独立宣言から100年。旧市街を抜ける自由の風を感じて
貴族や官僚が居を構えたという"山の手"のトームペア地区の丘から市内を望む。赤い屋根と深い緑の対比が美しい
Tallinna Vanalinn(タリン旧市街)
悲しい歴史を乗り越えて、いま輝く中世の街並み
「首都タリンはその物語を知ったほうが、より街の美しさを感じることができる」と把瑠都は語る。13世紀初頭にリヴォニア騎士団に支配されて以来、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、ポーランド、ロシアに占領されたエストニア。1918年、第 一次世界大戦中にロシア帝国が劣勢になり、エストニアから撤退したことから独立 を宣言。しかしその後、ソビエト連邦の占領下におかれ、1991年に、ラトビア、リトアニアとともに約600キロに及ぶ「人間の鎖」デモを経て独立を回復する。今年の 2 月24日は最初の独立宣言から100年にあたり、街は祝祭のムードにあふれていた。 北ヨーロッパの中でも中世の姿をこれだけ残す街は珍しく、約1.9キロの城壁に囲 まれた旧市街は観光名所。この街並みを見下ろす丘で自由の空気を感じてみたい。
1 色とりどりの街並みの中に、帝政ロシア時代に建てられた アレクサンドル・ネフスキー聖堂が姿を現す 2 独立宣言100周年を記念したロゴが街のあちこちに 3 短い夏には花を楽しむ人も多い。パートナーや友人同士、家族へと気軽に贈る習慣もあり、にぎわうフラワースタンド 4 旧市街の入り口はヴィル通りのヴィル門から 5 日の長い夏の間は中庭でのおしゃべりが楽しみ
DATA
タリン市内へのアクセスは空港からバスに乗って約15分で €2 、タクシーでも€7 〜10程度と近い。また、ヘルシンキからの高速艇Linda Line Expressで入港した場合は徒歩約10分程度で旧市街の入り口にたどり着く
Balti Jaama Turg(バルト駅市場)
地元っ子も通う、採れたて市場へ。センスのよい雑貨店も一緒にチェック
2017年にリニューアルしたモダンな市場。エントランスには新鮮ないちごや野菜がずらり。冬には野菜の価格が高騰するため、短い夏は買い物客でにぎわう。施設内の1階は生鮮食品売り場、2階は雑貨などのマーケットが所狭しと並んでいる。名産のはちみつやワインはここで。
6 はちみつは地元の名産品。お土産用のパッケージ(€4)や免疫力を高めるというビーポーレン(€2)も 7 エントランスはグラフィカルな屋根でモダンなムードに仕立てられている 8 施設内野菜売り場の様子。新鮮な品揃え 9 夏はいちごやベリーが手頃な価格で手に入る。3キロで€20程度 10 植物のイラストが描かれた、エコユースな"TÜÜMIAN"のノート 各€5 11 可愛い雑貨店「Teele」は2階に。 エストニアの作家だけをセレクトしている
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Kopli 1, Tallinn
9時〜19時、〜17時(日) 無休
https://astri.ee/bjt
Eesti Käsitöö Maja(エストニア工芸品店)
オーセンティックな民芸品はここですべて揃う
25年前、エストニアの手工芸作家たちの発展のために立ち上げた工芸協会が営むショップ。1 階では本土だけでなく1500以上ある島の職人たちが作った工芸品に出合える。クルトに使われる生地もあり、自分で仕立てる人もいるのだそう。地下には作家の一点ものを扱うショップもある。
12 タリン市内に系列店が30店舗あり、 このマークが目印に 13 伝統的な柄のミトンが編める キット(€20)は人気商品 14 生地はメートル単位で購入可能。 職人の出身地がきちんと明記される
DATA
Pikk 22, Tallin
660-4772
10時〜19時、〜17時(日) 無休
https://folkart.ee
Telliskivi Loomelinnak(テリスキヴィ クリエイティブ シティ)
エストニアを代表する次世代クリエイターはここから生まれる
地元のおしゃれな若者が集うのは古い 倉庫をリノベーションした「テリスキヴィ」。旧ソ連時代の無機質な建築にカラフルなペイントを施した外観を見るのも一興。ファッションや雑貨、インテリアなど、洗練された店が凝縮されている。アトリエとして使うクリエイターも多数。
15 古い街並みに突如現れるスタイリッシュな建物 16 数あるアトリエの中からSPURがピックアップしたのはホームプロダクトを手がける「UPSTAIRS」 17 デザイナーのパブロさんがウェルカム! 18 陶芸作家の妻が作る猫のポット(€40)や ガラスの押し花スタンド(€15)も素敵 19 エリア内の一角にアトリエを構えている
DATA
Telliskivi 60a, Tallinn
520-4791
24時間営業
https://telliskivi.cc
Tallinn Design House(タリン デザイン ハウス)
エストニアのモード派ブランドが集う店
2017年5月にオープンしたセレクトショップ。エストニアの手仕事の技術をグローバルに発信すべく、洗練されたデザインに落とし込んだアイテムを扱う。100人以上のファッションや雑貨デザイナーとタッグを組んで、コンサルタントも行っている。店舗でファッションショーを行うなどイベントも。
20 クリーンで広々とした店内にモードなアイテムが揃いぶみ。 コスメやインテリアアイテムとミックスして配置される 21 良質な雑貨をミニマルなパッケージに。国産の木材を使った ディナープレートなどギフトに喜ばれそうなデザイン 22 レッドカーペットのようなエントランスを目指そう
DATA
Rotermanni 14, Tallinn
5865-0558
10時〜19時、 〜18時(土)、11時〜16時(日) 不定休
https://www.tallinndesignhouse.com
Rewill(レヴィル)
地元の子供に愛されるあみぐるみ専門店
タリンの旧市街に位置する、ハンドクラフトのぬいぐるみを扱うちいさな店舗。10年以上この場所で子供向けのパペットや指人形を提案し、街の人々からも愛されている。カラフルな色づかいや、伝統衣装をまとったおなじみのキャラクターなどが並ぶ。子供向けのニット用品などもあるので、ギフトを探すにはぴったり。
DATA
Vene tn7,Tallinn
631-3362
10時〜18時(月〜土) 10時〜16時(日)