出合いのきっかけは伊勢丹新宿店。特に目当てもなくふらりと立ち寄った3階のザ・ステージで、たまたま開催されていたのがCFCL(シーエフシーエル)のポップアップでした。ラックに並ぶのは、シンプルだけれどユニークなシルエットのピース。あのイッセイ ミヤケ メンのデザイナーを務めた高橋悠介さんによる新ブランドですから、素通りできるわけがありません。
引き寄せられるように近づき、手に取ってまじまじと見てみると、どれも細やかな編み目のニット生地。ただ、素人目に見てもそれが普通のニットではないとわかります。「お主、何者!?」と言わんばかりに、その不思議な質感の素材としばらく対峙していると、親切な店員さんが教えてくださいました。「ペットボトルが原料のリサイクルポリエステルを使用していて、コンピュータープログラミングニットで作られているんです」
情報量が多くて一瞬くらっとしますが、コンピュータープログラミングニットとは、言うなればニットの3Dプリンター。専用機械を駆使して1本の糸から1着の服を丸ごと編み上げる技術のことです。従来のニットのようにパーツを縫い合わせる工程がなく、無縫製のシームレスな着心地が特徴。「今すっごく売れてるんですよ」という店員さんの極め付きのひと言により、試着もしてその気になったのですが、うっかりエムアイカードを忘れてしまってその日は結局買わずじまいでした。
CFCLの代表作でもある「ポッタリースカート」¥46,200。ふわりと広がるフレアシルエットは、シンプルながらもはくだけでサマになります。
その後も「すっごく売れてる」が脳内にこだまし続けながらも、買うタイミングを逃してきてしまいました。ですが先日、クリエイティブディレクターの高橋さんにインタビュー する機会に恵まれまして、やっと意を決してオンラインストアでポチリ。満を持して取材当日に着て行くつもりだったのに、配送に思いのほか日数がかかり、取材当日に間に合わないという凡ミス発生。自分の詰めの甘さにほとほと呆れつつ、紆余曲折を経てこのたびようやくワードローブに迎えることができました。
マイ・ファースト・CFCLは、過日のポップアップで試着した「ポッタリースカート」。ふんわりと丸みのある壺のような造形がポッタリー(陶器)たる所以です。ニットとは思えない立体的かつソリッドなシルエットに、改めて惚れ惚れ。たっぷりと量感がありながら、着ると意外にも軽やかで、ストレッチ性も抜群にあります。程よくモードで緊張感のあるデザインですが、着心地はストレスフリー。しかもニットなのに洗濯機で普通に洗えるんです。再生ポリエステル100%なので、速乾性があってシワにもなりにくく、ケアがラク過ぎて感動のオンパレード!
10月にオープンした旗艦店「CFCL OMOTESANDO」のオープン記念にいただいたミニバッグ。過去1年間の生産で発生した再生ポリエステルの残糸が使われています。
ちなみにCFCLとは「Clothing For Contemporary Life」の略で、「現代生活のための衣服」という意味。まさに「名は体を表す」で、現代のライフスタイルに馴染むように考え抜かれたデザインであることを実感させられます。地球環境問題や社会問題にもかなり先進的に取り組んでいるブランドなので、ぜひインタビュー記事もあわせて読んでみてください。