲しいものが必ず見つかるのもこの店の憎いところです。今回私が購入したのは「PHOTOCOPIEU(フォトコピュー)」の新作。ラックに飾られたヌーディカラーのドレスにひとめぼれしました。イザベル マランやヴェロニク ルロワで経験を積んだ竹内美彩さんが手がける新鋭ブランドです。カルマではデビューコレクションから取り扱っており、ずっと気になりつつもタイミングを逃してきたので、ついに念願叶ったり。
ネックラインにギャザーをあしらった、アカンサス柄のジャカードドレス。ヴィクトリアンなムードを醸しながらも、細身のシルエットと落ち感のある生地でモダンに仕上がっています。ロマンティックな要素をほどよく削ぎ落としたルックスが、今の気分に抜群にフィットしました。何より感動したのは着たときのラインの美しさ! ドレープがとてもエレガントで、「私ってこんな女性らしい体だったっけ?」と鏡を見て驚きました。そしてその試着姿に静かに「いいね!」のポーズをとる溝口さんの笑顔にも後押しされ、そのまま流れるように会計を済ませました。
ここ最近はオンラインショッピングに頼りっきりでしたが、好きな店に足を運んでそこの空気感に浸り、信頼できる人と話を交わしながら選んだ服を着る高揚感は、何ものにも代えがたいですね。実体験が伴うと、その服への愛着も一段と増す気がします。近所に素敵な店があってよかったなとホクホクした一日なのでした。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。