2023年上半期のスペシャルBEST10の発表から、半年。下半期も衝撃の話題作が続々と誕生しました!! ハリウッド映画級のスケールに度肝を抜かれた『ムービング』や、チョン・ヘイン主演の大人気作品『D.P.–脱走兵追跡官–』のシーズン2、大ヒットメーカーことパク・ウンビン新作『無人島のディーバ』など、2周・3周したいほど面白いドラマが勢揃い! SPUR.JP韓ドラ班が勝手に(!)泣く泣く選んだラインナップと順位を参考に、マイ・ベスト・韓ドラを見つけてみて。(※本記事では、12月20日(水)時点で最終話の放送・日本での配信を迎えている、放送予定だったドラマとして定義しています)
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1位/ムービング【特殊能力×ロマンス×ヒューマン】
私の韓流ドラマ歴代No.1がこの作品によって塗り替えられた、といっても過言ではないかと思われます。超能力を持ちながら、それを隠して生きている3家族を主軸に、愛する人たちを救うために闘う物語です。と聞くと、アクションヒーローものか?と思われがちですが、韓国史上最高の650億ウォンをかけたという壮大なスケールで、単なるスカッと爽快ヒーローものではなく、何度も何度も胸締めつけられるハートウォーミングなお話になっているのが、やっぱり韓国ドラマならではというか。物語は子世代の学園トライアングルラブから始まり、続いて親世代の切ないロマンスが展開され、最後は一丸となって北朝鮮の特殊能力者たちと闘うシーンへと繋がっていくのですが、なぜ、超能力を隠しているのか、なぜ、子どもたちは生まれてきたのか、なぜ、トンカツなのか、なぜ、チキンなのか、なぜ、子どもの帰りをじっと待っているのか、そんな“なぜ・なぜ・なぜ”の伏線が解き明かされるたびに心の底からじ〜〜んと震えが止まらないのです。騙されたと思って観てほしい、そんな作品。(さすらいのライター山崎)
あらゆるジャンルの合わせ技が見事に作用し、トンデモナイ名作が誕生しました。普段韓ドラを観ない人や、男性陣もみなハマり、口を揃えて「面白かった!」と絶賛。この声をぜひ信じてほしい。本当に観て損はさせないと思えるほどのハリウッド映画並みの大スケールに度肝を抜かれます。ドラマにはなかなか出演しない名俳優リュ・スンリョンが出演するだけに、グッと物語に深みが生まれるんですよね。『賢い医師生活』クァク・ソニョンとの恋模様なんぞ、おかわり!と言わんばかりに何度もリピ視聴。枯れ切った心に潤いをありがとうございます! その他ハン・ヒョジュ×チョ・インソンの大人ラブ、もはや息子にしたいイ・ジョンハ×旬俳優コ・ユンジョンの学生ラブ、どちらもときめきが止まらない。メロの演出方法はあくまで定番なんだけれど決して小ダサくなく、終始エモいんですよ……。物語を面白くするカンフル剤は「特殊能力バトル」ではあるものの、そこに韓国ならではの生々しい人間模様、家族の絆をプラスして、ジャンルの域を超えた名作に仕上げた気合いにあっぱれ! 推しが多すぎて選べないという極上の幸せが待っているはずです。私は数ヶ月経った今でも選べません! なんたる幸せ。(エディターK)
2位/D.P.–脱走兵追跡官– シーズン2【軍生活×社会派】
我らがチョン・ヘインが硬派に徹する、待ってましたのシーズン2。兵役を義務とする韓国の軍隊にまつわるイジメやパワハラに焦点を当て、その傍観者であっていいのか、という難問を観ている視聴者にも投げかけてくるドラマです。重苦しいテーマでありながら、スピーディかつ洗練された演出とリアリティあふれる脚本や、俳優たちの魅力的なキャラ設定と存在感、ヘインの相棒役ク・ギョハンの軽妙さで見始めたら一気観必至。シーズン1で描かれた過酷な軍隊の現実を受けて、では、どうする?を描いていくのがシーズン2。イジメはもちろん、隠蔽体質など、相変わらずの軍隊に、これまで傍観者でしかなかったヘインは、どう動くのか? シーズン1では、結局部下を救えなかったキム・ソンギュン演じる上官のパク・ボグム中士は? 同じく上司にすぐに迎合しちゃっていたソン・ソック演じるイム・ジソプ大尉は? さまざまな人たちが心の隅にためてきた“罪悪感”は、世の中を動かす力となり得るのか。ヘインの誠実さとソンギュンとソックの中年コンビの踏ん張りに魅せられます。(さすらいのライター山崎)
全韓ドラフリークが首を長くして待っていました、シーズン2。最後の最後の瞬間まで一切手を抜かない演出に、感謝を述べたい。あのワンシーンにどれだけの『D.P.〜』視聴者の心が救われたことか。韓国の兵役制度と軍生活の闇にスポットライトを当てた大人気WEBトゥーン原作の実写化として、相当なプレッシャーがかかっていたことは想像に容易いですが、それを撥ね除け、大ヒットに導いた我らがヘイン(涙)。甘い顔立ちからメロドラマ出演が多かったヘインなので、これまできっと様々な葛藤もあったのだろうと想像します。ただ本作で間違いなく演技派俳優として名乗り出ました。日本も決して他人事ではない社会問題に対する問いをずっと投げかけられている雰囲気。決して軽い気持ちで視聴はできないけれど、この重厚感こそ、現代社会を生きる私たちが向き合わなくてはならないものだと改めて気付かされます。とはいえヘイン×ギョファンのコミカルなやり取りや存在感に救われる瞬間も。シーズン2はキム・ソンギュン(『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』)とソン・ソック(『私の解放日誌』)がよりキーマンとなっており、その選択に心突き動かされます。ずっと記憶しておきたい、しなければならない、そんな作品です。(エディターK)
配信前から話題だった1・2位の大作に比べて、日本での注目度はかなり低めだった小品的作品です。でも、どうして、どうして蓋を開けてみれば、笑って、ハラハラして、ジンジン届いて、そして最終的に号泣という大傑作。最近は渋めの役が多かった元祖演技ドル、ユン・ゲサン演じるちょっと気弱でお人好し&若干間の抜けた誘拐犯と、500人から選ばれたすご腕子役ユナ演じる11歳の天才少女(役名はロヒ)の追走ヒューマンサスペンスなのですが、この2人のケミが絶品。物語としてはゲサン(役名はミョンジュン)が娘の治療費のため、ロヒを誘拐するところから始まるのですが、IQ200以上のロヒに結局は顎でこき使われ立場は逆転、そこがまず愉快。そんでもって、常にイケメン枠のゲサンですが、今回はイケメンを封印、ボサボサ頭に無精髭、ゆるめの目つき&フェイスラインの冴えない中年アッパ(パパ)ぶり。それがかえって超絶カッコ良く。さらに大人びたロヒの本当は泣きじゃくりたい子ども心に胸締め付けられずにはいられないという具合。年末年始の一気観にもイチオシ。(さすらいのライター山崎)
これこそ2023年の隠れ名作のひとつではないでしょうか。元祖演技ドルのユン・ゲサンの実力は折り紙付きかと思いつつ、なんといってもチェ・ロヒを演じた子役ユナです。彼女の演技力なしには、ここまで面白い作品にはならなかったと断言できます。それくらいふたりのケミが単的に“レベチ”なんですよ。ロヒがミョンジュンを鼻であしらいコキ使っているかと思いきや、「本当に誘拐犯か?」と笑ってしまうくらいお人好しで間抜けなミョンジュンに頭を抱えるロヒの姿に吹き出すし、やり取りがすべてギャグだな!と油断していたら、グッと物語の真髄に近づいてハラハラドキドキさせられたり、ロヒの悲痛な思いに涙させられたり。とにかく緩急が素晴らしかった! 冗談抜きに笑いあり、涙あり、感動あり。1秒たりとも飽きることなく、スマホを触ることもなく、画面と向き合った作品でした。本作もまた大人の欲望に苦しめられる子どもが描かれていて、本当の家族とは? 信頼できる存在とは?を強く問う物語でもあるので、ヒューマン好きは絶対に刺さるはずです。ちなみにハマりすぎた私はしばらくステラ・チャンが歌うOST「Present」しか聴いていませんでした。(エディターK)
やっぱり、パク・ウンビン主演の作品はチェック必須と、改めて心に刻ませていただきました。父親の度重なるDVにもめげることなく、明るく前向きだった少女は、15年の無人島サバイバルを余儀なくされてもなお、元気でひたむきで、さらにたくましさまで身につけて、憧れの歌姫を守るべく、自分の夢を追い求めるべく、多くの困難が待ち受ける世間へと立ち向かっていくのですが、強く優しく清らかで、なのに親しみやすい完璧とさえ思えるヒロインのモクハは、パク・ウンビンそのもののようでもあり。そして、驚くのはその歌声。聴く人すべてを魅了してやまないという設定なのですが、吹き替えを使う手もあったのにもかかわらず、説得力に欠けると自ら歌うことを志願。その澄み切った歌声にも感動しきりですが、そのためにかなりな努力と準備を重ねレッスンに励んだのだとか。さすがすぎます。個人的にはモクハの幼なじみギホはどっち? 的兄役のエン(VIXX)と弟役のチェ・ジョンヒョプとの3人の関係性にも癒されまくっておりました。みんないいヤツ! 力と勇気と愛をもらえる感動作。(さすらいのライター山崎)
5位/今日もあなたに太陽を 〜精神科ナースのダイアリー〜【ヒューマン×社会派】
重い案件に心も体も疲弊し、体調を崩していた時に一気観したからでしょうか。序盤からあらゆるシーンで涙した気がします。コミカルな演技が得意ゆえに、ロマコメ主演的立ち位置のパク・ボヨンが、本作では少し……いや、かなり違った表情を見せています。原題の『精神病棟にも朝が来ます』のほうが作品の雰囲気が伝わりやすいですが、精神病棟にいる患者たちにグッとフォーカスした内容。公務員試験に落ち続けて心病んでしまった人や、上司からのパワハラに耐えきれなくなってしまった人、「優しすぎる」性格だからこそ、他人の傷が自分の傷となってしまう人など。決して他人事ではなく、いつ自分の身に降りかかるかわからないのが心の病というもの。なにも特別なことはなく、現代社会を生きる私たちにとって、それは常に背中合わせなんだと痛感するとともに、偏見が強い分野だということも実感します。
「風邪なら内科に行く、骨折したら整形外科に行く、心が疲れたら精神病棟に行く。ただそれだけなのに、どうして社会復帰するのが難しいのか?」という問いもキャラクターの台詞を通して発信されていて、脳裏に焼き付いて離れないシーンも多い。そんな重いテーマだからこそ軽い気持ちで視聴できないものの、その中で光を放ってくれる、肛門科医師役のヨン・ウジンの存在に癒されてください!(エディターK)
ナム・ジュヒョクが初のダークヒーロー役に挑戦。ダークヒーローものと言えば、弱者である被害者の立場に立ってその無念を晴らす復讐劇というのが鉄板ストーリー。いわゆる悪を悪で断罪するわけですが、そのエネルギーの芯にあるのが“怒り”である場合が多く、確かにジュヒョクは不幸が似合うキャラではありますが、あの陽炎のような存在感と空虚さえ纏った眼差しで、どうなんだろう?と私的には半信半疑。ところがです。蓋を開けてみれば、そんな私の想像力の乏しさを一蹴する内容。悪を悪で断罪するお話ではあるのですが、復讐に焦点を当てるのではなく、ヴィジランテと呼ばれるダークヒーローそのものの存在、つまりそれを生み出す社会、それを祭り上げる世間、ダークヒーローと深く関わる人々の心理、それらにフォーカスして描かれている点が一線を画しているというか。法の理不尽、悪と常軌を逸した正義と、それでも正義に勝ってほしいという願い……。そんなヒーローはやっぱりジュヒョクでなければ! ユ・ジテ、イ・ジュニョク、キム・ソジンのジュヒョク巡って繰り広げられる、これってまさかラブ?的な攻防の熱さもたまらなく面白い。(さすらいのライター山崎)
大人気台湾ドラマのリメイク作とあって、原作好きの間では評価が賛否両論のようでしたが、原作未試聴派としては納得のいく仕上がりでした。なんと言っても主人公ジュニを演じたチョン・ヨビンです。冗談抜きで彼女の演技に身震いしますし、ヨビンだったからこそファンタジーな設定の中に“リアル”を見せてくれたなと感動しています。声色やまとうオーラまで操って一切の違和感を抱かせない、本当に只者ではない役者です。
ストーリーとしては時空超え作品あるあるだけれど、やっぱり序盤は意味不明な箇所がとにかく多い。それを一種の謎解きと思って楽しめる利点もありつつ、現代人がついついやってしまう「ながら観」は厳禁。なぜなら特に本作は、ヨビン含め役者陣の目線・動線といった繊細な演技がストーリーに直結しているので、しっかり見ていないと置いてきぼり状態になるんですよ。とはいえ、毎話「え?どういうこと!?」な疑問が降り注ぐ終わり方を狙っているため、制作陣の思惑通りに「つい続きが気になる→結局観る」で一気観という始末。『社内お見合い』で大ブレイクしたアン・ヒョソプとのケミもよかったけれど、(スーパーサブに目がないので)個人的にはカン・フンにお熱状態でした。作中のキー曲、ソ・ジウォンの「涙をあつめて」をカラオケで大熱唱するくらいに沼落ちし、今でもプレイリストにしっかり残っています。(エディターK)
ロマコメ好き、チャ・ウヌ好き、パク・ギュヨン好き、犬好き。どれかひとつでも当てはまったら視聴してください。想像より遥かに面白く、毎週配信を待ちわびるドラマに仕上がっているんですよ! 後半は特にウヌ×ギュヨンのラブシーンが急増し、枯れた心にドバドバとときめきの水が降り注ぎますので要注意。『社内お見合い』のような雰囲気でライトに見られるのだけれど、秀逸な脚本や演出に加えて、出演キャストの演技力が大フィーバーしています。特筆すべきは『セレブリティ』や『Sweet Home-俺と世界の絶望-』シーズン2でも最高の演技力を発揮しているパク・ギュヨンです。突飛な設定だと、どうしても「作りもの感満載」で感情移入が難しいけれど、ギュヨンのナチュラルな演技で、自分でも不思議なほどに!すんなりとドラマの世界観に溶け込めるんです。だって本作を簡略的に「先祖代々、キスしたら犬になる呪いを抱える主人公のロマンスストーリー」と記してしまうと、どうです? かなりチープに思えませんか? かく言う私も申し訳ないことにまったく期待せずに視聴して、とんでもなくハマってしまった経緯があるので深くお詫びしたい。ファンタジー×大人のロマンスに、3Dを使用したわんちゃんのオリジナルシーンを入れ込み、癒しまで与えてくれる! 疲弊した心にときめきチャージを求める人には、全力で視聴をおすすめします。(エディターK)
9位/酒飲みな都会の女たち2【友情×酒×ロマンス】
1日の終わりに豪快に酒を飲みながら、溜め込んだ垢を洗い落とすアラサー女子3人の日常を描いたシーズン1は『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』『私の解放日誌』にも似て、とるに足らない地味めな日々のお話なのに実は奥深〜い話が散りばめられていて、韓ドラ・マニアほどハマっていた作品。それを受けたシーズン2は、いきなりのジヨン(ハン・ソナ)の癌発覚からの、山奥での禁酒禁欲生活という非日常から始まるユニークさ。だけど、さりげなく実は深いお話はその深度増し増しで、見事癌を克服し、3人が都会に戻って今度は酒を楽しみつつも酒に頼らない幸せ探しをするという展開なのですが、程よくお酒を飲んだ時のようにジーンと心が温まってくる感じの目白押しがめちゃ心地よく。明るく強く逞しい主演の3女子(イ・ソンビン、チョン・ウンジ、ハン・ソナ)の繊細かつリアルな葛藤と絆深い友情、そして、出番少なめだけど贅沢配役のシウォン(SUPER JUNIOR)、ユン・シユンのいい味出している感が五臓六腑に染み渡ります。一気観というよりも、1日の終わりに晩酌がわりに気楽にしみじみ味わいながら楽しんでほしい作品。(さすらいのライター山崎)
仮面のライブ配信者“マスクガール”の転落人生を怒涛の展開で描く衝撃サスペンス。良きにつけ悪しきにつけ、人間の執念って凄まじい!と圧倒されっぱなしな作品です。場末感漂う下劣な側面も満々あったりするのですが、スピード感や切り取り方、色使いなどなど、すべて計算された巧みな演出と、強烈なキャラを振り切って演じた俳優陣の力演で、見始めたらあっという間の一気観。主演のマスクガールことモミを1役3人で演じたイ・ハンビョル、ナナ、コ・ヒョンジョンのそれぞれのキャラ立ち絶妙な適材適所っぷりはもちろん、圧巻は、モミの同僚チュ・オナムを演じたアン・ジェホンと、その母親を演じたヨム・ヘラン。オナムのモミへの歪んだ愛と執着を表現するために、気色悪い&不潔感満々なビジュアル&キャラを徹底させたアン・ジェホンのリアルは、『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』や『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』の二枚目役のイメージが脳内にインプットされていたエディターKはショックのあまり、しばらく開いた口が塞がらなかったほど濃厚。そして、ヨム・ヘラン。終わった?と思っても全然終わらない執拗の凄まじさ。どんなスリラーよりもマジで恐ろしい。いやあ、ほんとみんなアッパレです。(さすらいのライター山崎)
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。