ウクライナにエールを、そして戦争にノーを。ファッションウィークで声を上げたデザイナー、モデルたち

連日SNSのタイムラインを埋め尽くす、ウクライナ情勢に関するトピック。プーチン大統領が、ウクライナへに軍事侵攻を開始してから一週間が経つが、日々報道される現地での凄惨な光景、そして収束の糸口が見えない現状に、塞ぎ込んでしまう人も多いことだろう。

そんな最中、ミラノファッションウィーク期間中に開催されたショーで、ある大きな、そして静かなる決断がなされた。2月27日に発表された、ジョルジオ アルマーニのショーだ。コレクションのテーマは「光のサイン」。ブラックやネイビー、グリーンといったシックなカラーパレットで構成されたワードローブは、シルバーの光沢を帯びた素材使いが多用され、アルマーニらしいスタイルが披露された。いつもと異なったのは、会場が異様なまでの静寂に包まれていたということだ。

Photo courtesy of brand
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「ショーが始まる数時間前に、今起きていることを踏まえて、自分にできることは何かと自問した。私の心はウクライナの人たちと共にあるのだと伝えるべく、ショーに音楽は入れないことを決めた」と語るジョルジオ・アルマーニ氏。この英断に、来場していたゲストだけでなく、多くのファッション関係者が大いに感銘を受けたに違いない。

バレンシアガは、公式インスタグラムの投稿を全て消し、ウクライナの国旗を投稿。アーティスティック・ディレクターであるデムナ・ヴァザリアは、ジョージアに生まれ、ロシア人の母を持ち、自身も紛争下で育った経験を持つ。投稿では、バレンシアガが国連WFP(世界食糧計画)に寄付する旨、そして寄付を呼びかける内容が綴られている。またLVMHグループも3日、赤十字国際委員会への寄付を表明したほか、2021年に設立した「LVMH ハートファンド」を通じて継続的に支援することをSNSで発表した。

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ウクライナに対する支援の姿勢を公にし、アクションに移したのはデザイナーだけではない。モデルのミカ・アルガナラスは、今シーズンランウェイショーで受け取るギャランティの一部をウクライナの人道支援へ寄付することを発表。「戦争の最中にファッションショーを歩くことに違和感がある」としながらも、SNSを通じて積極的な支援の呼びかけを行なっている。

一方で、ウクライナ出身のスタイリスト、DJ、モデルのナディア・シャポヴァルは自身のSNSで「今私たちの国に起こっていることは、近いうちにあなたの国にも起こりうる」と警鐘を鳴らす。

これらの取り組みや、SNSでの呼びかけは、もしかしたら抜本的な解決に直結しないかもしれない。しかし、多くの人が無力感に呆然とする中、希望を捨てず、ファッションを通してメッセージを発信する姿から、今私たちに何ができるのか学び、行動に移したい。

text:Shunsuke Okabe

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