夜空にくっきりと浮かぶ満月やコオロギの鳴き声に、「あれ、そろそろ秋の気配?」と思いきや、「いやいや、まだまだ。ここからどれだけ粘れるかなんですよ」といった調子で、日本の暑さはけっこうしぶとい。頭の中ではジャケットやコートのことばかり考えている(というか仕事柄考えなければならない)というのに、あと1ヵ月くらいはTシャツ1枚で快適に過ごせそうで、もどかしい。そこで思い至ったのは、今こそサマーニットの出番なんじゃないか、いうことです。
サマーニット。それはコットンやリネンなど通気性の良い素材を使用し、薄くそして軽く編まれた涼しい衣服のこと。「サマー」と銘打たれてはいるものの、薄いニットって透けがちなので、実際に着るときはインナーを重ねなければならず、結果風通しが妨げられ、真夏には暑くて着れないという葛藤が数年前からありました。亜熱帯化が進む日本において、「サマーニットがサマーに着れない問題」とどう向き合うべきか。それはひとえに「残暑の9月に着ればいい」ってことだと思うんですよ。
あの名画に着想を得た、コウタグシケンのニット

コウタグシケンの「SEE-THROUGH MONA」¥69,300。メイデンズ ショップで購入しました
Tシャツ一辺倒だった着こなしに変化をつけるためにも、薄くて軽いサマーニット、もとい、セプテンバーニットが着たい。ちょっとぐらいなら暑さを我慢してでも着たい。アース・ウィンド&ファイアーの『セプテンバー』が脳内再生されるなか、「バーディヤー♪」とクローゼットから引っ張り出してきたのが、写真のコウタグシケンのニットです。
ん? これはあの名画の? と思った方、大丈夫、正解です。「シースルー モナ」という名前が付いているので、正確には「モナさん」です。そして描いたのはもちろんダ・ヴィンチではなく、デザイナーのグシケンさん。
かねてよりグシケンさんのつくるシュールなニットのファンで、ちょこちょこ集めているのですが、今年新たに迎え入れたのがこちらのモナさん。春夏シーズンに買ったはいいが、暑すぎて着る機会に恵まれず、しばらく寝かせておきました。「そろそろ着れるかも」と思うと、モナさんの口角が心なしか上がったように見えてきます。
空気のように軽やかで、透け感も楽しめる

身長158cmの私は、最小サイズの1でジャストフィット。ゆるめに着たい場合はサイズ2でも良さそうです
とはいえ長袖ニット、まだちょっと早いのでは?と思いますよね。それが意外とそうでもないんですよ。というのもこの生地、じつは見た目以上に薄くて透け感があるんです。コットンとリサイクルナイロンを混紡した極細糸で編まれているので、重量感はゼロ。肌触りもさらっとしていて、空気をまとっているみたいに軽いんです。
ちなみにこの細くて丈夫な糸は、グシケンさんがイタリアの糸屋さんで見つけたものだそう。奇しくもダ・ヴィンチの故郷であるというのが、一段と口角が上がるポイントです。
さらにグッときたのが、モナさんの後ろ姿。 ある日、街中でこの後ろ姿を目にしたら、思わず追いかけていって顔を覗いてみたい衝動に駆られそう。そんなグシケンさんのあふれるユーモアに、またしても心を掴まれました。
ところでこのモナさんニット、全体的に漂うダークな雰囲気もすごく好みです。とういうのも、最近ネットフリックスドラマ『ウェンズデー』にハマっている私にとっては、今の気分にベストフィットなんですよね。髪の長さが足りなくて三つ編みおさげにできないのが悔しい。
あと自分調べですが、このニットを着ている日は、老若男女問わず声をかけていただくことが多いです。「それなあに、こわい〜」という子どもから、「あら面白い服ね」と興味津々のマダム、「原画よりも着用者に似てる」となんともいえない気持ちにさせることを言う高齢男性(父)まで、反応はさまざま。この1着をきっかけに、まあいろんな会話が弾みそう。9月はこのニットと『ウェンズデー』シーズン2とともに、楽しい秋の夜長を過ごしたいものです。
今回紹介した商品はこちら!
商品名
:
SEE-THROUGH MONA(BLACK)
色違いでオレンジもあり。メイデンズ ショップをはじめ、オンラインセレクトショップで販売中