──10代の頃は、モデルとしても活動していた中島さん。ファッションやメイクへの興味はいつ生まれたんでしょう。
中島美嘉(以下N):熱心にモデルを目指していたわけではないんです。正直に言ってしまうと、高校にあまり行きたくなくて(笑)。じゃあ何がしたいのかと親に聞かれたときに、ぽんと出てきたのが「モデルになりたい」という言葉だった。地方育ちで、周囲の人も私もファッション誌をほとんど読んでいなかったけれど、街を行く人たちを眺めて「あれがいいな」「これがいいな」というのを考えて試してみる感じで、ファッションを好きになっていきました。コーディネートの基本みたいなものは無視して、好きなものをかまわず着ていた。
──歌手デビュー後すぐは、茶髪にデニムといった格好をされていましたが、元々の中島さんのスタイルだったんでしょうか?
N:それがもう、真逆。仕事ではメイクでもヘアスタイルでもルールがすごく多くて、それを守っていました。
──覚えているものはありますか?
N:いっぱい覚えてます(笑)。私は、カラコン入れてブルーブラックの髪の毛をドレッドにして……というような格好が好きだったんですけど、ちょうどデビュー当時2001年頃は「ギャル」が流行ってたんですよね。みんな、ギャルに寄せさせられていた。髪は明るめの茶髪にして、たまにはストレートヘアにしてもいいんだけど、巻いているのが基本。舞台衣装は、白とデニムしかダメ。アイラインも引いちゃダメ。
──校則みたいですね。好きにできるようになったきっかけはありますか?
N:しばらくは真面目に守っていたものの、途中で「もう無理だ〜!」となって。あるイベントの2、3曲目で、髪をぐしゃぐしゃにして裸足になったんです。クビになってもいいやと思ったんですけど、そうはならず、そこから自分のスタイルに戻せるようになりました。髪も茶髪にするのをやめて、黒にしました。黒髪にしてると変な人だと思われるくらいの時代でしたけど、それですごくラクになりましたね。茶髪って、いちいち染めるのも面倒だったし……。
──中島さんが生み出したトレンドのひとつに、「ウルフカット」がありました。当時の女子高生は、みんな真似していたのを覚えています。
N:あれも私の髪質にすごく合ったスタイルで。てっぺんの髪をちょっと短く切ってみたら、どうやらクセがあったらしくて、奇跡的に立ったんですよ(笑)。洗ってそのまま乾かせばちょうどいい形になるので、定番になりました。そうやってちょっとずつ変えていくうちに、いつしかメイクさんにも目尻にキャットラインを黙って入れてもらえたり、遊びを入れたメイクをしてもらえるようになって。それで事務所も諦めはじめたのか、自分のスタイルでできるようになりました。
コスメもスキンケアも「使いやすさ」重視
──現在は、日々自由におしゃれを楽しんでいるようですが、プライベートと仕事のメイクで分けていることはあるんでしょうか?
N:あんまりないですね。キャットラインをがっつり引くのが、プライベートでも好きです。
──ファッションについてはヴィヴィアン・ウエストウッド、ヒステリックグラマーなどへの愛を発信されていますが、愛用のコスメブランドやスキンケアブランドなどはありますか?
N:メイクは、ほぼ「ADDICTION」です。発色が非常に鮮やかなのと、アイテムとして使いやすいのと、リーズナブルなのが好きで。
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──休息が一番の美容法ですね。髪の毛も、特別なケアはしてない?
N:肌と同じで、髪もものすごく強いらしいんですよね。ブリーチしても全然傷まない。かなり髪色を変えるので「ウィッグなの?」と聞かれることも多いんですが、ほとんどの場合地毛なんです。最近は、友人が作っている「E STANDARD」というヘアケアシリーズを使い始めたのですが、これも髪質にとても合っていて気に入っています。
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──このインスタグラムの写真を撮った場所は、お風呂ですか?
N:そうそう。母親が、カタログか何かでこのお風呂を見たらしくて、私の家のために「これがいい」って選んでくれたんですけど……すごく派手になっちゃって。浴槽がハート形なんですよ(笑)。
──すごくセンスあるお母様だと思います!
N:私がおしゃれ好きに育ったのは、母の影響は大きいと思います。すっぴんの姿を子供にもほとんど見せたことがない、いつでも赤い口紅を引いているような人です。メイクやファッションのスタイルもそっくりですね。会ったら必ず「それどこで買ったの?」と私の服について聞いてきます。
人に言いにくかったコンプレックス
──脚を出すのが嫌だったんですか?
N:そう。細くて貧相だったから。体つきが自分の理想に近づいてきて、自分のイメージ通りに着られる服の幅が広がったのが本当にうれしいです。
──かつての中島さんのように、自分に対してままならなさを感じている人に、メッセージをお願いします。
N:悩まない人は悩まない人でいいですけれど、私は悩んでいる人やコンプレックスのある人は、そのぶん美しくなれると信じています。向き合ったり乗り越えたりすることで見えてくるものってあるから。
中島美嘉HP
http://www.mikanakashima.com/
■聞き手・劇団雌猫
アラサー女性4人組からな
photography:Takeshi Takagi<signo> hair&make-up:Hirokazu Niwa<maroonbrand> styling:Tsuyoshi Kurata interview&text:Gekidan Mesuneko
トップス、スカート/ともに 5-knot(ESTEEM PRESS) パンツ/スタイリスト私物 ピアス/本人私物
祝・『雪の華』15周年!本人コメントで振り返る、中島美嘉ディスコグラフィー
※下の画像をクリックすると撮影エピソードが読めます!