2020.08.08

次なる目標は大統領! セレブ界の暴言王、孤高のラッパー カニエ・ウェストの波乱万丈な半生

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1977年、アトランタで生まれたカニエ。父レイは『アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション』紙の黒人初のフォトジャーナリスト、母ドンダ(享年58)はシカゴ州立大学の英語教授。3歳のときに両親が離婚すると、母に引き取られる。ちなみに「カニエ」は、スワヒリ語で「オンリーワン」という意味だそう。
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10歳のとき、母の仕事の関係で1年間、中国の南京に滞在。クラスで唯一の外国人だったためイジメを受け、この経験が人生を変えたという。「当時ほとんどの中国人は黒人を見たことがなかったから、皆俺のことをジロジロ見た。有名になって差別をなくしたいと思った」と振り返っている。
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その後シカゴへ戻ると、ヒップホップに夢中になり曲を作り始める。高校時代にメンターとなるDJ&プロデューサーのNO I.D.(49)と出会い、10代の終わりには多くのアーティストに曲を提供するまでに成長。しかし、なかなかヒットに恵まれず、地元で大学に通いながらブレイクのチャンスを待つ。
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音楽活動と学業の両立が難しくなったカニエは、20歳のときに大学を中退。中退後は、保険を販売するテレマーケターとして働いていた時期もあったとか。そんな中で転機となったのが、5曲を提供したジェイ・Z(50)のアルバム『The Blueprint』(2001年)の大ヒット! 無名だったカニエの存在は世界に知られるようになり、一躍人気プロデューサーとなる。
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2002年、ジェイ・Zの誘いにより、ロッカフェラ・レコードと契約。所属アーティストのプロデュースのほか、アリシア・キーズ(39)やジャネット・ジャクソン(54)などにも曲を提供していく。しかし、そんなカニエに悲劇が。同年10月、スタジオから帰る途中、居眠り運転で事故を起こす。重傷を負いながらも生還したカニエは、「神に救われた」とクリスチャンに。
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プロデューサーとして成功を収めたが、あくまで目標はラッパーになること。そして2004年、大学を中退したことから名づけたアルバム『The College Dropout』で念願のデビュー! 完璧主義のカニエは最後まで曲の調整を行い、なんと3度も発売日を延期。ソウルのボーカルを早回ししてサンプリングする独自のスタイルで仕上げた同作は、世間の期待をはるかに超え、グラミー賞3部門に輝く。
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2005年には、2枚目のアルバム『Late Regisration』をリリース。今度はヒップホップには珍しい弦楽器をミックスさせ、新たなサウンドを生み出した。ジェイ・Zやジェイミー・フォックス(52)、「マルーン5」のアダム・レヴィーン(41)が参加したことでも話題となった同作は、全米チャート1位を獲得! メディアからも軒並み高評価を受け、ラッパーとして頂点を極める。
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3枚目のアルバム『GRADUATION』(2007年)を発売後、母ドンダが整形手術による合併症で亡くなる。ドンダはカニエの成功とともにマネージャーに転身し、ずっと側で支えていた人物だった。また翌月には、6年間交際していた婚約者アレクシス・ファイファーとも破局。悲しみに暮れたカニエは、ラップを完全に封印した4枚目のアルバム『808s &Heartbreak』を制作する。
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型にはまらないスタイルで成功を手にしたカニエだが、同時に、破天荒な言動で知られる「お騒がせラッパー」としても知られる。2009年の「MTV ビデオ・ミュージック・アワード」では、泥酔してステージに乱入。壇上にいたテイラー・スウィフト(30)からマイクを奪って、スピーチを妨害した。この行動はアメリカはもちろん世界中から大ブーイングを受け、予定していたツアーもキャンセルに追い込まれる。
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すっかり評判を落としたカニエは、しばらく音楽から離れ、新たなキャリアをスタートさせるべく行動に出る。フロントロウでショーを鑑賞し、ファッション業界で顔を広げるほか、旅行会社「Kanye West Ventures」の立ち上げやレストラン「KW Foods LLC」の経営を試みて、ビジネスチャンスを探っていく。
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2010年、5枚目のアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』を発売する。バッシングから逃れるべくハワイで制作された同作は、ロックを積極的に用いたサンプリングで多くのファンを獲得。また内省的な歌詞も評価され、一部ではカニエの「最高傑作」と称する声も。カニエはグラミー賞のラップ4部門を独占受賞し、見事カムバックを果たす。
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続く6枚目のアルバム『Yeezus』(2013年)では、これまでと大きく変わったエレクトロニックな曲調で、またも世間をあっと驚かせたカニエ。ちなみに『Yeezus』は、自身の呼び名「Yeezy」と神「Jesus」を組み合わせた造語。2002年の事故以来、キリスト教にまつわる曲を多数書いてきたが、徐々に「神」はカニエの音楽の真髄となっていく。
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この頃、キム・カーダシアン(39)との熱愛が報じられたカニエ。セックステープの流出やスピード離婚などで悪名高きリアリティセレブとして知られていたキムとの交際に、周囲からは「キャリアに悪影響だ」と忠告されていたそう。しかし反対を押し切って交際を続け、2013年にサンフランシスコにあるスタジアムを貸し切りプロポーズ。2014年にパリで、28億円も投じた盛大なウェディングを行った。
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カッとなりやすい短気な性格で知られるカニエは、執拗に追いかけてくるパパラッチを攻撃することもしばしば。2008年にはパパラッチのカメラを壊し、器物破損で逮捕。2013年にはカメラを奪おうとしてもみ合いに! その瞬間をバッチリ撮られてしまったカニエは、暴行罪と強盗未遂罪で訴えられる。(その後、カニエが謝罪し和解した)
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右葉曲折を経て、2013年、アディダスとの契約をきっかけに、本格的にファッション業界に参入。コラボレーションしたスニーカー「YEEZY BOOST」は、即完売の人気シリーズとなる。また同時に、ミニマムをテーマにしたアパレルライン「YEEZY」もローンチ。気分屋なカニエらしく、現在もコレクションの発表は不定期。
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そんなカニエの次なる目標といわれているのが、アメリカ合衆国大統領。2015年の「MTV ビデオ・ミュージック・アワード」で、突然「2020年の大統領選に出馬する」と宣言したかと思えば、翌年にはトランプ大統領(74)と急接近。カニエは本気なのか? それともただのパフォーマンスなのか? 予測不能な行動が大きな物議を醸した。
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ステージ乱入が原因でテイラーと険悪な仲になるも、その後はディナーに出かけたり、楽屋に花束を贈るなどし、地道に罪滅ぼしをしていたカニエ。ところが、2016年に発表した楽曲『Famous』の中で、「俺があのビッチを有名にしてやった」とまたも暴言! この歌詞を許可した、していないを巡り、カニエの妻キムも加わり大バトルへと発展。以来、ふたりの関係は平行線のまま。テイラーにも「もううんざり」と呆れられてしまう。
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2016年、7枚目のアルバム『The Life of Pablo』をストリーミング限定でリリースする。しかし、タイトルを3度も変更した上、発売後も歌詞を変えたり、曲を追加したりとアップデート。「いつまでも完成しない」異例の作品となった。実は、このときすでに精神不安定になっていたカニエ。ツアー途中に緊急入院し、のちに躁うつ病であることを告白する。
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2017年、約2年ぶりに発売したのが、8枚目のアルバム『Ye』。過去に自殺願望があったことを明かしつつ、躁うつ病について「障害ではなくスーパーパワー」と歌うなど、自身と向き合いながらポジティブに生きる姿が描かれている。米ストリーミング・サービスのランキングでは、1位から7位までを同アルバム収録曲が独占! カニエは再びスポットライトを浴びる。
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2019年から主催するようになったのが、日曜礼拝「サンデーサービス」。これは自身の楽曲をアレンジし、聖歌隊と合唱するゴスペルパフォーマンスのことで、コーチェラ・フェスティバルやパリコレでも開催。ゴスペルアルバム『Jesus Is King』も発表するなど、カニエの活躍はヒップホップの枠を超えていく。
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キムとの間に2男2女をもうけ、4人の子どもの父親となったカニエ。それぞれ、ノース(北=上を指す=高みを目指す)、セイント(キリスト教で「聖人」の意味)、シカゴ(カニエの出身地)、サーム(礼拝で歌われる歌や詩のこと)と名づけるなど、独特のネーミングセンスを発揮している。
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2020年、ギャップとパートナーシップを締結したことを発表する。10代の頃にシカゴの店舗でアルバイトをし、かねてから「ギャップのスティーブ・ジョブスになりたい」とアピールしていたカニエ。すでにアディダスとのコラボレーションでヒットを重ねてきたこともあり、この発表でギャップの株価は急騰!
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そして今年7月、2015年の宣言通り大統領選に立候補し、世間を驚かせたカニエ。しかし初となる選挙集会では、「中絶反対」を訴える際に、第1子ノースの妊娠が分かったときに中絶を考えていた過去を暴露する。涙ながらに行った演説や、その後の精神不安定なツイートから、躁うつ病の再発疑惑が浮上。
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この選挙集会以来、公の場から遠ざかっていたカニエだが、先日笑顔で車に乗る姿をキャッチ! アーティスト仲間やファンから心配の声が寄せられるも、出馬辞退には応じておらず、騒動は継続中。これまでカニエの暴挙を支えてきた妻のキムもついに離婚を考えているとも言われており、公私ともに注目の的に。カニエは何を考え、どこに向かおうとしてるのか。今後の動向から、目が離せない!

Photo:Getty Images, Aflo, Courtesy of Instagram  Text:Kyoko Kawaguchi

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