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【2023年春夏パリコレクション】SPURのベスト3コレクション! “進化”と“深化”を遂げたニュースタンダードが、春の大本命!

9月26日からスタートした2023年春夏パリファッションウィーク。パンデミック以降では最大となる105のブランドが新作を発表しました。約2年にわたって海外コレクションを中断していたコム デ ギャルソンやイッセイ ミヤケなど日本勢の復帰のほか、ロンドンで発表してきたヴィクトリア・ベッカム、ニューヨークの常連だったジマーマンも参戦。世界中から多くのセレブリティも来場し、パリ全体が活気に満ちた9日間でした。最新テクノロジーを駆使したプレゼンテーションも話題となる一方で、印象的だったのは“進化”と“深化”を同時に遂げたスタンダード。それぞれの美学を深めつつ、新たな意匠を凝らしたルックの数々は、「こんな服に袖を通してみたい」とファッションへの憧れと情熱を想起させるものでした。中でも編集部が心惹かれたブランドを、ベストルックと共にご紹介します。

【miumiu】シンプリシティ×ユーティリティ。2023年もトレンドをけん引するのはこのブランド!

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タイトなヘアが新鮮なエミリー・ラタコウスキー。スポーティなルックとエレガントなヘアメイクというハイセンスなMIX感もミュウミュウならでは。

ベーシックの再解釈を打ち出した1年前のコレクション。ミウッチャ・プラダはパンデミックにより“おしゃれの冬眠状態”に陥っていた人々のファッションへの情熱を呼び起こしました。2023年春夏コレクションはその流れを継続しながら、またも世界中の人々が沸き立つショーを展開。テーラードジャケット、コート、シャツ、セーターといったクラシカルなアイテムを先のシーズンから引用しつつ、ユーティリティなデザインを大きく打ち出しました。核となったのはケミカル素材のジップブルゾンや、大きく膨らんだ箱のようなポケットで飾られたアウターやボトム。さらにショーの後半では無駄を省き、シンプリシティを極めたアイテムも目を引き、特にプリミティブにカットされた布地に留め具のついたブラトップはビビットな存在感を放っていました。『ゴーン・ガール』でおなじみのエミリー・ラタコウスキーが着用したルックはムードがわかりやすく、ローライズボトムやスポーティなブラトップ、機能性を強調したデザインなど来春のトレンドとなるであろう要素がぎゅっと詰まっています。今回も発表されたルックはもちろん、ショーの演出やアップカミングな人材の起用も話題に。ユアン・マクレガーの娘であるエスター・ローズ・マクレガー、メゾンのためにショートムービーを撮影したこともあるミランダ・ジュライ、フィナーレに登場したFKA ツイッグスなどクールなランウェイモデルの起用をはじめ、中国人アーティストShuang Li(シュアン・リー)をフィーチャーした演出も心躍りました。パリ16区のイエナ宮はオリジナルのプロジェクションマッピングで彩られ、Eli Osheyack(イーライ・オシェラック)の手がけた音楽がアップビートな雰囲気で会場全体を包み込む。ファッションから会場、そして音楽まで、芸術的なコミュニケーションすべてで観客を魅了し、“ミュウミュウ・ファンダム”は来シーズン以降も拡大していくと確信しました。

【SAINT LAURENT】凛々しさと色気と、ひとさじのエフォートレス。現代女性のためのフード✖スクエアショルダー

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パジャマにインスパイヤされたサテンのルックの上に力強いショルダーラインのコート。かっこいいけど、ハードじゃなくエレガント。このバランスが最高!

パリ五輪の影響からお馴染みのトロカデロ庭園でのショーの開催は一旦今季までとなったサンローラン。エッフェル塔を望む広場に本来は存在しない噴水もセッティングし、壮大なスケールの会場にゲストたちを招き入れました。映画さながらのロケーションですが、そこに登場したのは荘厳な背景に引けを取らない力強いルックたち。伝説の舞踏家マーサ・グレアムが1930年の『Lamentation(哀歌)』にて身に纏ったドレスに着想を得たというコレクションは、凛々しさと色気に溢れ、見ているうちに「こんな服を待っていたんだ!」という興奮と「なんて美しいシルエットなのだろう」という陶酔が交互に押し寄せてきます。以前から高い評価を得ている地面に届くほど長いドレスや構築的なシルエットのアウターは健在。今季はそこにムッシュ イヴ・サンローランが1980年代に発表した“カプッチョ”の流れを組むフードのディテールがアクセントして加わったことが、個人的には一番惹かれたポイントでした。息をのむほど洗練されているけど、室内着の上によそゆきのアウターをさっと羽織って出かけてしまうノンシャランなパリの女性たちをイメージさせる、エフォートレスな魅力も感じられるのがたまりません。春夏シーズンとはいえ無理に明るい色を選ぶのではなくメゾンならではのクラシックなカラーパレットを展開し、かつてミューズだったル・ル・ドゥ・ラ・ファレーズの遊び心をイメージしたウッドやメタリックのビッグサイズのアクセサリーも華を添える。アンソニー・ヴァカレロが描くサンローランの真骨頂を目の当たりにした気持ちです。次の春、現代をタフに生き抜く女性たちに一番似合うのは、このメゾンの服なのではないでしょうか。

【CHANEL】真のラグジュアリーは自由で軽快。私たちはシャネルに何度でも恋をする

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ほのかに肌が透けて、スパンコールが輝く、いつの時代もモードな黒はシャネルから生まれる。

アラン レネ監督の名作『去年マリエンバードで』。アラン・ロブ=グリエが脚本を手掛け、マドモアゼル シャネルが衣装を手掛けたことでも知られる映画をテーマとしたショーは、“シャネルがシャネルらしくあること”の圧倒的なパワーを感じる内容でした。モノクロームの映画を象徴するフォトプリントのドレスでスタートし、ブラック&ホワイトの前半から、柔らかなピンクやミントグリーンのパステルカラーに心躍る後半へ。色彩は移ろいつつも、一貫してランウェイにはアイコニックなアイテムが登場。ラメやメランジのツイード、ハウンドトゥース柄、コンビネゾン、時代を超えて愛される服が人々を魅了しました。一方でそこに現代的なエッセンスが取り入れられているのも印象的。ドレスはウエストからわずかに広がるフレアシルエット、ジャケットの下のボトムはマイクロミニ……と品格ある佇まいながら若々しい。ヴィルジニー・ヴィアールがメゾンのレガシーに最大の敬意を払いつつ、モダニティと軽やかさを表現しているのがわかります。中でも個人的に好きだったのは黒いセットアップのルック。ヌーベルバーグを思わせるレトロな黒でありながら、オーバーサイズのVネックに、ハーフ丈のショーツで少しだけラフなムードを演出したことでぐっと鮮度が上昇。肌見せのトレンドは継続中ですが、こんな風に一線を画すバランスを目指したいですね。そして目が離せない愛らしさを持った小物も見逃せない! 素肌の上に映えるインパクトあるネックレス、スパンコール輝くソックスが組み合わさったシューズ、メタリックシルバーのミニバッグ。今期もまたシャネルが魅せる夢の世界に見惚れました。

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エディターHA

ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。

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