【2024年のベストホラー!】度肝を抜く韓国ホラー『破墓/パミョ』をはじめ、今年の良作をプロが厳選

ありとあらゆるホラー作品を掘り続けるホラーマニアこと人間食べ食べカエル氏が、2024年に観て心に刺さった作品とは? 韓国ならではの度肝を抜く展開と名俳優を揃えた『破墓/パミョ』をはじめ、今年のベストホラー3作品をセレクト! 

ありとあらゆるホラー作品を掘り続けるホラーマニアこと人間食べ食べカエル氏が、2024年に観て心に刺さった作品とは? 韓国ならではの度肝を抜く展開と名俳優を揃えた『破墓/パミョ』をはじめ、今年のベストホラー3作品をセレクト! 

『破墓/パミョ』/ド迫力の祈祷! プロの仕事! トンデモお墓!! 今年最強クラスの韓国産ホラー

ホラー映画『破墓/パミョ』
『破墓/パミョ』

韓国のホラー映画でなにが印象に残るか、と聞かれたら、自分の場合はまず「祈祷!!」と勢いよく答える。『哭声/コクソン』のトランス祈祷を最初に観た時は凄まじい衝撃を受けた。韓国ではキリスト教も根付いているため、エクソシスト的悪魔祓いを行うシチュエーションも本格的に描ける。『プリースト 悪魔を葬る者』の細かい所作やノウハウまでしっかりと描写した祈祷シーンも素晴らしかった。本作は、それらに匹敵する凄まじいインパクトの祈禱シーンを見ることができる。2024年に観た映画たちの中でもトップクラスで強い印象が残った。

また、プロフェッショナルの映画としても十二分に楽しめる。風水や葬儀の取り仕切り、そして祈祷に精通した者たちが集い、それぞれの仕事を全うする。まるで墓処理アベンジャーズみたいな展開が興奮を誘う。チームとなって的確に対峙する様は非常にかっこいい。そして、そんな彼らがこれまでに経験したことがないほど邪悪な墓と出合い、そして全力で無害化しようとする展開にグイグイ引っ張られる。メチャクチャ面白い!!

ジャンルが凄い方向に捻じれ、切り替わる後半以降も含め、最後の最後まで目が離せない。凄まじくエネルギッシュだ。脂の乗った韓国映画界の実力を見せつけられた。チェ・ミンシクを始めとした超名優たちの演技アンサンブルも至高。とにかく驚きに満ちているので、できる限り前情報を入れずに臨んでほしい名作だ。

『デッドストリーム』/迷惑配信者とフィジカル怪異! (悪)夢の対戦を描くバトルPOVホラー!!!

ホラー映画『デッドストリーム』
『デッドストリーム』

POVホラー映画に新たな名作が誕生しましたよ! スーパー迷惑女VSハイパー怪異という面白対戦カードを描いた『ダッシュカム』に続けとばかりに、今回は超迷惑動画配信者と元気な怪異のバトルが繰り広げられる!!

まず、本作の主人公のキャラ付けが素晴らしい。色々な迷惑行為を思いつく限りやるし、舞台となる幽霊屋敷に行く際は退路を断つために自分の車のカギをどこかに捨てるなどの向こう見ずな行動をするんだけど、意外と肝が据わっておらず、いざ怪異が起きると全力でビビり倒す。この様子が滑稽で笑えるのだ。しかも配信中にコメント欄でバカにされまくり、それに反論しながらビビるオモシロ展開が待ち受ける。この映像だけで元が取れる。
怪異も怪異でめっちゃパワフル! ユニークなデザインのお化けたちが次から次へと出てきては襲い来る。そしてこいつらは人間の物理攻撃が効く。そんなわけで、人間と怪異のフィジカル対決突入! このバトルがまあ凄い! やっぱり、悪霊に中指を立てるPOVホラーに外れなしですよ!!

劇場公開が小規模だったこともあって、上映時はあまり話題になっていなかったと思う。非常にもったいない! 三半規管が人並み以上の人には強くおすすめしたい一作だ。本作を手掛けた監督夫妻は、ファウンドフッテージホラーアンソロジーシリーズの『V/H/S 98』でも地獄巡りをする傑作を撮っている。こちらは鑑賞ハードルが高いが、おすすめの逸品だ。

『スパイダー/増殖』/新鋭ホラー監督が放つ全身掻きむしり必至の本格フレンチ蜘蛛パニック!!

ホラー映画『スパイダー/増殖』
『スパイダー/増殖』

蜘蛛パニック映画といえば、生物パニック群の中でもかなり人気の高いジャンルである。古くは『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』や『アラクノフォビア』、2000年代以降も『スパイダーズ』『スパイダーパニック!』など数々の名作が作られた。2010年代以降は下火になっていたが、2023年辺りから再復活! その状況下で、フランスからしっかりとお金をかけた極めて真っ当な蜘蛛映画が誕生した。

物語の舞台となるのはフランス郊外にある団地。ここには数多くの移民が住んでいる。フランスでも移民が不当な差別を受ける問題が起きているのだが、本作ではその問題を物語に重ねている。監督の海外インタビューを参照すると、異国の地から運ばれてきた蜘蛛たちと移民を重ね、互いに生き延びるための戦いを繰り広げる様を描いているとのことだ。社会問題にも目を向けたドラマは見応えがある。

もちろん、高速で増えて異常に巨大化する蜘蛛の大暴れと生理的嫌悪感、そしてモンスターパニック的カタルシスもしっかりと描かれており、久しぶりに登場した本格的蜘蛛パニック作品として不足の無い仕上がりにもなっている。終盤の特殊部隊と蜘蛛の群れのバトルは思わずガッツポーズが出る最高の見せ場だ。

そんな本作を手掛けたセヴァスチャン・ヴァニセック監督の次回作はなんと『死霊のはらわた』の新作! 大出世だ!! また一人、追いかけたいホラー監督の新鋭が誕生した。

【ホラードラマ ナビゲーター】
人間食べ食べカエル
あらゆるジャンルのホラー映画・ドラマを網羅する敏腕ライター。人が喰べられる作品に目がない。的確なコメントと面白いつぶやきがクセになる「X」アカウントは、@TABECHAUYOをチェック!

FEATURE
HELLO...!