『NBC News』によると、ジェイ・Z(本名ショーン・カーター)はジェーン・ドウと名乗る匿名の女性が起こした民事訴訟で訴えられており、原告は2000年、MTVビデオ・ミュージック・アワード(以下VMA)後のパーティで、ショーン・コムズ(通称ディディ)とジェイ・Zに強姦されたと主張しているという。
そもそもこの訴訟は原告の代理人を務めるテキサス州の弁護士、トニー・バズビー氏が2024年10月に起こしたもの。その際にはディディのみが被告として挙げられ、2人のセレブが名を伏せた状態で提訴されていた。今回、当初“セレブリティA”とされていたジェイ・Zが被告として修正され、再提訴されたという。
同日、ジェイ・Zは訴訟の主張を否定する声明を『NBC News』などのメディア各所に送り、その後、自身の会社ロック・ネイションのSNSアカウントで公開。今回の訴えは「恐喝行為」の一部であるとして、バズビー氏を強く非難した。
「彼が計算していたのは、これらの告発の性質と世間の厳しい監視で私が和解したくなるだろうということだった」と綴ったジェイ・Zは、「いいや、まったくの逆効果だった! あなたが詐欺師であることを大々的に暴露したいという気持ちにさせられた。だから私はあなたに1セントたりとも支払うものか!!」と大文字を交えて強調。
そして「これらの申し立ては本質的に非常に悪質なもの」だと述べ、「民事ではなく刑事告訴を起こすべきだ!!」と続けた。
『Daily Mail』によれば、2000年9月7日(現地時間)に起きたとされるこの一件は、ジェイ・Zがビヨンセに出会った時期と近いようだ。ビヨンセは以前、雑誌のインタビューで、18歳のときにジェイ・Zと初めて会ったと語っている(1999年9月から2000年8月までの期間)。その後2人は2008年に結婚し、ブルー・アイビー(12)、双子のルミとサー(7)が誕生した。
ジェイ・Zはこの声明で、「私の唯一の心痛は家族のことです」とコメント。
「妻と私」は子どもたちに話をしなくてはならないとし、「そのうちの1人は友人たちが報道を目にし、この訴訟の性質について質問するような年齢です。人の残酷さや強欲さについて説明しなければならない。私は、またひとつ無邪気さが失われることを嘆いています」と明かした。
そして「セレブは皆同じだと思っているなんて、とんでもない判断ミスだ」とバズビー氏を非難し、「私は君たちのような世界の出身ではない。ブルックリンのプロジェクトから成功した若者だ。我々はこの手の駆け引きはしない」と説明。
「非常に厳格な規範と名誉を持っている。私たちは子どもを守るが、あなたは個人的な利益のために人々を搾取しているように見える」と続け、最後に「私がどれほど違うか、お見せすることを楽しみにしています」と締め括っている。
今回の訴状によると、性的暴行はVMA後のホームパーティで起きたという。『Daily Mail』の記事によれば、当時13歳だった原告は、授賞式が行われたニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールまで友人に車で送ってもらい、チケットは持っていなかったが、なんとか入れてもらおうと、近くに停車していたリムジンの運転手に声をかけたそうだ。
そこでディディの運転手と名乗る人物が、彼女に「ディディが探しているタイプにぴったり」だと告げ、アフターパーティに招待したという。そして車に乗って約20分後、白い家に到着。機密保持契約書だと思われる書類に署名させられ、勧められた「赤みがかった黄色い」飲み物を口にすると「フラフラして、立ちくらみがし、横になりたい気分になった」とのこと。
訴状には、彼女が休むために「空っぽの寝室のように見える」部屋で横になっていたところ、ディディとジェイ・Z、そして“セレブリティB”とされる女性セレブがやってきて、ディディは「狂気じみた目つきで」原告を掴み、「『パーティの準備ができたな!』と言った」と記載されているそうだ。
その時、ディディが彼女を何度か突き飛ばし、「意識を失っていく中」ジェイ・Zが彼女の服を脱がせ、ディディと“セレブリティB”が見ている前で、彼女を強姦したと原告は主張している。そしてディディも、ジェイ・Zとその女性が見ている前で彼女を強姦したという。
さらに、彼女はディディにオーラルセックスを強要されたが、首を叩いて抵抗すると、彼は「やめた」とも述べている。その後、彼女は「自分の服を掴んで」その場を立ち去り、ガソリンスタンドまで行って、「父親に電話し、居場所について嘘をついたことを認め、迎えに来るよう頼んだ」とのこと。
『NBC News』によると、この訴訟はニューヨーク州の「ジェンダーに基づく暴力の被害者保護法」に基づいて起こされたもので、原告は「ストレスとトラウマによる後遺症と発作障害」に苦しんでおり、具体的な金額を提示せずに損害賠償を求めているそうだ。
英紙『Daily Mail』によれば、バズビー氏はここ数カ月の間にディディに対して100件以上の訴訟を起こし、いずれも原告の名前は伏せられているが、暴行および強姦の罪で告発している。今回は彼がディディ以外のセレブを被告として訴えた、初めてのケースとなった。
今年9月に組織犯罪、人身売買、その他の容疑で刑事告発されたディディは、11月に3度目の保釈請求が却下された後、ブルックリンのメトロポリタン拘置所に収監されているが、すべての容疑について無罪を主張。裁判は2025年5月5日(現地時間)に予定されている。