女子テニスの人気プレーヤーのひとりで、その美貌から「妖精」と呼ばれたマリア・シャラポワ(32)が、米雑誌のウェブサイトにエッセイを寄稿し、現役引退を発表した。
2020年2月26日(現地時間)、人気女子テニス選手のマリア・シャラポワ(32)が、米雑誌のウェブサイトにエッセイを寄稿。
「今まで知っている唯一の人生からどのように去ればいいの? 子どもの頃からトレーニングしてきたコート、語り尽くせない涙と喜びをもたらしてくれたゲーム、家族やファンを与えてくれたスポーツから、どう離れればいいのかわからない」と戸惑いを覗かせながらも、「テニスにさよならを言います」と現役を引退することを明らかにした。
マリアは2004年、17歳でウィンブルドン選手権女子シングルスで初優勝し、その美貌と闘争心あふれるプレーで世界を魅了。これまでグランドスラムと呼ばれる世界四大大会で、5度も優勝した実績を持つ。
しかし、2016年の全豪オープンテニスで行われたドーピング検査で陽性反応が出たため、5カ月の出場停止処分を受けたマリア。復帰後も肩の故障に悩まされ、今年1月の全豪オープンテニスでは初戦敗退に終わっていた。
そんなマリアはエッセイでロシア・ソチに住んでいた4歳の時、父親がプレーするのを見てテニスと出会ったこと、6歳でアメリカ・フロリダに移り、練習に打ち込んだことや、グランドスラムの思い出などを回顧。
「過去を振り返らず、将来に期待もしなかった。ただ厳しいトレーニングを重ねることが、信じられないところに自分を押し上げてくれると信じていた」と語り、テニス界での華々しい成績は、努力の積み重ねであることを明言した。
さらに「私の最大の武器は不屈の精神力で、どんなに相手が大きく、自信に満ちていて、私より上手くても耐えられた」と綴っている。それくらい強いメンタルを誇ったマリアだが、その間、自分の心の奥の声にも注意深く耳を傾けながらプレーしてきたとか。
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そのために、身体が「最終通告」を出したのを受け入れることができたとのこと。その通告のひとつが、長年抱えていた肩の故障。
何度も手術を受け、さまざまな治療も行ってきたものの、2019年8月の全米オープンテニスではコートに出られただけで、もう勝ったような気持ちになってしまったという。それほど、身体はボロボロだったと告白している。
そして「私はテニスに人生を捧げ、テニスは私に人生をくれました。これからもコート、トレーニング、私のチーム、コーチを恋しく思うでしょう。テニスは私にとって、谷と回り道ばかりの山でした。でも頂上からの景色は素晴らしかった」と、これまでのテニス人生を総括したマリアは「でも私は次の山、つまり異なる分野で闘う準備はできています」と決意を表明。
当面は家族との時間、休暇、そしてダンスレッスンを受けたりして過ごすのを楽しみにしているそうだが、「次に何をするにしろ、テニスで鍛えた集中力、勤勉さ、そしてテニスで学んだ教訓を持って、これからも自分を追い込み、成長し続けるわ」と力強く宣言。今後は一体どんな分野で戦いを挑むのか、注目したい!