若手から中堅、そして老舗メゾンがクリエイティビティを競うロンドンファッションウィーク。人気を集めるデザイナーに共通しているのは、それぞれが代名詞的なシグネチャースタイルを持っているという点だ。サステナビリティの観点から見ても、シーズンを超えて着続けられる “コンシステント (一貫した)” クリエイションは理に叶うもの。ブレグジットの追い風を受けて、独自路線を突き進むロンドンの命運やいかに。
【バーバリー】永遠の定番トレンチコートをモダンに見せる、リカルド・ティッシの手腕に拍手
【フィービー イングリッシュ】ロンドンでも話題の的はサステナビリティ
画期的なコンセプトが話題になったフィービー・イングリッシュのインスタレーション。「Nothing New」というテーマの通り、その服はパートナーブランドから提供された素材からの再構築。そのパートナーが、キャサリン・ハムネット、トゥーグッド、マーティン・ローズやシモネ・ロシャなど、ロンドンで人気のブランド、というところに注目。サステナビリティのアクションを、自分だけでなくロンドンファッション界を巻き込みながら自分らしく提案する試みは、モードとサステナビリティの両立を考えるための視野を広げてくれた。
【モリー ゴダード】シグネチャーのチュールドレスを、ノスタルジックに再解釈
今季のモリ― ゴダードは、ちょっとなつかしさのあるレイヤードの提案。得意のチュールドレスは古着のようなレトロなニットとのレイヤードで、夢とリアリティの配合をこれまでから少し変化させて新しいスタイリングイメージをみせてくれました。80年代のデニムやアグリーニットの色など、カラーリングも絶妙。このショーを、クロスがきちんとかけられてセッティングされたテーブルについて観る、というスタイルにもモリ―の遊び心が感じられました。
【リチャード クイン】ファンタジー溢れるコレクション、ファッションってやっぱり楽しい!
ハウスオブクインと題されたテーマの通り、リチャード クインのテーマは、彼の夢の家。ステージは花々で床から天井まで覆われて、ピンクとブルーのカーペットのランウェイは明るいライトに照らされて。ラインストーンでマスクまで覆われた煌めくレディや、花の精、ホイップクリームのように膨らむボリュームシルエットなど、総じてオプティミスティックなムード。こんな時期だからこそ、胸を張ってファッションを楽しむことの歓びを正攻法で見せてくれたそのショーの美しさは心に残りました。