現在海外だけでなく、日本でも重要視されているメンタルヘルス。そのきっかけのひとつと言えるのが、海外セレブたちの告白。華やかなライフスタイルからストレスや悩みとは無縁だと思われがちだが、鬱病やパニック発作、不安障害など、メンタルヘルスの問題を抱えていたり、闘った経験を持つ人は少なくない。
Photo:Instagram(naomiosaka)
日本でも大きな話題となったのが、テニスプレーヤーの大坂なおみ選手(24)。2021年5月に行われた全仏オープンでの会見を、メンタルヘルスを理由に拒否。その後鬱病を公表したことは、世界中で大きなニュースに。彼女の告白は心の健康にまつわる知識を広めるきっかけとなり、以降、多くのアスリートたちが続々と悩みを打ち明けた。
メンタルヘルスの重要性を世界に広く知らしめた存在といえば、ブリトニー・スピアーズ(39)。今年2月に放送されたドキュメンタリー『Framing Britney Spears』は、彼女のメンタルヘルスの問題にフィーチャー。その原因のひとつとして悪質な報道や差別的な発言が挙げられ、ブリトニーをサポートする世界的なムーブメントが巻き起こった。
なかには精神だけでなく、身体を鍛えることでメンタルヘルスの向上に努めるセレブたちも。レベル・ウィルソン(41)は、昨年から続けているワークアウトで約30キロの減量に成功。目的はダイエットではなく、「心を鍛えるため」だと明かした。
そんな3人を含む、メンタルヘルスの問題を告白してきたセレブ18人にフォーカス。実体験から発せられるリアルな言葉は、さまざまな悩みを抱えるすべての人に勇気を与えてくれるはず。
ケンダル・ジェンナー
幼い頃に不安障害の症状が出始め、モデルとして活躍し始めたころ、再び症状が表れたことを明かしたケンダル・ジェンナー(25)。過労などが原因で「心臓が麻痺して息ができないと思い込んでしまう。病院に何度か駆け込んだ」経験をし、現在もそれらの症状が現れるという。
不安障害についての理解を促すために医師と対談する動画を発信したり、メンタルヘルスの問題を抱える人たちを支援するプログラムに協力したりと、自身のみならず、同じ障害に悩む多くの人のサポートにも尽力している。
トーマス・デーリー
東京オリンピックでは手作りのメダルケースを披露するなど、プロ級の編み物のテクニックが大きな注目を集めた飛び込み選手のトーマス・デーリー(27)。先日、「2012年頃の僕は、食べたものを嘔吐し、毎日体重を量っていた」と摂食障害の経験を明かした。
幼少期のいじめや同性愛者としての葛藤など、様々な悩みを抱えてきた彼は「手を動かしている方が精神的にリカバーできる」という自分なりの克服法を見つけ、ロックダウン中に編み物をスタート。「選手村では、いろいろなことについて考え過ぎてしまう。編み物は現実逃避法みたいなもの。時間をやり過ごせるし、飛び込みのことを考えなくて済むんだ」と、そのリラックス効果を説明。その結果、金&銅ふたつのメダルを獲得した。
セレーナ・ゴメス
これまで幾度となく自身が抱えるメンタルヘルスの悩みについて発言してきたセレーナ・ゴメス(29)は、2018年に躁うつ症状に苦しむ双極性障害と診断されたことを公表。
「まず私がするのは、ひとりになれる場所を探すこと。自分の部屋に行って横になり、水を飲んで、深呼吸を繰り返す。それから友達が必要なら友達に、セラピストが必要ならセラピストに電話をするわ。辛いときは時間をかけて自分と向き合い、自分に優しくしてあげることが大切」と語り、素直に助けを求める重要性を喚起した。
アデル
1年以上かけて約45キロを減量し、劇的なボディ改革を果たしたアデル(33)。これまでダイエットについて触れてこなかったが、最近のインタビューで、メンタルヘルスの改善のためだったと明らかに。
「自分のマインドを正すため、夢中になれるものを見つける必要があったの。編み物でも良かったのかもしれないけど、私の場合は違った。運動すると気分が良くなったわ」と言うアデル。有酸素運動や筋力トレーニングなどに取り組むことで「強くなったと実感できたし、毎日スマホに触らなくても良くなった」そう。
大坂なおみ
海外はもちろん、日本でのメンタルヘルス問題提起の大きなきっかけとなったのが、大坂なおみ選手(24)が鬱病について語った声明文。「2018年の全米オープンから長い間、鬱病を抱えてきました。私は人前で話すのが得意ではなく、世界中に発信されるメディアの前で話す時、大きな不安の波に襲われます」と明かした。
最近では「自分自身、そして自分の成果をもっと讃えるべき。私たち皆がそうするべきだと思う」と、メンタルを改善するための取り組みかたについても語るなど、スポーツ界におけるメンタルヘルスのパイオニア的存在に。
ビリー・アイリッシュ
13歳の時、ダンス中にケガをし、それが原因で鬱病になったことを明かしたビリー・アイリッシュ(19)。「以前は何もかもがどうでもよくて、すべてのことが無意味だと思っていた。自分の人生も、世の中のすべてのことに対しても。病的に塞ぎ込んでしまっていた。あの時の私はおかしかったと思う」と、当時を振り返った。
そして同じ悩みを抱える人々に対し、「今は自分の好きなことをできているし、自分を取り戻せた。たとえ今が元気じゃなくても、そのうち改善される。だからつねに希望を持っていてほしい」とエールを送った。
カーラ・デルヴィーニュ
性に目覚めるまでは、同性愛に関して嫌悪感を持っていたというカーラ・デルヴィーニュ(29)。そのため自分が同性に惹かれるようになると、「ひどい鬱状態に陥り、自殺願望を抱くようになった。自分のセクシュアリティをひどく恥じていたから」と当時を回顧。
今では自身のセクシュアリティを「私の一部。大切に思っているし、受け入れている」ものの、時には「自分に自信が持てなくなることもある」そう。葛藤が消えることのないリアルな現状を語り、多くの人の共感を得ている。
ジャスティン・ビーバー
かねてからメンタルヘルスについて度々語ってきたセレブのひとりが、ジャスティン・ビーバー(27)。2019年に鬱病であることを告白し、2020年に公開されたドキュメンタリー番組では、「ただ苦しみに耐えていて、精神的にこんな痛みを感じるなら、何も感じない方がいいと思うほどだった」と自殺願望があったことも吐露。
そんな経験を経て、「自分の弱さを見せるのはとても難しいけど、それにより成長することができる。人に話すことで解放されることもあるんだ。もし孤独を感じてるなら、誰かにそのことを話して」と世間に語りかけたジャスティン。現在はセラピーに通ったり、運動や瞑想、音楽を聞いたりしてメンタルヘルスをケアしているそう。
リゾ
パフォーマンスやSNSを通して、ボディポジティブや女性のエンワパメントなどにまつわるメッセージを多く発信しているリゾ(33)。ステージやテレビでは笑顔を絶やさない彼女だが、昨年、鬱病であることを公表。
しかし鬱病に対してもポジティブな姿勢を維持しており、「鬱病について話し合う相手はいない。話したって、どうにもならないって分かってるから。(鬱病は)そのうち終わるわ」とキッパリ。鍼や瞑想、呼吸法のほか、不安を原動力にしてパフォーマンスに込めるといった自分なりの解消法をファンに伝授した。
クリステン・スチュワート
子役としてデビューし、大ヒット映画『トワイライト』シリーズで一躍大ブレイクしたクリステン・スチュワート(31)。しかし有名になって生活が一変したことでストレスを感じ、体調を崩すように。
「私はコントロール・マニアなんだけれど、物事をコントロールできないとパニック発作を起こしてしまうの。だから常に胃が痛い」というパニック発作との闘いに始まり、「物事がめちゃくちゃになると、すべてを見失ったような感覚に陥る」と強迫性障害にも悩まされるようになったそう。しかし時間が経つにつれて恐怖は薄まり、「不安は尽きたんだと思う。もう悩むようなエネルギーも残っていないの。苦しんだ後に希望があるわ」と、時間が解決してくれたことを明かしている。
クリッシー・テイゲン
ボディイメージや不妊にまつわる悩みを赤裸々に発信し、多くの共感を得てきたクリッシー・テイゲン(35)。2016年に長女ルナ(5)を出産した後は、産後鬱病を発症したことを告白。
「幸せになるために必要なものをすべて手にしていたのに、自分は不幸だと感じていた。ベッドから出るのが辛かったし、腰も痛くて、肩こりもひどい。食欲もなかった。スタッフにキレることもあったり、突然泣いたりもした」と症状を事細かに説明し、産後鬱病の理解が広まるよう働きかけた。
ライアン・レイノルズ
ライアン・レイノルズ(44)が「“これは心配だ”と感じる程度の日もあれば、深い闇に落ちたような気分になることもある」と語り、不安障害と闘っていることを明かしたのは2018年。
その闘いは現在も続いており、最近のインタビューでも「僕は予定を詰め込み過ぎて、大切なことを見落としてしまう。予定を詰め込むのは、生涯の友である不安障害の影響でもあるんだ」と告白。「予定を詰め込み過ぎる、考え過ぎる、働き過ぎる、心配し過ぎる僕のようなすべての人たちへ、君はひとりじゃない」と加え、同じ悩みを抱える人にメッセージを贈った。
レディー・ガガ
「19歳の時に性的暴行を受けたの。それによるトラウマにきちんと対応しなかったため、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した」と告白したレディー・ガガ(35)。その後遺症のために、現在も抗精神病薬を服薬しているそう。
「 『911』は、私が飲んでいる抗精神病薬についての曲。私は自分の脳内に起きていることを、自分で制御しきれない。だから薬を飲まなければならないの」と、その辛さを歌にしたことも。
レベル・ウィルソン
プラスサイズのコメディアン&俳優として人気を博していたレベル・ウィルソン(41)。しかし2020年、自ら“健康の年”にすると宣言。ハードなトレーニングに取り組み、約30キロの減量に成功した。
レベルは、「心を鍛えるため。仕事のストレス、そしてそのストレスが原因で過食になり、とても苦しんでいたから」と語り、身体の健康だけでなくメンタルヘルスのための減量だったと説明。心も身体も健康になっていく姿をインスタグラムで公開し、多くのファンを勇気づけた。
シモーン・バイルス
2大会連続で金メダル獲得の期待がかかった東京オリンピックに出場するも、途中で棄権した体操のシモーン・バイルス選手(24)。「以前のように自分自身を信じられない。皆が私のことをツイートして、世界の重みを感じる」と、プレッシャーが原因で「パニックになってしまうことがある」と告白した。
「私たちはアスリートであると同時に、人間でもある。時には出場しない必要もある」というアスリートのメンタルヘルスに対する意見には、多くの選手やファンが賛同。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
2011年、双極性障害を患っていることを公表し、リハビリ施設に入所したキャサリン・ゼタ=ジョーンズ(52)。退所後も定期的に治療を受け続け、2年後は、予防的なものとして2度目の入院治療を行った。「オープンにすることで同じ病気の人を助けたい」と病気を公表し、積極的に治療に取り組む姿を公開している。
ジャネット・ジャクソン
ジャネット・ジャクソン(55)が鬱病と戦っていたのは、アーティストとして第一線で活躍していた頃。
当時を振り返り、「闘いは激しかった。ずっと、鬱病の原因は何だろうと分析していた。そして自尊心が低い自分の根っこには、子どもの頃の劣等感があるのではないかと考えた。非常に高いハードルを乗り越えられなかった経験の影響もあるだろうし、もちろん人種差別や性差別といった社会問題もある」と語ったジャネット。「鬱病は、執拗で恐ろしい症状」と認めつつ「幸いなことに私は抜け出す道を見つけた」と克服したことを明かし、人々を勇気付けた。
ブリトニー・スピアーズ
自身の離婚や親権などの問題が重なり、2007年から精神的に苦しんでいると報道されてきたブリトニー・スピアーズ(39)。翌年には精神障害を発症したことで親権を失い、父による成年後見人制度が適用されるなど、長年メンタルヘルスの問題を抱えてきた。
本人はそのことについて多くを語ってはいないが、先日成年後見人制度から解放された際、「癒やしのためにすることがたくさんある。リラックスして、ゆっくり呼吸してもいいと理解するための時間をとっているわ」とSNSで発信。世界中のファンやセレブ仲間たちから、応援のメッセージが多数寄せられた。