名作ドラマと切っても切り離せない関係なのが、出演俳優の技量が問われる「泣き」のシーン。作中でグッと感情を揺さぶられるか否かは、泣きの演技にかかっているといっても過言ではない。そこで今回は、決してお涙頂戴にならない絶妙なラインで魅せてくれる安心感のある韓国俳優たちをご紹介! ヒョンビン(40)をはじめナム・ジュヒョク(29)や、キム・スヒョン(35)など、今改めて観たい彼らの名作とともに、渾身の泣き演技をぜひチェックしてみて。
ナム・ジュヒョク(29)【写真2枚目】/あまりにも過酷な境遇だけで泣けてくる
「不幸を背負い込みながらも、耐え忍んで生きている」。そんな役柄がジャストマッチしたナム・ジュヒョクの泣きの演技といえば、やはり忘れられないのは『二十五、二十一』。IMF通貨危機で父の会社が倒産。一流大学の学生の立ち位置から一転し、無一文生活。加えて父の会社の債権者たちが家に押し寄せ、借金を踏み倒し逃亡中の父の代わりに、ジュヒョクを責め立てる始末。ほら、もうこれだけで思い出し泣き……。こんな過酷な状況なのにやたら滅多に泣くわけではなく、涙を流す瞬間にもその葛藤が浮かび上がってくる。“現実彼氏”の異名を持つだけに、まるで隣にいるような存在感で視聴者を虜にすることが、ジュヒョクの大きな強み!
パク・ソジュン(34)/悔しさをすべて涙に注ぎ込んだ、「ダイナミック泣き!」
コミカルからシリアスな役柄まで、安定的な演技力に定評のあるパク・ソジュン。『キム秘書はいったい、なぜ?』の時のような「静かな涙が頬を一筋」といった演技もいいけれど、やはり強く推したいのは『梨泰院クラス』で見せたダイナミックな泣きの演技! 悔しさやもどかしさなどの感情をすべて涙と声に詰め込み、感情を爆発させているシーン。この場面は何度観ても胸に突き刺さる……!
ヒョンビン(40)/世界中の人を号泣させた『愛の不時着』はもはや伝説!
先日、韓国のブランドアンバサダーを務めるロロ・ピアーナ(Loro Piana)のヒョンビン・エディションのローンチを記念し、5年ぶりに来日を果たしたヒョンビン。銀座店前には約800人のファンが駆けつけるほど大盛り上がり! そんなヒョンビンの代表作『愛の不時着』の泣きシーンのプロフェッショナルさは言わずもがな。ふたりの愛を隔てるものはたった数センチの境界線。姿が見えているのに、触れられる距離にいるのに、離れることしかできない絶望的な瞬間を前に、ソン・イェジン(41)演じるヒロインへの愛を「涙」で表現したシーン。何度観ても心に響く! 本作がきっかけとなり交際、そして結婚したイェジンとの愛息のお披露目日はくるのか!? ぜひとも期待したい。
チソン(46)/異なる感情で涙する、高難易度の泣きシーン!
第二次韓流ブーム時から、根強い日本のファンを獲得し、今もなお魅了し続けているチソン。各作品でどんな類似キャラクターを演じていても、ひとつとして「同じような役」に見せない圧倒的な演技力の持ち主。そんなチソンの泣き演技が、素晴らしくないはずがなく……。特に、一人二役で双子を演じた主演ドラマ『アダマス 失われたダイヤ』。まずもって本当に双子にしか見えないほどの繊細すぎる演じ分けに度肝を抜かれながら、それぞれが異なる感情で涙を流すという究極のシーンが到来! 泣きはじめるまでの“溜め”、涙の流し方、すべて操るチソンはやはり只者ではない。ひとつとして同じ泣きシーンはないと改めて実感。
キム・ソンホ(36)/溜め込んでいた感情が、涙として溢れ出す!
『海街チャチャチャ』のホンパンジャン(班長)役でついに一番手に躍り出たキム・ソンホ。『スタートアップ: 夢の扉』など恋の二番手スーパーサブ役で視聴者にときめきを与えていただけに、一番手となった本作は、極甘シーンに加え、泣きシーンまで惜しみなく披露され、旨みがここぞと凝縮されている! ソンホの泣きシーンのすごいところは、目を真っ赤にしながらも、どこまでも上品に涙する点。ドラマ視聴者に、思わず静かな涙を流させるやり手。
ソ・ジソブ(45)/誰よりも“孤独”な役が似合う韓流スター
元より『ごめん、愛してる』や『主君の太陽』など、孤独と背中合わせに生きている役柄が抜群に似合うソ・ジソブは、溜め込んでいた感情が溢れ出し、「思わず、一筋の涙が頬を伝う」といった泣きシーンの演じ方が見事! 2022年に配信された『ドクター弁護士』でも考えられないほどの悲運っぷりにもかかわらず決して嘆かず、自身の道を切り開いていくさまが最高にクール。
イ・ジュンギ(40)/果たして「涙」のレパートリーは何パターン!?
出世作の映画『王の男』より涙の演技に定評のあったイ・ジュンギだけれど、2020年に放送された『悪の花』にて桁違いの涙シーンを披露。二面性を胸に秘め、あらゆる感情を持たない役柄だっただけに、作中で涙するのはたった1シーン……にもかかわらず、その豪快な泣きじゃくり演技で視聴者の心を震わせたことは間違いない! 緻密に練られた演出だけにつられて大号泣してしまうだけでなく、思い出し泣きさせるティアーズ・ヒーロー。
ソ・イングク(35)/弱さを見せない人の泣きシーンほど、心震わされるものはなし!
国民的ドラマ『応答せよ 1997』で一気に大ブレイクを遂げたソ・イングクの泣きシーンで推したいのは、チョン・ソミン(34)とのケミストリーが最高だった『空から降る一億の星』。幼少期の記憶を持たず児童養護施設で育ったイングクと、両親を亡くしながらも懸命に生き、困っている人を放っておけないお人好しのソミンとの切ないラブストーリーが肝。どこかイングクの雰囲気と通ずるものがあるけれど、ボロボロな精神状態なのに決して人前で泣きじゃくることはせず、ひとり隠れて「崩れ落ちて泣く」シーンがもう、観ていられない! 強がって生きる一匹狼が弱さを見せるその瞬間、視聴者が恋に落ちないわけがない……!
キム・スヒョン(35)/絶望泣きから感動泣きまで、巧みに操る演技派
過去には「涙のプリンス」という愛称で親しまれていたほど、コミカルからシリアスまで幅広い役柄を演じられることが強みのキム・スヒョン。伝説的視聴率を叩き出した『太陽を抱く月』では驚愕の事実を前に涙腺崩壊しながら崩れ落ちる姿を披露したり、『星から来たあなた』では宇宙人という突飛な設定ながら、決して越えられない壁に、もがき苦しみ涙したり。そしてなんと言っても『サイコだけど大丈夫』では名脇役のオ・ジョンセ(46)が自閉スペクトラム症の兄ムン・サンテを演じたことで、想像を遥かに凌駕する号泣案件ドラマに! あらゆる表情筋をすべて駆使して泣いているのではないか!? と思うほどにスヒョンの涙には感情を揺さぶられる。
2PM イ・ジュノ(33)/せめぎ合う感情に苦しむ、王の涙
ロマンス時代劇の歴史を塗り替えるほどの大ヒットを遂げた主演作『赤い袖先』。イ・ジュノの俳優キャリアを語る上で欠かせない名作にて、ジュノが演じたのは、これまで何度も韓国ドラマの題材で扱われてきた朝鮮王朝第22代国王兼名君イ・サン。孤独な王の心を突き動かしたひとりの宮女を演じたイ・セヨン(30)とのロマンスがあまりにも切なく残酷ゆえに、視聴者としては設定だけで涙するシーンもしばしば。抑えられない感情にもがきながら、募る気持ちに蓋をすることができないジュノの「葛藤涙」に心がズキズキ痛んで仕方ない!
パク・ボゴム(29)/子犬のように泣きじゃくる姿に、なぜかときめく
涙の強弱で巧みに演じるパク・ボゴムは、「一粒の涙でほろり泣き」や「声を上げたワンワン泣き」など、どのタイプの涙も流せてしまうやり手。特に泣くシーンが多い『ボーイフレンド』では、キューバで出会ったヌナ(お姉さん)、のちに就職先の上司であることが発覚するソン・ヘギョ(41)に惹かれながらも、様々な現実問題を前になかなか先に進めない。そんな状況下において、あらゆる感情で涙するシーンが続々と。切なくて観ていられないと同時に、 大人の心をくすぐるのが上手いボゴムが演じているとなぜかときめいてしまう……という現象に陥ること請け合い。
チョン・ヘイン(35)/ロマンスから社会派ドラマまで。異なる「涙」を惜しみなく披露
2023年、ついにシーズン2が配信予定の『D.P. -脱走兵追跡官』。チョン・ヘインの新たな挑戦となった本作は、韓国の兵役制度が抱える闇を曝け出しており、Netflixを通して全世界の視聴者に衝撃を与えたドラマでもある。1話のラストに訪れる、許容も理解もできない現実を前に涙するシーンは必見! ヘイン大ブレイク作品の『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』で見せた「愛する人との別れ、再会」に込められた涙とは打って変わり、ガラリとイメージチェンジしている点もポイントで、どちらの涙も甲乙付け難い……! ちなみに以下写真の『ある春の夜に』のように、物理的に涙を流しているわけではないのに表情から「心の涙」を表現するのもヘイン流のテクニック。
イ・ドヒョン(28)/深い悲しみと背中合わせに生きる、若者の涙
父を殺害した犯人がようやく動機を口にした瞬間、張り詰めていた感情が一気に爆発し、ひとり車の中で泣き崩れた『ザ・グローリー〜耀かしき復讐〜』。そして“時代”の餌食となり、愛する人と自由に生きることも許されない現実に打ちひしがれる『五月の青春』。どちらも「一見裕福なお坊ちゃんに見えるけれど、実は大きな闇を抱えている」という役柄で、これが抜群にマッチするイ・ドヒョンが演じているゆえに、設定と演技力の相乗効果で到底涙なしには観られない!状態に。特に『五月の青春』は1980年「5・18民主化運動」の時代を描いていることもあり、タイトルの意味を何度も問うては涙する、そんな名作。
イ・ジョンソク(33)/感情のままに「うめき泣く」姿に、視聴者の涙がとまらない!
共演したヘインとのツーショット写真では笑みを浮かべているけれど、イ・ジョンソク出演作品で大号泣せずにいられなかったのは『あなたが眠っている間に』。サスペンス×ロマンスゆえに、事件と恋愛の両軸からハラハラドキドキさせられるのだけれど、最終回は号泣の壁を打ち破るほどの涙腺崩壊シーンが! 見えていなかった真実が次から次へとジョンソクに降りかかり、人目を憚らずただただ泣き喚くことしかできない……と、世間の目など一切「アウトオブ眼中」の姿勢で、自分の感情に忠実に涙する姿。こんなジョンソクは本作でしか観られないため、視聴必至!!