トム・クルーズやクエンティン・タランティーノ監督も2本立てで鑑賞! 『バービー』+『オッペンハイマー』=バーベンハイマーが社会現象に

マテル社のバービー人形の実写版『バービー』と、原爆を開発した物理学者の半生を描いた『オッペンハイマー(原題)』という対照的ともいえる2つの大作が、全米で同日公開されることから、2作のタイトルを掛け合わせた“バーベンハイマー”なる造語が誕生。ネット上で一大ブームとなっていた両作が2023年7月21日(現地時間)、ついに封切りとなった。

同日決戦となった注目の“バーベンハイマー”対決は、1億5,500万ドル(約218億円)を稼ぎ出し、今年の全米公開作最大となるデビューを飾った『バービー』に軍配が上がったが、『オッペンハイマー(原題)』も予想を上回る8,050万ドル(約114億円)と好スタート。

2作を合わせた週末の北米興行収入は、史上4番目となる3億ドルを突破し、ネット上のブームだった“バーベンハイマー”が社会現象に!

 『バービー』はピンク一色の世界に、複数のメッセージを込めたコメディ映画。一方の『オッペンハイマー(原題)』はシリアスで複雑な作品で、原爆の父として知られるアメリカの科学者、J・ロバート・オッペンハイマー(享年62)の伝記映画である。

そもそも“バーベンハイマー”はこの正反対とも言える作風の2つの映画を同じ日に立て続けに観ようというファンの間でバズった造語で、コミカルなファンアートやネタ動画などが多数登場。両作のキャストをはじめ、ハリウッドの大物たちも巻き込む一大ブームとなった。

まずトム・クルーズ(61)が6月28日(現地時間)、自身のツイッターでこの夏の大作の映画チケットを手にした写真とともに、「2本立ては大好きだ。『バービー』と『オッペンハイマー(原題)』ほど爆発的(でピンク)な2本立てはない」と投稿。

その後、ネット上で盛り上がった“どっちを先に見るか”問題について、トムは『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙にこう語っている。「両方観たいね。僕はオープニングの週末に観に行くつもりだ。金曜日に『オッペンハイマー(原題)』を観て、土曜日に『バービー』を観るんだ」。

これを受け、『バービー』製作・主演のマーゴット・ロビー(33)と監督グレタ・ガーウィグ(39)が6月30日(現地時間)、『バービー』の公式アカウントでトムに“お礼”投稿。

『オッペンハイマー(原題)』に加えて、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』とトムの主演作『ミッション:インポッシブル/デッド・リコニング Part One』、それぞれのポスターの前に立ち、映画のチケットを見せびらかす写真をシェア。「ミッション承りました!」というキャプションを添えた。

『オッペンハイマー』のキャスト
2023年7月、UKプレミアに豪華キャストが集結。中央がキリアン・マーフィー、右端がクリストファー・ノーラン監督 Photo:Getty Images

英メディア『Daily Mail』によると、『オッペンハイマー(原題)』のクリストファー・ノーラン監督(52)は『バービー』の映画会社と過去に対立があったことから、同時公開を快く思っていないとのことだが、そんな監督でさえ、この競争は「すごい」と公言。

主演のキリアン・マーフィー(47)は歓迎ムードで、米『IGN』のインタビューで「素晴らしいことだと思う。僕は『バービー』を観に行くよ。100%ね。待ちきれないよ」と目を輝かせながら語った。

『バービー』のキャスト
2023年7月、ロンドンで行われたヨーロッパプレミアに豪華キャストが集結。中央はロングドレス姿のグレタ・ガーウィグ監督 Photo:Getty Images

米誌『People』によると、この2作は単なる偶然から同時公開となったそうで、米メディア『NBC』は“バーベンハイマー”というワードも、あるエンタメサイトの編集長がツイートする際に偶然生み出したものだと報じているが、そこでバズったわけではなく、そのコンセプトがネット上で進化していったと分析。

キリアン・マーフィ
キリアンは最近のインタビューで、もし“バービー2”があるならケンを演じたいとまで言ったとか! Photo:Getty Images

この2作が競い合うのではなく、“ニコイチ”としての盛り上がりを見せたのは、『バービー』の華やかなピンクのエネルギーと、『オッペンハイマー(原題)』のダークで厳粛なムードとが対照的であったためとした。

マーゴット・ロビー
マーゴットは“バーベンハイマー” のTシャツを作って、キリアン・マーフィーのサインが欲しいと発言したそう Photo:Getty Images

その結果、映画館へ足が遠のいていた多くの映画ファンが、今年最も期待される2作を立て続けに観ようと躍起になり、米大手映画館チェーンのAMCシアターズの報告によると、“バーベンハイマー”2本立てのチケットを2万人以上が購入したという。

ポッドキャスト番組の公式アカウントが「そう、彼らは昨夜、一緒に出かけたんだ。映画を見るという一番好きなことをするためにね」と認めた

もちろん当日券で鑑賞する映画ファンも多く、クエンティン・タランティーノ監督(60)もそのひとりであることが判明。

米『Deadline』によると、タランティーノ監督は『パルプ・フィクション』の共同脚本家で、ポッドキャスト『The Video Archives Podcast』の共同司会者でもあるロジャー・エイヴァリー(57)とウエストハリウッドで『オッペンハイマー(原題)』を観た後、反対側の通りにある映画館に歩いて行き、『バービー』のチケットを買っているところをキャッチされた。

マーゴット・ロビーとグレタ・ガーウィグ監督
ガーウィグ監督は『バービー』で女性監督作品史上No.1のオープニングを記録した Photo:Getty Images

『People』によると、公開初日は午前中、黒ずくめの服装で『オッペンハイマー(原題)』を観て、ランチを楽しんだ後、午後はピンクづくしのファッションに着替えて、『バービー』を鑑賞したというパターンが多かったという。

特に『バービー』を観るために、たくさんの人が鮮やかなピンクスタイルで映画館につめかけたと多数の英米メディアが報じており、この日は映画ファンにとって一大イベントとなったようだ。

日本では『オッペンハイマー(原題)』についての情報は明らかになっていないが、『バービー』は8月11日公開予定。ぜひピンクファッションで出かけてみては?

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