きれいな嘘とは? 【写真家・立木義浩】さん最新刊とアート散歩 #深夜のこっそり話 #1758

久々に興奮する写真集に出合いました! フォトグラファー立木義浩さんが近年、東京都内を中心に撮りためたスナップ群をまとめた一冊で、なんとも興味を惹かれるのがその構成!

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立木義浩最新刊『七つの真実にまさるひとつのきれいな嘘を』(アイ・イメージング・フラッグ発行)¥2,970

10~50代、6名の編者がかかわっており、なんでも立木さんのスナップ約1,000枚を手渡され、16p自由に構成してねと言われ、出来上がったという過程もなんともユニーク!

高校生のスケーター・写真家の中嶋琉平さんや吉祥寺の写真集専門店book obscura(ブックオブスキュラ)店主の黒崎由衣さん、アートディレクター、編集者など編者の方々も個性豊か。

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こちらは、ブックオブスキュラ店主黒崎由衣さんのパートより。まるで映画のワンシーンのようなストーリーを感じる写真が連なる。

車窓からの写真でまとめられた「窓から少年の悪戯」、モノクロームな世界観の「無意識との出会い」といった編者それぞれの視点を表すタイトルや、レイアウト、紙まで異なり、こんなに切りとり方で見え方が変わるんだ!と写真集の楽しさが凝縮、可能性を感じさせてくれる一冊です。

と、ここまで興奮ポイントを色々書いてしまいましたが、全体を通して圧倒されたのは、御年85歳ながら常に第一線で活躍されてきた立木さんの写真が持つパワー。スナップと侮るなかれ、今、その瞬間を切りとる強さはすさまじい。タイトルに“きれいな嘘”とありますが、リアルを超えたような芸術に昇華するさまは圧倒的です。

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写真集は3種の紙が使用され、テーマに合わせ表情が異なるのも面白い。真ん中のピンクの紙には、立木さんのインタビューを収録。

日々スマホを中心にさまざまな写真が流れてきますが、「異次元」とつぶやいてしまうような、ガツンと頭を殴られたような色々な衝撃をもらえますので、ぜひぱらぱらとのぞいてみてください。

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公園を散歩しながら、写真集を味わうのもおすすめ!

吉祥寺のブックオブスキュラでは、“立木義浩 写真展「TRUE?」”が2023年6月26日(月)まで開催中で、立木さんの在廊も予定されているとか(6月18日、6月24日)。店主・黒崎さんがセレクトした写真を、2種類の紙でプリントし並べて展示されているとのことで、そちらも見逃せません! 改めて“写真”というものを定義しなおす、アートな機会になりそうです。

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エディターSUGAWARA

ウェディングとファッション担当。淡々としてますが笑い声だけよくとおります。好きなものは夕暮れとボサノバとチョココロネ。

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