米サイト『Page Six』によると、アメリカの俳優約16万人が加入するSAG-AFTRAは、組合員に対し、ストライキの対象となっているコンテンツのキャラクターの仮装は避け、代わりに一般的なキャラクターや人物(ゴースト、ゾンビ、クモ)を選ぶよう指示した。
また、ストライキ中のコンテンツのコスチュームをSNSに投稿することを控えるよう忠告。つまり、映画『バービー』やドラマ『ウェンズデー』などの今年の大ヒット作や『スパイダーマン』、『スター・ウォーズ』など、特定のキャラクターのコスチュームは禁止であることを意味する。
組合側は「公正な契約なしに彼らのコンテンツを宣伝することはないという明確なメッセージ」を雇用主に送るためだと説明している。
このSAG-AFTRAの“ストライキに配慮した”コスチュームの規定に対して、一部のセレブたちが反発。SNSで不満を爆発させた。
10月19日(現地時間)、人気ドラマ『This Is Us/ ディズ・イズ・アス』のレベッカ役で知られるマンディ・ムーア(39)は「これはジョークなの?」とインスタグラムのストーリーズに投稿。
SAG-AFTRAをメンションし、「これが大事なことなの?」とたたみかけ、「この業界のあらゆる面で、多くの人々が何カ月も多大な犠牲を払ってきた。みんなが仕事に戻れるように、テーブルに戻り、公正な取引をしてください」と綴った。
一方、人気シリーズ『デッドプール』などでおなじみのライアン・レイノルズ(47)は、SAG-AFTRAのガイドラインを詳述した米誌『Variety』のX(旧ツイッター)への投稿に反応。
俳優ブレイク・ライブリー(36)との間に4人の子どもを持つライアンは、長女ジェームズ(8)を示唆し、「一晩中、8歳の子どもに“スト破り”と叫ぶのが楽しみだ。彼女は組合に入っていないが、学ぶ必要がある」と皮肉たっぷりに書き込んだ。
この厳しい“コスプレ”ルールに最初に声をあげたのは、名作ドラマ『大草原の小さな家』の主演俳優で、2001〜2005年にSAG-AFTRAの会長を務めたメリッサ・ギルバート(59)。「これはあなたたちが考え出したことなの?」と自身のインスタグラムで組合に問いかけた。
「文字通り、誰もハロウィンに何を着ようが気にしない。こんな幼稚なことで、ストライキが終わるとでも思っているの? ジョークにしか思えない。どうかこのルールをなくすと言って。交渉して!」と訴えたメリッサ。
さらに「お願いだから、みんながすごく苦しんでいるのに(中略)頼むわよ。こんなくだらないことでストライキを続けるなんて」と現会長のフラン・ドレシャー(66)らをタグ付けし、組合を痛烈に批判した。
ライアンらの投稿を受け、10月20日(現地時間)、SAG-AFTRAは米メディア『The Hollywood Reporter』で声明を発表。今回のガイドラインは「誰の子どもにも適用されるものではない」ことを明らかにした。
その声明によると、「このホリデーシーズンにストライキを支援する方法について、コンテンツクリエイターや組合員からの質問に答える形でハロウィン・ガイダンスを発表した」とのこと。
「これはストライキされた作品を宣伝することを避けるためのもので、私たちが発行した一連のガイドラインの中の最新版である」とし、「私たちの最優先事項は、スタジオを交渉のテーブルにつかせ、組合員のために公正な取引を実現し、最終的に私たちの業界の仕事を取り戻すことである」と説明した。
『Page Six』によると、2023年7月14日以来、ハリウッドのストライキに参加している俳優たちは、SAG-AFTRAが大手スタジオや映画配給会社との契約交渉を進めるなかで連帯。
マーゴット・ロビー(33)やフローレンス・ピュー(27)など、人気俳優たちがデモ行進に参加するなど、公正な賃金、業界のAIの使用増加に対する保護などを求めることで一致してきたが、メンバーが組合の上層部に対して、公の場で失望を表明したのは今回が初めてのこと。
スト開始から約100日目となる10月21日(現地時間)に行われたスタジオ側との交渉は決裂。いまだに解決の目処はたっていないようで、さらに長引くことが予想されている。