【ピート・デヴィッドソン】アリアナ、キムもぞっこん……「全米一のモテ男」ピートの3つの恋愛術【辰巳JUNKのセレブリティ・カルチャー】

今のアメリカで「もっともモテる男」とされるセレブは、映画スターでもアイドルでもない。1993年生まれ、現在28歳のコメディアン、ピート・デヴィッドソンだ。

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Photo:Getty Images

2014年より老舗コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』(以下『SNL』)のホストをつとめるピートが名を上げたのは、2018年。人気ポップスター、アリアナ・グランデと交際数週間でスピード婚約に至ったのだ。当時のアリアナはベタ惚れだったようで「Pete Davidson」と題した曲で「私の人生は彼に出逢うためにあった」と歌うほどだった。ただし、5ヶ月で婚約破棄に至るスピード破局を迎える(そして、ピートを名指しするアリアナの破局ソング「thank u, next」が大ヒットした)。 

「全米一のモテ男」の謎

そこから、ピートの「モテ男」街道はフルスロットル状態となった。(ピートの交際歴をまとめ「何故こんなにモテるのか」と疑問を呈するTikTok投稿

アラサーの彼が射止めた美女たちは、20歳年上の40代俳優ケイト・ベッキンセールから交際当時10代だったモデルのカイア・ガーバーまで幅広い。それぞれNetflixドラマ『メイドの手帖』、『ブリジャートン家』主演で知られるマーガレット・クアリー、フィービー・ディネヴァーなど、同世代ともデートしていった。そして2021年秋、13歳年上の大物スター、キム・カーダシアンの離婚後初となる彼氏の座に就任したのだった。

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Photo:Getty Images

2022年夏にキムと破局を迎えるやいなや、SNSは「大喜利」フィーバーにわいた。「モテ男」ピートの次の恋人は誰なのか、次々と予想されていったのだ。手を握る写真が発見されたことで候補の一人とされた80代カリスマ主婦、マーサ・スチュワートに至っては「彼は息子のような存在」 と応答までしている。

下世話な話だが、ピートが何故ここまでモテるのか、疑問を持つ人は多い。たとえば、俳優ティモシー・シャラメなら、見目麗しくジェンダー問題を流暢に語るのだから、人気も納得しやすい。しかし、ピートの場合、お笑いの師匠から「食べものを分け与えたくなる憐れな子どものよう」 とも例えられた、シックボーイ風の容貌。コメディアンとしても、女好きの白人男性目線から「政治的正しさ」への不満をとなえる「不謹慎」寄りの芸風だ。

それでも、ピートは、アリアナを筆頭としたフェミニストからもモテる。謎が謎を呼ぶ「モテ男」の口から語られた恋愛術を3つ紹介しよう。

①自分をよく見せようとしない

そもそも、ピート・デヴィッドソンは、同性の友人にもモテる。たとえば、人気ラッパー、ジャック・ハーロウは「ピートの魅力は正直さ」だと礼賛している。

ピート本人にしても、自分が好かれる理由は「正直さ」だと考えているようだ。彼いわく、ロマンスはじめに多くの人間が演じる「理想の自己像」は、時とともに破綻していく。ピートの場合、初対面で「俺はどうしようもない人間で、問題を抱えていて、セラピーに通ってる」と身の上を明かすそうだ。こうしたスタンスは人を選ぶものだが、だからこそ、合わないと感じた相手は(ロマンス候補としては)去っていく。そして、その正直さを「清々しくてクール」と感じる者が残る。

②ノーSNS、シンプルなコミュニケーション

今どきな魅力としては「SNSフリー」があがる。著名人としてバッシングにも遭ってきたピートは、ここ数年ソーシャルメディアをやっていないのだ。面倒やしがらみ、あるいは新たな出会いを生みやすいSNSをやっていないことは、近年人気の「モテ属性」とされている。

「恋愛のかけひきは絶対やらない」と語るピートが重要視するのは「今日は調子いい」程度のシンプルなコミュニケーション。常時つながっている状態はプレッシャーを生むため、返信の待ち時間で不安にならないような関係構築こそ大事だという。「もし相手を信頼して愛しているのなら、相手がなにをやっていようと、連絡や相互理解していれば大丈夫。これが俺のアドバイスかな」。

③お姫様扱い

ピートには、モテ男の天性も備わっている。ずばり、交際相手を「お姫様扱い」する奉仕主義なのだ。同時に、情熱的なアピールを好まない相手に対しては調整するという。「自分がやりたいからやっている」と認識し、見返りを求めない心構えも重要だそうだ。

 

たしかに、ピートは「無私の奉仕」を好んでいるようだ。アリアナ、キムとの交際中には、それぞれの恋人に関するタトゥーを複数いれていった。司法試験に合格したキムが弁護士会に登録した際には「俺の彼女は弁護士」と彫るなど、身体をはってお祝いしている。

「自分が最低だと自覚しろ」

結局のところ、ピート・デヴィッドソンがモテる理由は、コメディアンとしての魅力に通じているかもしれない。今でこそ陽気だが、学生時代には友達がいなかったという。7歳のころ、9.11によって消防士の父親を亡くしたことで、重い心の傷を抱えていたのだ。ふさぎこむ少年を救ったのが、スタンダップコメディである。

ピートは「9.11の息子」としてスターダムを駆けあがった。『SNL』初登場の頃より、父の死をネタにしつづけてきたのだ。2015年には、ジャスティン・ビーバー相手にこう放って世間をわかせた。

「俺は9.11で親父を亡くした。ずっと、父親がいないことが辛かったよ……ジャスティン、君の親父に会うまではね。今となっては、親父が死んでよかったよ!」

問題行動を繰り返すジャスティンの父親が「毒親」的に報じられていたことを皮肉ったロースト(名声を持つゲストをネタにするコメディ)だが、自らの深い悲しみをもあぶり出す技こそ「正直」なピート節と言える。「不謹慎」とも言われる芸風について、彼はこのように語っている。「本当に悲しいことについては、ネタにするようにしているんだ。その話が面白くさえなれば、もう傷つくことはなくなる」 。

自分も他人もネタにしていくピートは、コメディの自由を侵す「政治的正しさ」に抗う姿勢を見せている。政治観や表現の問題、さらに恋愛観は人それぞれだろう。しかし、「モテ男」によるSNS世代への助言は、広く響くかもしれない。「若い世代には、自己認識が足りてないんじゃないかな……たとえばさ、自分が最低だと自覚しろ。(自分にも酷いところがあると認識するのが)大事なことだよ」。

辰己JUNKプロフィール画像
辰己JUNK

セレブリティや音楽、映画、ドラマなど、アメリカのポップカルチャー情報をメディアに多数寄稿。著書に『アメリカン・セレブリティーズ』(スモール出版)

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