元大関・把瑠都が待っていた! ようこそ、エストニアへ
おとぎ話の国のようなラクヴェレ城にて笑顔を激写。エストニアは日が高く、気候も穏やかな夏がオススメなのだそう。
豊かな自然をじっくり堪能。早くエストニアにおいで!
エストニアの首都タリンから車を1時間半ほど走らせると、ヴィニ郡クリナ村「バルト ゲストハウス」という広大なロッジに着いた。ここで待ち合わせをしたのは、元力士・把瑠都と。現役時代は大関まで昇格するも、左膝じん帯のけがなどに悩まされ、2013年に惜しまれながら引退する。その後は、タレントや俳優としての幅広い活躍を目にしてきた。今年4月、突然故郷に帰国することを発表。この夏エストニアで出会った彼は、自身のロッジを経営し、驚くほど自由な雰囲気をまとっていた。
「ここは僕の生まれ故郷ラクヴェレの近くで、6年前に手がけ始めたロッジ。東京ドームなら、2つぐらい入る広さ。サウナは3つ。お客さまに喜んでもらいたくて、要望を聞きながらバスケットボールやバレーボールのコートを造りました。川があるので、次は釣り堀はどうかな?と。少しずつ楽しめるスポットを増やしているところです。僕もよくサウナに入りますが、小さな池が隣にあるので、暑くなってくると、裸で池に飛び込んだりします。エストニアに帰ってから1カ月半たちますが、ゆっくりと過ごしています」
14年間過ごした日本での永住ではなく、あえて帰郷を決断したのには理由がある。
「一番大きいのは1歳4カ月になる息子が生まれたことですね。僕はこんな田舎から出てきたので、 どうしてもこの自然豊かな環境で子どもを育てたいと思ったんです。僕が子どもの頃、母と住む家がこの近くにあって、当時はインターネットもなかったので、畑や森の中で遊び回っていました。夏はブルーベリー、秋はきのこがたくさん採れて、それを食べたり、売ってお小遣いにしたり。東京だと公園に行かないと体験できないけれど、ここはそこら中が遊び場のようなもの。帰ってきてからは、息子といっぱい遊んで、疲れて寝てしまうことも多くて、日本にいるときよりも一緒に過ごす時間が長くなっていますね」
エストニアの素晴らしさは生活の中から感じるという。
「朝、鳥の声がうるさくて目が覚 めるんですよ。こんなにうるさかったっけ?っと思うぐらい。それだけ自然にあふれています。そして、エストニアは人口は少ないけれど、それぞれの街が離れているのでITが発達しています。“ネットでできないことは結婚と離婚と土地の売買”なんて冗談を言い合うぐらい。家から出なくても何でもできてしまうんですよ」
環境は違えども、実はエストニア人と日本人には似た性質があると把瑠都は語る。
「エストニアの人々はとてもシャイ。お酒が入る““ノミュニケーション”できるけど(笑)。そこが日本人とも似てますね。どの国に行ってもさまざまな面があることを学びました」
日本の文化も知り尽くしたうえで、把瑠都は新たな決意をもってエストニアに帰郷した。 「政治家を目指していて、来年4月の選挙に出るつもりです。今、エストニアでは政治家という職業は人気がないのですが、自分はもともと人とは逆のことをしたくなる気質。そもそもエストニア人は、自分のことを信じて自分の道を行くことが最大の幸せだと思っているんですよ。この地域は農家が多いので、少しでもその方々の収入が増える仕組みを考えて、国に伝えられたらと考えています。帰ってきて、地元のじゃがいもがおいしくてね。味がとても濃いんです。 日本のお米も恋しいけれど、やっぱりこっちかな」
Barto Puhkemaja(バルト ゲストハウス)
把瑠都が経営しているロッジはゲストハウス、サウナ、屋外のレジャー設備を兼ね備えた施設。オンラインで一般利用を受け付けている。ステージのある宴会場もあり、90名まで団体での利用が可能。地元の住民が誕生会や結婚式で利用するなど、開かれた環境が魅力だ。森の中ではベリーを摘んだり湧き水を飲んだりと手つかずの自然を存分に満喫できる。時折顔をのぞかせる鹿や鳥もいて、楽園のような空間
1 サウナ小屋の前でくつろぐ把瑠都 2 広大なロッジ 3 温かみのある看板が目印 4 近場でベリー摘み
(左)把瑠都と森の中でプチハイキング。エストニアでは松の木が育つところに美味しいブルーベリーがなるという言い伝えがあるそう。そこらじゅうに新鮮なブルーベリーがなっていて、スタッフも夢中でいただきました
(右)誌面では入りきらなかったのですが、バルト ゲストハウスの屋外サウナはちいさな池と隣接。取材時は絵に描いたような晴天だったので、水面に雲が写り込んでいます。このランドスケープにまずはびっくり!
DATA
Kulina küla, Vinni vald,Lääne-Viru
58-666-698
http://baruto.eu
Rakvere Linnus(ラクヴェレ城)
把瑠都がナビゲートするもうひとつの思い出の場所は「ラクヴェレ城」。13世紀半ばにデンマーク人が占領したこの土地の歴史を当時の要塞を一部改修し、そのまま残している。「子どもの頃の遠足といえばここ!」と把瑠都も推薦。夏季は中世の時代を体感できるイベントが開催される。城内から望む、緑豊かなラクヴェレ地方の美しさも圧巻。
5 ロバやアヒルなど、当時からいたと思われる動物が登場 6 石造りの城は丘の上に築かれ、眺めも最高 7 把瑠都もコスチュームを借りて記念撮影
DATA
Vallimägi, Rakvere, Lääne-Viru
5333-8160
5 〜9 月:10時〜18時 不定休
3 ・4 ・10月:10時〜16時 月・火曜 定休
※11〜2 月は団体事前予約のみ受け付け
http://www.rakverelinnus.ee