陶作家がつくる一点物の香立て #深夜のこっそり話 #1388

はじめて太田浩子さんの陶芸作品に出合ったのは1年ほど前。京都のセレクトショップ「keiokairai(ケイオカイライ)」でした。川原に流れ着いた石のようにも、柔らかな雲のようにも見える。形の定まらない不思議なオブジェが店内を浮遊するように展示されていて、そのなんともいえない表情に一瞬で心を奪われてしまいました。

ずっしりと重みのある、乳白色やベージュのぽってりとした物体。大きさも形もひとつとして同じものはないけれど、どの作品にもそっと触れたくなる人懐っこさがあり、同時に大切な何かを守っているような力強さも感じます。「ぜひ我が家に迎え入れたい!」という衝動に駆られたものの、そのときはお気に入りをじっくりと選び抜く時間がなく、やむを得ず断念したのでした。

東京に戻ってきても諦めがつかず、オンラインでの購入も考えましたが、やはり一点物の作品は実物を手に取り、「これだ!」という確かな感覚を得たいもの。欲しいのになかなか手に入れられないもどかしさを内に秘めたまま、太田さんのインスタグラム(@hiroko_utouto)をフォローし、次なる好機を待つ日々がしばらく続きました。 

ようやく都内で再会できたのが、つい先日の話。祐天寺にあるセレクトショップ「steef(スティーフ)」(@steef_yutenji)で、限定数ながらも取り扱いが始まるというではありませんか。しかも今回は、小ぶりな香立てもお目見えするとのこと! このチャンスを逃してなるものかと、販売初日の開店時刻に合わせて店へ向かいました。

店内には、1年前にひとめぼれしたあのオブジェがずらり。私にとってはまさに夢のような光景でした。じっくり、たっぷり吟味しながら選んだのは、平べったい皿のような香立て。太田さんの手の温もりが伝わってきそうないびつな造形と、釉薬の柔らかく繊細な表情、ややざらつきのあるマットな質感、両手にすっぽり収まる愛らしいサイズ。すべてがしっくりきて、最終的にはこれしかないと思える一品でした。

香立てといっしょに、「東京香堂」のインセンスのアソートセットも購入。フランスで調香を学んだペレス千夏子さんによるブランドで、日本の伝統的な線香の香りをベースにしながらも、西洋の香料が巧みに取り入れられています。奥ゆかしくも現代的な香りで、太田さんの香立てとも相性抜群。久々に、心から満たされる買い物ができました。

太田浩子さんの作品は、スティーフ店頭にて販売中。3月20日(土)以降はオンラインショップにも掲載予定ですが、それまでに完売する可能性も大いにあります。気になった方はどうぞお見逃しなきよう!

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エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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