翌日から、多くの新人モデルが直面するパリコレの洗礼が彼女を襲う。グーグルマップとスケジュール表を頼りに、たったひとりで見知らぬパリの街を駆け巡り、次から次へとキャスティングを受ける。道に迷ったり、メトロに乗り間違えたりすることもしょっちゅうだ。1時間以上も歩いて、やっとのことでたどり着いたキャスティング会場で、簡単にウォーキングだけしてものの数十秒であっさり帰されたこともあった。「ひと目見て興味を引かないモデルのことは、見向きもしてくれないんです。『歩いてみて』と言われてウォーキングしても、明らかに誰も私を見ていなかったり。本当に厳しい世界だと思いました。何度もめげそうになったけれど、鏡に向かって強い表情をつくり、『私はプロだ、大丈夫、行ける!』と言い聞かせて気持ちを上げていました。でもやっぱり、キャスティング会場に向かいながら何度も『もう無理!』と泣いたし、宿でも毎晩泣いていました」
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