『殺人者のパラドックス』での共演が話題となったソン・ソックとチェ・ウシク。互いに演技派俳優として名を連ねており、類稀なる色気にハマる大人が続出中のソックと、若手演技派の代表格として様々な作品に出演する傍ら、バラエティにも引っ張りだこのウシクは、今追って損なしの俳優たち! そんな韓ドラ追っかけ班も夢中になっているふたりについてアツ〜く語りながら、見逃し厳禁なおすすめ主演ドラマ2作品ずつをご紹介します。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、20年以上あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。
【さすらいのライター山崎's Recommend Point!】
汗みどろのTシャツに無精髭。月の下で一人黙々とあおるソジュ(お酒)。寡黙でニヒルなのに時折見せる大胆な熱い行動。私のまわりのアジュンマたちの中で、ク氏の虜にならなかった人はもちろんひとりもおりません。そう、2022年の名作『私の解放日誌』。この作品でミステリアスな男ク氏を演じ、いきなり全国区へと躍り出た俳優ソン・ソック。どちらかというとすっきり端正なイメージの多い韓国俳優の中にあって、一癖も二癖もありそうな体の芯までじんじんと揺さぶりまくってくるあの抵抗し難い色気は(なのに清潔感もある!)やっぱり唯一無二と思うのですが、いかがでしょう。
ドラマデビューは34歳という遅咲きで、しかも、その作品『センス8』(ペ・ドゥナと共演)は、米ドラマという変わりダネ。その経歴もかなりユニークで、生まれは韓国なんだけど(おうちは財閥家らしい)、中学校の時に米留学、シカゴ美術館付属美術大学へと進学しドキュメンタリーを専攻していた模様。その後、兵役で帰国するも韓国語の会話と習慣になじめず(欧米か←古いけど)、自らイラク派遣を志願しイラクへ。派遣兵はかなりの精鋭しか選抜されないというから、その頭脳も腕力もかなりな手練れに違いありません。除隊後はなんとプロバスケ選手を目指しカナダへ。冗談みたいだけどマジらしい。で、その練習の傍ら通い始めた演劇アカデミーで目覚めたのが俳優業。なかなか芽が出ない30代前半を経ての今に至る……というなかなかレアなプロフィール。
一見すると悪人寄りのお顔立ちではありますが、デビュー作の『センス8』も含めて意外に多いのが刑事役。で、『マザー〜無性の愛〜』の虐待スレギ役や『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』の言葉DV監督役、『D.P.-脱走兵追跡官-』シーズン1のこすっからい上官役、映画『犯罪都市THE ROUNDUP』の凶悪犯役などなど、悪寄りのお役も悪くないのではありますが、私的には『カジノ』『殺人者のパラドックス』など、一見クールに見えつつ、その内にピュアな正義感と情熱を秘めたソック刑事により萌え萌え。風船膨らませつつチェ・ウシクを追う『殺人者〜』の大人セクシー刑事も良きですが、私的イチオシなのが『カジノ』の派遣刑事。フィリピン舞台なだけあって、度々披露される巧みな英語力はもとより、同僚のフィリピン警察官との友情にもたっぷり泣かせていただきました。来年配信予定のキム・ダミとの新作『ナインパズル』もなんと刑事役! 今から待ち遠しくてたまりません。
【エディターK's Recommend Point!】
あの鋭い目で見つめられたら、金縛りにあったかのように動けなくなりそう。個人的に2番手を演じるような子犬系俳優に引かれる傾向があるので、「まさかハマるとは思わなかった俳優No.1」かもしれません。とにかく多い刑事役(笑)に、虐待スレギ役、パワハラ監督役などあらゆる役を演じてきましたが、韓ドラフリークの心を180度変えさせたのは、やっぱり“ク氏”役の『私の解放日誌』。ここから怒涛のソック沼に陥る人が続出。陰のなかに時々チラつく“陽”の笑顔で、私たちの心をかっさらっていきましたね。これはもう自身のアグレッシブな性格とこれまでの人生経験をフルに活かしているんだろうなと想像に容易い繊細な演技あってこそです。だから悪役のときなんて心底嫌いになりそうなくらいねちっこい演技なんですよ。遅咲きと言えど、上記の出演作品名を見ると、改めて実力の高さを感じますよね。ソックにしか出せない旨みがあり、それを自分できちんと理解している(と推測)。韓国でのCM出演本数もかなり多く、ドラマファンこそ好きになる俳優。ソックとウシクの共通点はここにあり!と思う次第です。
ソン・ソック出演ドラマの詳細はこちらの記事をチェック!
ソン・ソックのおすすめ主演ドラマ1/『私の解放日誌』
2話のラストに発せられるヨム・ミジョン(キム・ジウォン)の「私を崇めて」というセリフが、今もなお強烈に心に突き刺さっております。ソウルに往復4時間かけて通勤している3兄妹のどこにでもいそうな、ありそうな日常を淡々と綴りながら日々の息詰まるような閉塞感からタイトル通りに解放させていく小説のようなドラマ。ソン・ソック演じるク氏は、3人が住む田舎町にふらりとやってきた流れ者で、ある意味、ちょっとした非日常性を持っている謎の男なのでありますが、多くを語らず、誰とも交わらず、何を考えているかわからず、なのに、妙に気になって仕方がないというか。
というのもその斜に見るような眼差しも、片端上げ気味の口もともゾクゾクするような危険な香りに満ち満ちており。ミジョンは社会にうまく溶け込むことのできない社交性ほぼほぼゼロの真面目で地味な会社員なのですが、そんな人ほどちょっとした非日常の危険に引き寄せられていくかのごとくク氏に惹きつけられていくわけなのです。セリフの量も極力少なめなク氏ではありますが、存在そのものから発せられる行間のような表現力はむしろ豊かだし、ドラマそのものも、説明台詞や説明シーンを削ぎ落とした日常のセリフの中に謎解きのような人生の意味が組み込まれていて、それらを読み解いていく面白さはそんじょそこらのミステリーの比ではありません。ラストの3兄妹とク氏のそれぞれの選択には、同じように閉塞的な日常を生きている私たちだからこそ、深い感動を覚えるというか。まだ、観ていない人は、ぜひ!(さすらいのライター山崎)
『私の解放日誌』の詳細はこちらの記事をチェック!
ソン・ソックのおすすめ主演ドラマ2/『カジノ』
東南アジアのカジノ王として上り詰めた実在の人物をモデルに、ドラマ出演が26年ぶりという映画界の名優チェ・ミンシクが主人公ムシクを演じるクライムドラマ。伝説のカジノ王の大博打的人生を軽妙洒脱に描き上げていく演出が洒落ていて、激しいシーンも数々ありながらムシクの人間味溢れるキャラクターがチャーミングに映し出されているせいか、ノワール苦手派の私も一気に引き込まれた傑作です。
ソン・ソック演じる刑事ですが、登場してくるのは第5話のラストから。フィリピン初のコリアンデスク(現地の警察組織に派遣された韓国の警察)という役どころなのですが、悪をバンバンやっつける敏腕刑事というよりも、至って平凡な公務員的警官キャラとして描かれているのが新鮮だしとってもリアルで、これがまたソックに意外にも似合う。最初は現地の捜査方針になかなかなじめず、ムシクを追いかけて孤軍奮闘しながらも、現地警察の同僚と徐々に心を通わせていく過程なんか、とっても自然体でナチュラルだし、程よく抑制されていて魅せられちゃうんですよね。そして、何度も書いてしまうけれど、普通の公務員警官なのに、さりげなく感じさせるピュアな正義感が、本当にチェゴ(最高)。「演技をしている感じがしなかった」とソック自身も語るほど、彼に近いキャラクターだったようで、そんなこと言われたら惚れてまうやろう! いや本当に。(さすらいのライター山崎)
『カジノ』の詳細はこちらの記事をチェック!
【エディターK's Recommend Point!】
弟、同級生、同僚、友達、なんなら友達の恋人……にも感じられる。どのポジションであっても親近感を覚えてしまう不思議な魅力がある人、というイメージ。個人的にはウシクとキム・へユンに同じ匂いを感じています。実際に側にいたら興奮して目を合わせられないと思うのだけれど、まるで身内のような距離の近さというか、本当に隣の家に住んでいてもおかしくないような(当然いませんけども!)、妙な安心感を放っているんですよね。もちろん「若手の代表格」と世間で愛されるくらい演技派だからという理由もありつつですが、彼らが持つ独特な空気感によって、演じるキャラクターにズバズバと感情移入しちゃう!というマジックにかかっています。
私がウシクに対して、この人いいかもと思ったのが『屋根部屋のプリンス』で、その次にやっぱり好きだなと再認識したのが『新感染 ファイナル・エクスプレス』でした。いつもはぶっきらぼうなのに彼女を守ろうと必死にバットを振りまわす野球少年役がすごくマッチしていて。今観てもなんだか素に見えてしまうくらい溢れるホンモノ感。だからこそ、共演したチョン・ユミオンニとの丁寧な暮らしを映したバラエティ『ホームバカンス』も最高なんですね……これはアイドルも然りですが、彼らの内面に触れられるコンテンツってもう沼にならざるを得ないですよね? ユミオンニやパク・ソジュンといるときの弟感に加えて、通称ウガウガファミリー(ソジュン、BTSテテ、パク・ヒョンシク、Peakboy)といるときのおふざけ感、どう上手くサボるか?を考えながら結局全力で接客しちゃう『ソジンの家』での愛嬌モンスター! 知れば知るほど好きになる要素をたくさん見つけちゃうし、実はいちばんの人たらし!?と思う次第です。
ウシクが一気に注目を集めたのは皆さんご存じ『パラサイト 半地下の家族』ですが、『その年、私たちは』や最新作の『殺人者のパラドックス』にも感じられるけれど、そこら辺にいそうな普通の人に化けるのがとにかく上手い! とはいえひとりとして同じキャラクターに見せない、しなやかな演技力が圧巻です。それぞれが持つ人間の弱さや心の欲望をちらりと覗かせ、物語に深みを生んでいく。ウシクが出演する作品って、無条件に観たいという気持ちに駆られるんですよね。それはやはり人を虜にする演技力あってこそ。スジ、ボゴム、さらにユミオンニとの共演映画『ワンダーランド』を長らく心待ちにしているんですが、日本公開日はいつなのか……とりあえず渡韓して観るかと企んでいます。
【さすらいのライター山崎's Recommend Point!】
なんだろう。特徴が際立っているわけではないのに、むしろどこにでもいそうな感じすらあるのに、唯一無二感を誰よりも感じずにはいられないのがこの方なんですよね、私的に。“黙って立っているだけで気の毒そうに見える”というのが、かの『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督評。ウシク演じた貧乏一家の長男ギウは、普通っぽい体をしながら一癖ある役柄だったけど、ラストのあのなんとも言えない無力感が胸締め付けられてしまうのは、確かに彼ならではだし。私的愛してやまないドラマ『その年、私たちは』でも、イラストレーターとして成功しているにもかかわらず“いたいけ感”バリバリ放っていたし。もちろん役柄的というのもあるけれど、だとすればこれはウシクしかできなかったんだろうなあなんて。『殺人者のパラドックス』にいたっては、ダークヒーローのごとくバンバン人を殺していく役柄だったけど、そんな自分を「怖くってたまらないんだよー」と涙ながらに訴えちゃうところがスレギに映らず、母性本能揺さぶるかわいそう感醸し出しちゃうのも、やっぱりウシクらしいというかウシクならではだし。だからなのか、彼がウガウガファミリーの一員であることは周知の事実ではありますが、ソジュンにテテにヒョンシクにと華々しいスターオーラが連なる中でも、やっぱり普通っぽいウシクに目が行っちゃう私なのでありました。そんなウガファミのバラエティ番組を見ていると、メンバーの中でなかなか頼りになる存在なんですよね、彼。そこも好き。
『ソジンの家』の詳細はこちらの記事をチェック!
チェ・ウシクのおすすめ主演ドラマ1/『殺人者のパラドックス』
極悪人から心優しい青年までお手のもの。ウシクとソン・ソックの演技派同士の真っ向対決が見ものです。そしてタイトル通りに、何が悪で、何が正義で、何が真理なのか?を常に問われるような感覚に陥るスリラー作品は、現代社会の闇に通ずる部分もあり、決して他人事とは思えず……。ウシクは、特筆すべきことはなく、誰もが胸に秘めている少しのコンプレックスを同じように抱えるだけのフツーの青年イ・タンを演じているんですが、そのコンプレックスが引き金となり、ひょんなことから悪を悪で裁く殺人者になってしまうんですね。なるべくしてなったわけではない、タンの受動的な性格を完璧に演じ切っているところがさすがウシクでして、本当に手練れすぎる! 『ヴィジランテ』のようなある種真っ直ぐなダークヒーロー像とは違って、ウシクが演じているからこそのタンの弱々しさ、人間らしさがいい塩梅に調合されているんですよ。どちらの作品にもそれぞれの良さがありますが、本作に関してはウシク独自のエッセンスがうまく絡み合い、臨場感がすごい。演出も小洒落ていて、タンが思いっきり飛ぶシーンもスローモーションでアートのように印象的です。ストーリー、演者の熱演っぷり、演出と色々な視点から楽しめるはずです!(エディターK)
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チェ・ウシクのおすすめ主演ドラマ2/『その年、私たちは』
『The Witch/魔女』コンビのロマンスとあって、キャスティングから割と優勝気味ではありますが、想像の数百倍はときめかせてくれました。高校生から大人になるまでのふたりの10年間がテーマとなっていて、青春時代の酸いも甘いもすべて共感できるストーリー仕立てに。覆面イラストレーターとして活動するチェ・ウン役にこれまたウシクの良さが凝縮されており、あどけない表情に隠された心の傷とか、抱えきれない寂しさとか、そういうものを常に匂わせてくるんですよね。これがもう母性本能が刺激されて仕方ない! さらに30代にして制服姿に一切違和感を覚えない童顔っぷり!! 新たなウシクの姿を堪能できる作品でもあるので、未視聴の方はまず観てほしい。ロマンス好きなら絶対に沼るはずです。これは大人がハマれるリアル恋愛ものであり、子どもと一緒に観られる作品でもあるのがいいところ。『二十五、二十一』のような、自分の青春時代をここぞとまでに美しく表現したらこんな感じかな……と思える親近感もいい。そしてウガウガファミリーの『IN THE SOOP フレンドケーション』で視聴していたシーンも最高なんですよ。照れまくるウシク、本気で演技を褒めるソジュン、本気でドラマにときめくその他メンバーと、皆が最高に可愛く尊い!(エディターK)
『その年、私たちは』の詳細はこちらの記事をチェック!