2016.06.01

井出恭子さんの「わたしのうつわ」Best 10

作家にこだわらず、生活に華やぎを添えるうつわを

ささやかだけれど温かな趣を料理に与えるもの。井出さんの10選は東西問わず、そんな雰囲気の面々が集まった。「料理は和洋意識しないで作ります。でき上がって盛るとき、どのうつわを使うか考えるのが楽しい。うつわ次第で料理が和風になったり、洋風になったり。特別ではない普段の料理でも、少しだけうつわにこだわることで華やぎと同時に落ち着きが加わり、生活が整うように思います」。
YAECAで扱う洋食器は作家別に探すことが多い半面、普段の食卓で使ううつわは作家名にはこだわらない。「形がばらばらでもテーブルに並べたときになんとなくサマになるようなうつわを。特に和食器に関しては作家の知識がないだけに、自由に探して買うのが楽しいですね」。金継ぎもさりげなく常用している。「金継ぎの入り方が可愛いものを。引き継がれてきた感じが面白いなと思います」。それは古い一軒家を店舗に改装したYAECA HOME STOREの雰囲気にも、どこか重なるように思えた。


普段使いの、金継ぎふたつ
右のそば猪口は骨董市で買ったもの。「金継ぎの入り方も好きですが、水色の絵付がぼやけている風合いもいいなと思いました。梅干しなどを入れています」。左は目黒通りのANTIQUES What’s?で出会ったうつわ。「片口にいいとおすすめされたのですが、花を一輪挿したり花器として使用。失敗作なのかはわかりませんが、ゆがんでいるうえに金継ぎで直されている。こういう美学が昔からあったのだな、と」

PROFILE
YAECAデザイナー。ポケットつきのスナップボタンシャツや、肩ストラップつきのキャンバストートなど日常に根ざしたもの作りにファン多数。店頭販売するクッキーのおいしさも無類。

photography:Hisashi Ogawa〈Perle〉

SPUR2016年6月号掲載
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井出恭子さんの「わたしのうつわ」Bestの画像_1
キム・へジョンの白磁
「モダンだけれど乳白色で冷たくない。しかも割れにくい。右はごまあえやサラダを。左は豆料理など。ダチョウの卵みたいな質感が好きなんです」。卵料理が好きな井出さん、卵の形自体も大好きだそう
井出恭子さんの「わたしのうつわ」Bestの画像_2
酒器使いではない片口
右は黄瀬戸の片口。「しょうゆ差しなどとして使っています。一回ずつ使い切れるので便利」。左は収集しているという山形の平清水焼。「主張しすぎない佇まいが気に入って。納豆やとろろを盛りつけています」。ともに骨董市で購入
井出恭子さんの「わたしのうつわ」Bestの画像_3
イ・キジョの白磁碗
ARTS & SCIENCE OVER THE COUNTERで購入。「夜食のにゅうめんなどに。洋食器の白とは違う、ほんの少し青みを帯びた色が気に入っています」
井出恭子さんの「わたしのうつわ」Bestの画像_4
骨董市で出合ったデルフト焼
虫が躍る絵付が気に入って購入。「デルフト焼、と言われたのでそうだと信じて(笑)、使っています。クッキーやおはぎなどおやつ用に」
井出恭子さんの「わたしのうつわ」Bestの画像_5
欧州から届いたオムレツ焼き器
アンティークスタミゼで購入。フライパンの蓋としてオムレツを蒸し焼きにするためのものを「果物や食材をのせて飾り台のように」
井出恭子さんの「わたしのうつわ」Bestの画像_6
渋みが際立つ、高麗茶碗
「地味なようでいて、食卓に出すとぐっと雰囲気が出るんです。あんかけ料理などおかずを盛って」。出会いは骨董市 
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