注目の作家・二階堂明弘「日本のうつわ」が今できること

うつわに何かをのせることからアートの可能性が生まれる

東京、パリ、NYのレストランでも作品が起用され、気鋭のうつわ作家として注目を集める二階堂明弘さん。しかし独立当初は「実用のうつわはアートではない」という陶芸界の定説に疑問を感じ、悩む日々が続いた。
「およそ二年かけて『うつわに何かをのせるアート』という本質にたどり着いたんです。黙々とうつわを作り、買ってもらうのを待つよりも、花や食など別の何かと組むことで世界を広げ、伝えていく。オブジェなどのファインアートだがアートじゃない。100人が使えば100通りのアートになるうつわを作ろうと考えたら、一気に楽しくなった」
東日本大震災を機に日本人陶芸家としての役割を思索し、今年は「侘びと今」というプロジェクトを携えNYに渡る。作品は静謐な和の美しさが際立つが、人柄と活動はオープンで精力的。そのバランスが魅力でもある。


野村友里さんをはじめ、国内外の料理家たちが厚い信頼を寄せる二階堂明弘さんのうつわ。それに茶、花、書、酒などを組み合わせながらNY各地でパフォーマンスを行い、日本文化の魅力を伝えるプロジェクトが「侘びと今-輪-」(www.wabi-ima.com/)だ。「茶の湯という素晴らしいアートを日本人として見つめ直したい」。また2010年に若手陶芸家が集う見本市として立ち上げた「陶ISM」を、震災の翌年には仮設住宅に作家のうつわを届ける活動へと展開させるなど、常に行動する陶芸家だ。




PROFILE
1977年札幌市生まれ。2001年に陶芸家として独立し、益子で作陶を開始する。
www.nikatougei.jp/

photography:Yumiko Miyahama edit:Nao Ogawa

SPUR2016年6月号掲載
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