例年より約2か月遅れの2021年2月28日(現地時間)、「アカデミー賞の前哨戦」と言われるゴールデングローブ賞の授賞式が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大のため、初のバーチャル開催となった今年は、会場をロサンゼルスとニューヨークの2カ所に設置。プレゼンターを務めたセレブたち以外は、自宅などからのリモート参加となった。
アジア系女性では史上初! 『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が監督賞を受賞
ゴールデングローブ賞の主要部門のひとつ、監督賞に輝いたのは『ノマドランド』のクロエ・ジャオ(38)。
女性監督としては、1984年に『愛のイエントル』で受賞したバーブラ・ストライサンド(78)以来37年ぶり。アジア系としては、2006年に『ブロークバック・マウンテン』で受賞したアン・リー(66)以来で史上2人目。アジア系の女性監督としては、史上初の歴史的快挙となった。
オスカー女優のフランシス・マクドーマンド(63)を主演に迎え、現代のノマド(遊牧民)として過酷な季節労働の現場を渡り歩く車上生活者の姿を描いた『ノマドランド』。なんとこの日、映画/ドラマ部門の作品賞も受賞!
同作とジャオ監督は、すでにさまざまな映画賞で作品賞、監督賞を受賞しており、今年の賞レースを独走中。アカデミー賞への期待も高まる!
故チャドウィック・ボーズマンが映画/ドラマ部門の主演男優賞を受賞! 妻が涙の受賞スピーチ
映画/ドラマ部門の主演男優賞に輝いたのは、昨年8月にがんにより43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマン。チャドウィックは闘病中も家族や限られた人々にしか病気のことを明かさず、精力的に仕事をこなし、遺作となった『マ・レイニーのブラックボトム』での受賞となった。
授賞式では、妻のシモーネが「きっと彼は神、両親、祖先たちに感謝するでしょう」と、チャドウィックに代わり感謝。さらに「彼ならきっと何か美しいことを言ったと思います。“あなたならできる”と、私たちの中の小さな声を増幅させる、感動的なことを」と亡きチャドウィックのポジティブさに触れ、多くのファンの涙を誘った。
Time’ s Upが再び! 主催団体にアフリカ系アメリカ人の会員がいないことに抗議の声
女性たちが性的暴力や抑圧へ抗議の声を上げた「Time’s Up」運動。2018年のゴールデングローブ賞は、多くの俳優や映画関係者が抗議の意味を込めた黒の衣装で出席し、レッドカーペットは黒一色となった。
その「Time’s Up」運動が再び! Time's Up運動を進める組織は、ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の会員87人のなかに黒人のジャーナリストがひとりもいないことへの抗議を、インスタグラムを通じて表明。多くのセレブが賛同の声をあげた。
その後、HFPAは「今後は黒人や過小評価されているバックグラウンドを持つメンバーを加える」と声明を発表。授賞式でも、メンバーの多様性の実現に努めることを表明した。
激レア映像の嵐! セレブのリモート映像に子ども、ペット、パートナーが登場
バーチャル開催により、ノミネートされたセレブの多くが、自宅からリモート出演した今年の授賞式では、レアなファミリーショットを披露してくれたセレブも多数。
ドラマ『フレイザー家の秘密』で、テレビ/リミテッド・シリーズ・テレビ映画部門の主演女優賞にノミネートされたニコール・キッドマン(53)。夫キース・アーバン(53)に加え、普段はほとんど公の場に姿を見せない娘のサンデー(12)&フェイス(10)とともに登場!
Photo:Instagram(people)
『The Mauritanian(原題)』で映画/全部門の助演女優賞に輝いたジョディ・フォスター(58)は、パジャマ姿で妻アレクサンドラ・へディソン(51)、愛犬ジギーと登場。さらに、カメラの前でキスも披露!
シーア(45)監督作『Music(原題)』で、映画/コメディ・ミュージカル部門の主演女優賞にノミネートされたケイト・ハドソン(41)。ケイト宅にはパートナーのダニー・フジカワ(34)と子どもたち、母ゴールディ・ホーン(75)とそのパートナーのカート・ラッセル(69)を含む大家族が集合し、画面がギュウギュウに!
テレビ/ドラマ部門の主演女優賞の発表では、ドラマ『ラチェッド』でノミネートされたサラ・ポールソン(46)は愛犬、『ザ・クラウン』でノミネートされたエマ・コリン(25)は愛猫を抱えて、発表の瞬間を迎えた。ファンにとっては、セレブのプライベートをのぞき見できる貴重な機会となったに違いない!
ありがち? 助演男優賞を受賞したダニエル・カルーヤに、リモートならではのトラブルが発生
映画『Judas and the Black Messiah(原題)』で助演男優賞を受賞したダニエル・カルーヤ(32)が受賞スピーチを始めたところ、音声がつながっておらず、視聴者は無音のまま、ダニエルのジェスチャーのみを見ることに……。
すぐにプレゼンターのローラ・ダーン(54)が、「回線にトラブルがありました」と謝罪。その後、トラブルは解決したものの、Zoom会議などでよくあるハプニングをテレビで目撃した視聴者のなかには、ダニエルに親近感を覚えた人も多かったよう。
今年の主要賞受賞作品&受賞者をチェック!
■映画/ドラマ部門
作品賞:『ノマドランド』
主演男優賞:チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)
主演女優賞:アンドラ・デイ(『The United States Vs. Billie Holiday(原題)』)
■映画/ミュージカル・コメディシリーズ部門
作品賞:『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
男優賞:サシャ・バロン・コーエン(『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』)
女優賞:ロザムンド・パイク(『I care a lot(原題)』)
■映画/全部門
助演女優賞:ジョディ・フォスター(『The Mauritanian(原題)』)
助演男優賞:ダニエル・カルーヤ(『Judas and the Black Messiah(原題)』)
アニメ作品賞:『ソウルフル・ワールド』
外国語映画賞:『ミナリ』
監督賞:クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)
脚本賞:アーロン・ソーキン(『シカゴ7裁判』)
■テレビ/ドラマシリーズ部門
作品賞:『ザ・クラウン』
男優賞:ジョシュ・オコナー(『ザ・クラウン』)
女優賞:エマ・コリン(『ザ・クラウン』)
■テレビ/ミュージカル・コメディシリーズ部門
作品賞:『シッツ・クリーク』
男優賞:ジェイソン・サダイキス(『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』)
女優賞:キャサリン・オハラ(『シッツ・クリーク』)
■テレビ/リミテッド・シリーズ・テレビ映画部門
作品賞:『クイーンズ・ギャンビット』
男優賞:マーク・ラファロ(『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』)
女優賞:アニャ・テイラー=ジョイ(『クイーンズ・ギャンビット』)
リモート開催ながら、多くのセレブが自宅でドレスアップした写真や、事前に撮影した写真をインスタグラムで公開。例年とは異なる、さまざまな背景でのドレスルック20選も要チェック!
Photo:Getty Images, Aflo, Courtesy of Instagram