香りを選ぶ方法、まとうコツ
自分に似合う香りがどんなものかわからないときや、フレグランスの好みが変わってきたときに頼りたいのがプロフェッショナルによるコンサルテーション。今回は定評あるブランドの二人に選ぶ基準を学ぼう。
嗅いで、試してを繰り返し、オンリーワンを絞り込む
"ニッチラグジュアリー"というフレグランスブームの牽引役のひとつ、アルゼンチン発のパフューマリー「フエギア1833」。コンサルテーションは約60〜90分程度。香りの嗜好やライフスタイル、性格などに関する20問程度の質問に答えることからスタート。その答えをもとにスタッフが選んだ3〜4種類の香りを吹きつけたフラスコを嗅ぎ、苦手なものをはずしていく。その工程を複数回経て、最後に残ったものが、今の自分の気持ちにぴったりのフレグランスとなる。
春薗さん曰く「ビギナーで、自分の嗅覚でフレグランスを選べない方におすすめです。香りの好みが短期間で大きく変わることはないので、頻繁に行う必要もありません。2回目を受けるときは結婚や出産、引っ越しや転職などライフステージに劇的な変化があったときがいいですよ」。
また、フレグランスの正しいつけ方のアドバイスも。「空間にシュッと吹きつけて、その中をくぐるというつけ方が提案されることがありますが、あまりおすすめしません。リチュアルとしてならいいのですが、香水の粒子は非常に細かいので衣服などの繊維の上は滑ってしまい、意味がありません。肌の水分量やpH値、体温でも変わるので、素肌に直接つけるほうがいいですね」
※コンサルテーションは事前予約必須。受け付け開始は公式ホームページよりご案内。
ブランドが日本に上陸した2015年当初からグランドハイアット東京の六本木店のマネージャーを務める。現在120種余りあるフエギア1833のフレグランスを熟知。香りを表現する言葉が美しく、その接客にファンも多い。
肌がもともと持っている匂いと相性のいい香りを探す
「ダウン パフューム」は香りスタイリストでディレクターの杏喜子さんが手がけるブランド。アメリカ・コロラド州在住の調香師ドーン氏と出会い、2008年にスタートした天然香料で作ったナチュラルフレグランスを提案する。不定期に行なっている"SMELL&TELL"というパーソナルコンサルテーション(※要予約 ¥12,000)はすぐに予約枠が埋まってしまうほどの人気。
杏さん曰く「肌にはもともとその人が持っている匂いがあり、その上に香りを重ねるので、同じフレグランスでもつける人によって香り立ちが変わることがあります。肌の匂いは大きく分けて約9種類あり、日本人は甘く香る"スウィート"、石けんのような香りの"ムスク"が多く、ほかにノートを大きく変化させない"ニュートラル"、どんな香りも落ち着かせてしまう"ウッディ"などがあり、匂いの特性によって相性のいい香りがわかるというものです」。
たとえば、スウィートタイプがバニラや花の甘い香りをつけてしまうと過剰に感じられる傾向にあるため、甘すぎないものがいい。また、ムスクタイプは飛びやすいシトラス系の香りも比較的長く香る肌のため、トップからミドルに比重のある香りと相性がいいと杏さんは語る。香調自体が好きで選んだフレグランスを、自分でまとうとピンと来なかった経験がある人にピッタリだ。
地球に優しい名香を知る
天然香料や環境に配慮したパッケージの採用、動物実験の禁止などフレグランス界にもSDGsの流れが到来!化学溶媒を必要とするアルコールではなく、ウォーターベースの水性香水の人気も高まっている。