1967年に創刊して以来、多くの音楽ファンたちから支持され続けている米音楽雑誌『ローリングストーン』。毎年、その年にリリースされたアルバムの中から、売り上げ関係なく“最も優れた作品”という価値観から成るランキングを発表している本誌。そんな「年間ベスト・アルバム50」が発表され、その順位に大きな注目が集まっている。
Photo : Instagram (rollingstone)
堂々1位に輝いたのは、今年4月にリリースされたビヨンセの6枚目となるアルバム『LEMONADE』。2013年に発売された『BEYONCE』以来、多くのファンが待ち望むなか、全くの予告をなしにサプライズ発表された本作。本国ではテレビ局「HBO」がリリース特番を組み、大きな話題を呼んだ。
リリース時のサプライズ演出はもちろんのことだが、さらなる騒ぎを巻き起こしたのがその内容。アルバムに収録された全12曲では、夫ジェイ・Zの浮気やその相手、さらに怒りから許すまでの過程を赤裸々に投影。「いい髪をしたベッキー」と描写されたジェイ・Zの浮気相手は誰なのか?というニュースが、連日メディアを賑わせた。
さらに本作では、女性として自立することの大切さ、黒人差別などにまつわる問題も提起。『ローリングストーン』誌はビヨンセが発信する怒りや悲しみは恋愛にまつわる感情に限らず、アメリカが抱えるあらゆる問題に対する、国民の感情を表していると論じ、パワフルなメッセージ性を高く評価した。
Photos : Instagram (beyonce)
2位に輝いたのは、今年1月10日に突然の死が報じられたデヴィッド・ボウイの『ブラックスター』。亡くなる2日前にリリースされた本作品。自らの死期を悟っていたデヴィッドが、ファンへの最後のメッセージを込めたと語られている。そんな強い想いが伝わってか、デヴィッドにとって初となる全米チャート1位を記録。
本誌は2位になった理由を“50年以上もロックンロールの世界で活躍しながら、まだ人々に衝撃を与える新しい方法を持っていた”と語り、大スターの遺作を“我々にとってのインスピレーション、そしてチャレンジだ”と表現した。
Photo : Instagram (davidbowie)
11位には、ビヨンセ妹のソランジュによる『A Seat at the Table』がランクイン。これまで偉大な姉の影に埋もれがちだったが、本アルバムで高い評価を受け、アーティストとしての知名度がグンとアップ。女性アーティストとしては2位のランクに着き、姉妹で上位と独占。“ノウルズ一家”の持つパワーを世間に見せ付けた。
Photo : Instagram (saintrecords)
20位までのランキングは、以下の通り(アルバム名はすべて原題)。
1位 ビヨンセ『LEMONADE』
2位 デヴィッド・ボウイ『Blackstar』
3位 チャンス・ザ・ラッパー『Coloring Book』
4位 カー・シート・ヘッドレスト『Teens of Denial』
5位 フランク・オーシャン『Blonde』
6位 レディオヘッド『A Moon Shaped Pool』
7位 ローリング・ストーンズ『Blue & Lonesome』
8位 カニエ・ウェスト『The Life of Pablo』
9位 レナード・コーエン『You Want It Darker』
10位 ヤング・サグ『Jeffery』
11位 ソランジュ『A Seat at the Table』
12位 ポール・サイモン『Stranger to Stranger』
13位 マレン・モリス『Hero』
14位 グリーン・デイ『Revolution Radio』
15位 LVL UP『Return to Love』
16位 ミランダ・ランバート『The Weight of These Wings』
17位 パーケイ・コーツ『Human Performance』
18位 The 1975『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful yet So Unaware of It』
19位 ダニー・ブラウン『Atrocity Exhibition』
20位 ニック・ケイヴ & ザ・バッド・シーズ『Skeleton Tree』