フランスで開催中の第71回カンヌ国際映画祭。14日(現地時間)、女優のクリステン・スチュワートが、突然ハイヒールを脱いでレッドカーペットの階段を裸足で駆け上る一幕があった。また過去には2016年の同映画祭で、ジュリア・ロバーツが裸足になってレッドカーペットを歩き、注目を集めたことも。女優たちの“裸足抗議”が意味するものとは? これまでの経緯をふりかえる。
フランスで開催中のカンヌ国際映画祭で14日(現地時間)、女優のクリステン・スチュワートが突然、履いていたハイヒールを脱いで、レッドカーペットの階段を裸足で駆け上る一幕があった。
今年の同映画祭で審査員を務めているクリステンはこの日、スパイク・リー監督の新作『BlacKkKlansman(原題)』のプレミアに出席。スタッズがまぶしいシャネルのミニドレスとクリスチャン ルブタンの黒のハイヒールという出で立ちで登場したクリステンは、レッドカーペットでフォトコールに応じていたが、階段に差し掛かるやいなや、突然ハイヒールを脱いで裸足に。そして足取り軽やかに階段を駆け上り、上映会場へと消えていった。
実はこの、ハイヒールをめぐる女優たちのアクションには歴史がある。ことの発端は、2015年の同映画祭でのこと。映画『キャロル』のプレミアに参加する予定だった女性たちが、ハイヒールを履いていなかったという理由で入場を断られるという事件が発生。入場を許されなかった女性たちの中には足が悪いという身体的な理由からハイヒールを履けない女性もいたそうで、この事件が明るみに出て以降、「男性はフラットシューズを履いているのに、女性はハイヒールを履かなければならないなんて不公平」「男女みなにフラットシューズを! 」と服装規定におけるジェンダーギャップを批難する声が高まり、事件は大論争に発展した。
翌2016年の同映画祭では騒動に一石を投じるように女優のジュリア・ロバーツがレッドカーペットを裸足で闊歩。主催者側は、ハイヒールの着用を女性に義務づける規則はないとしているが、メディアでは「悪名高いカンヌのドレスコードのルールを破った」と称賛を集めた。
服装規定について2016年には「カンヌのレッドカーペットには厳しいドレスコードがあるけど、もはやそれは通用しないと思う。数年前には疑われることすらなかったドレスコードが、今じゃ人に強制できないものになってる。だって男性にハイヒールやドレス着用を要求できないのなら、私に同じ要求はできないもの」と語っていたクリステン。強い思いを胸に、ジュリアに続いて身をもってカンヌの不文律にNOをつきつけたのだった。
また12日(現地時間)には、映画業界のジェンダー平等を訴えるために今年の審査委員長のケイト・ブランシェットをはじめ、映画関係者の女性82人が集結。賃金の男女平等などを訴えてレッドカーペットを行進した。なお、クリステンはこちらの抗議運動にも参加している。数年前には当然のことと捉えられていた映画祭の“ハイヒール不文律”に疑問の目を向けて、ジュリアやクリステンがNOの意思を示したように、各地で盛り上がりを見せる“Time's Up(=もうこれまで)”運動。今後、女性映画監督や女優たちがさらなる活躍をみせることを願いたい。