『クレイジー・リッチ!』のコンスタンス・ウー、プロデューサーからの性被害を告白。「アジア系アメリカ人の恥であり、自分がいない方がいいと考えた」過去を赤裸々に語る

台湾系アメリカ人の俳優コンスタンス・ウー(40)がインタビューに応じ、自身が主演を務めた米コメディドラマ『フアン家のアメリカ開拓記』の番組プロデューサーから、性被害を受けていたことを明かした。

映画『クレイジー・リッチ!』でブレイクし、ハリウッドの第一線で活躍する台湾系アメリカ人俳優のコンスタンス・ウー(40)。2015年に放送がスタートした米人気コメディドラマシリーズ『フアン家のアメリカ開拓記』の番組プロデューサーから、性被害を受けていたことを明かした。

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近日発売予定の自身の回顧録『Making a Scene(原題)』のプロモーションのため、米誌『The Atlantic』の取材に応じたコンスタンスは、自身が主演を務めたドラマ『フアン家のアメリカ開拓記』の番組プロデューサーから、太ももや下半身を触られるなどの性被害に遭ったことを告白。

約7年の間被害を公に出来なかった理由として「過去20年以上の間でテレビ放送されたドラマのうち、(『フアン家のアメリカ開拓記』は)アジア系アメリカ人が主演する唯一の番組だった」とし、アジア系アメリカ人コミュニティへの影響を恐れたためだと説明した。

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またコンスタンスは、そういった性被害をめぐる周囲の人たちの反応にも言及。「(制作スタッフのうち)数名は、性的なハラスメントが行われていることを知っていた。その人たちが(加害者である)プロデューサーと仲良くしているのを見て、毎回裏切られたような気分になった」と、当時を振り返った。

一方で、「プロデューサーはその人たちを解雇することも出来る立場だったので、彼らを責めることは出来ない」とも語り、現場における権力者に周囲のスタッフが逆らえないことに危機感を唱えた。

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そうした性被害は2015〜2016年にかけて放送された番組の第2シーズンまで続いたというが、「第2シーズンが終了して当番組が成功し、仕事を失う恐怖がなくなってからは、特定のプロデューサーからの嫌がらせや脅迫に『ノー』と言えるようになった」そう。

しかし、それで全てが解決したわけではないといい、「悪い感情は、自分で消せるものではない。どうしても思い出してしまうもの」と続け、今でもトラウマとして当時の記憶に苦しめられていると語った。

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「この話をする度に涙が出てくる。長い間、それ(性的被害)を我慢するのは本当に大変だった」と語りながら、インタビュー途中、涙を見せたコンスタンス。最近はセラピーを受けており、「そのおかげで、当時より精神状態は良くなったと思う」と話した。

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また、同インタビューでは今年7月に自身のツイッターで明かした自殺未遂についても語ったコンスタンス。2019年に『フアン家のアメリカ開拓記』第6シーズンの放送が決定した際、コンスタンスが自身のツイッターに「腹が立って泣けてくる。最悪」と投稿したことがきっかけで、ファンから猛バッシングされたことが原因だったという。

バッシングを受け、自殺を図るまでに至った心境を「私は自分がひどいことを言ったと感じたし、同じアジア系の女優から私がアジア系アメリカ人コミュニティに害を与えているとDMをもらったときには、自分に生きている価値がないと思った」「アジア系アメリカ人の恥であり、自分がいない方がいいと考えた」と表現した。

続けて、「今思えば、数通のDMで自分の人生を終わらせようと思うなんて現実離れした話だけど、実際そうだった。幸運なことに友人が私を発見し、ERに連れて行ってくれた」と、当時を振り返った。一命を取り留めた彼女はその後、仕事を休み、メンタルヘルスのケアを優先したという。

一連の出来事について、コンスタンスは「アジア系アメリカ人たちはメンタルヘルスのことを十分に語っていない」と指摘。「私のツイートでさえ問題になり、アジア系アメリカ人の俳優たちのほとんどが私を避けよう、もしくは冷遇しようと考えたほどだった。私がそれにとても傷ついたけれど、同時につらい思いをしている人たちに手を差し伸べ気遣うことが、どれほど大切かを実感した」と語った。

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今回発売される回顧録は、そういった経験から、「メンタルヘルスについて理解し考え、癒しへの道を開くために手を差し伸べ、語り合うのを助ける」ために執筆を決めたという。

コンスタンスは書籍の発売に際し、「ハリウッドから少し離れセラピーをたくさん受けた今、私はここに戻り冒険しても大丈夫だと感じている。怖くても、私には3年前の自分に対して、勇気を出して誰かの助けになるような話をする義務があると確信した」とコメントしている。

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回顧録『Making a Scene(原題)』は2022年10月4日(現地時間)に発売予定。アジア系アメリカ人俳優として第一線で活躍してきた彼女は、自身のキャリアをどのように振り返り、何を語ったのか。発売を楽しみに待ちたい。

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