あまおう、とちおとめなどのヒットブランドの次を担う"次世代いちご"が今、切磋琢磨し、新たな盛り上がりを見せている。
「日本の果物は世界一の品質と味。国内はもとより世界中から注目され、この流れは2020年の東京オリンピックまで続きそうです。特にいちごの進化は目を見張るものがあり、ひと昔前なら品種名だけが世に出回っていたのに、福岡県生まれのあまおうの登場で、県名とブランド名を押し出す動きが急激に強まりました。業界内ではひそかに"いちご戦国時代"と呼ばれているほど。個人的に注目しているのが、とちおとめ、紅ほっぺ、あまおうという大ヒットブランドに続く"次世代いちご"。ただ大きくて甘いだけでなく、酸味もあって、香りも余韻もいい。バランスがとれた、"また食べたくなるいちご"が増えています。なかでも今回は、今の時季におすすめの8ブランドをご紹介します。また、近頃は生産を行う県・生産者の方がダイレクトに小売店とつながり、消費者に直接アピールする機会も急増。作り手と食べる側の距離が縮まることで、いちご業界がいっそう盛り上がると信じています」
1 スカイベリー
「とちおとめは20年以上も市場に出回り続ける、栃木生まれの稀有な優良品種。次なるホープとしてプッシュするのがこちら」。果実が大きく見目麗しい。ハーブを思わせる香気と、口中でじゅわっと弾けるみずみずしさが魅力。
2 いばらキッス
「生産量が少ないのですが、茨城発の要注目ブランド」。小ぶりだが、甘み、酸味、香り、すべてが力強く、それぞれの個性が際立ちつつもバランスがいい。スイーツとの相性もよさそうで、8ブランド中、最も日持ちする。
3 きらぴ香
「静岡生まれのあきひめや紅ほっぺの次世代いちごとして、静岡県がプッシュするのがきらぴ香」。大ぶりでつやっとした宝石のような光沢が特徴。やわらかな香り、なめらかな口当たりと食感で、全体的にエレガント。
4 まりひめ
「章姫とさちのかを交配してできた和歌山県オリジナルの品種。プレミアムブランドの毬姫様は、生産量約0.1%と貴重」。香りがよく、果汁たっぷり、甘さの中にほのかな酸味。トータルでのバランスがよい。
5 さくらももいちご
「ネーミングにキュンとさせられる徳島佐那河内村限定のブランド。ももいちごのプレミア版」。摘花することで一粒一粒に栄養を集中させるゆえ、フォルムが大きくて美しい。甘みは非常に強いが、酸味が控えめ、余韻も残る。
6 ベリーツ
「8年かけて開発され、お目見えしたばかりの大分県初のオリジナルブランドいちご」。単体でスイーツになるものを目指したという味は、鮮やかな赤色で高糖度。小ぶりながらも、身は適度に柔らかく、濃厚な味わい。
7 ゆめのか
「長崎県産のいちご。やや大粒で果汁たっぷり、甘みと酸味のバランスが良好。ゆめのかのオリジナルキャラ・ゆめずきんちゃんも可愛いです(笑)」。味が濃いうえ、皮がしっかりめなので日持ちも◎、毎日食べたい味。
8 ゆうべに
「ひのしずくに続く、2015年にお目見えした熊本県のオリジナル品種」。桃のように華やかな香りがあり、フルーティな甘みは十分あるが、しつこさはなく軽やかで果肉もしっかりしている。
久保直子さん
創業133年の老舗、新宿高野本店の名物広報。社内のフルーツ塾や、一般向けのカルチャー教室で講師を務める。「果物の販売のほか、それを主役にスイーツやジャム、ゼリーなどもご提案しています。果物は宝。だからこそもっと認知度が高まり、ファンが増えるとうれしいです」