泊まるだけじゃないホテル新時代【東京編】

アートな渋谷の街を360°眺めて

窓の「Hi, TOKYO!」の文字を入れて撮影するのがおすすめ

sequence MIYASHITA PARK

客室は、2段ベッドを完備したグループ向けのバンクルームをはじめ、ダブル、ツイン、スイートの4タイプあり。全240室。

東京都渋谷区神宮前6の20の10 MIYASHITA PARK North
03-5468-6131
https://www.sequencehotels.com/miyashita-park/

この夏、渋谷区立宮下公園が生まれ変わり、商業施設などとのミクストユース型施設として誕生した「MIYASHITA PARK」。その一角にオープンしたのがこのホテルだ。部屋に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、窓からの景色。6〜17階にある全240室のどの部屋も、大きく設けられた窓が印象的で、渋谷の街をさまざまな角度から見渡せるようになっている。
「“東京の借景”を楽しんでください。ある部屋からは明治神宮の森が見えたり、ある部屋からはショッピングストリートを上から眺められたり。景色からお部屋を選んでいただくのも面白さのひとつです」と、ホテルスタッフの角田実祐さんは話す。刻々と移りゆく渋谷の街並みが、窓というフレームを通してアート作品のように見えてくる。
さて、景色に釘づけになっていると、窓ガラスに「Hi, TOKYO!」という文字がごく控えめに描かれていることに気づく。そして部屋をぐるりと見回せば、棚の上にちょこんと佇んでいる愛らしいアート作品の姿が。

「どの客室にも、若手アーティストの作品が置いてあるんです。渋谷の街で拾った “ごみ”から作られている作品もあるんですよ」と角田さん。ちなみに、作品のキャプションにあるQRコードを読み取ると、ネット上のギャラリーにアクセスでき、アーティストにドネーションをして支援ができるというシステムに。そんなふうに、ホテルの随所にちりばめられた仕掛けを探してみるのも、滞在中の楽しみだ。

左上 2名まで宿泊できるジュニアスイートルーム。気鋭デザインチームPuddleによる部屋のデザインは、シンプルかつ都会的な“引き算の美”に注目
左下 公園、商業施設、ホテルなどが一体となった「MIYASHITA PARK」の外観
右上・右下 客室にはそれぞれ異なるアート作品が。キュレーションを手がけるのは、アートのプラットフォームを開発するThe Chain Museum

築97年の建築で、新鋭デザインに浸る

 「K5」の世界観が最もよく表現されている最上級スイート「K5 LOFT」
右上 下町の軒先をイメージしたという、植栽が並ぶ廊下。床のタイルの模様は、部屋ごとにデザインが異なる
右中央 外観は、大正時代の銀行ならではの風格漂う洋風建築
右下 ノルウェーの三つ星レストラン「Maaemo」で経験を積んだ、黒田敦喜がオーナーシェフを務める「CAVEMAN」

K5

20〜80㎡からなるさまざまなタイプの客室は全20室。

東京都中央区日本橋兜町3の5
03-5962-3485
https://k5-tokyo.com/

日本橋兜町に、築97年の旧銀行の建物をリノベーションし、今年の2月にオープン。中には、ビアホール「B」、レストラン「CAVEMAN」、カフェ「SWITCH COFFEE」、バー「Ao」など、今話題を集める飲食施設が集まり、2〜4階部分に全20室の客室を配置したホテルだ。むき出しになった重厚感あふれるコンクリート壁や、旧建物の床材をそのまま生かしながら、スウェーデンの建築家ユニットCLAESSON KOIVISTO RUNE(CKR)が手がけた現代的なデザイン空間が広がっている。天井高4.5メートルを誇るスイートルームには、グラデーションに惚れぼれとする藍染めのカーテンが天井から吊るされ、存在感たっぷり。畳に着想を得たというラグや、美しいフォルムのソファ、無垢材を使用したロングテーブル、観葉植物が育つテラコッタ製の巨大な鉢など、すべてがCKRのオリジナルデザインという徹底ぶり。

「正直に言うと、無垢材の家具も植栽もメンテナンスが大変(笑)。でも、スピードや効率ばかりが求められやすい時代だからこそ、敢えて丁寧に長くつき合える素材を大事にしたい。部屋にはTVはなく、レコードプレーヤーがあるだけです。お客さまには普段の忙しさをつかの間でも忘れて、レコードのやわらかな音を聴きながらゆっくりと過ごしてもらいたいです」と、PRディレクターの大倉皓平さんは言う。97年の歴史を受け継ぎ、97年後にどんな場所になっているのか、思いを馳せたい。

身も心も“空の”ホテルに預けて

見晴らしのいい11階のインフィニティプール。すぐ隣にはルーフトップバーが

SORANO HOTEL

1〜4名まで宿泊できるさまざまなタイプの全81室(ペット同伴可の部屋もあり)。

東京都立川市緑町3の1 W1
042-540-7777
https://soranohotel.com

立川市に誕生した、緑があふれる新街区「GREEN SPRINGS」。ここに6月に開館した「SORANO HOTEL」は、豊かな自然が広がる昭和記念公園の目の前という、なんとも贅沢な立地にある。光がたっぷりと差し込む開放的な館内に身を置けば、ここが東京だということを忘れてしまうほど。
まずは、ルーフトップに位置するインフィニティプールへ。水面と空がつながるように見え、都会の街並みの背景には山々のパノラマが広がる。無二の景色を眺めながら水と戯れれば、まるで異世界にトリップしたような気分に。10階にあるスパと同様に、温泉水を使用しているというのもうれしい。

プールやスパを満喫したら、部屋でちょっとひと休み。フランス人デザイナー、グエナエル・ニコラによるインテリアデザインは、華美な装飾を排し、ナチュラルな雰囲気が心地いい。「豊かな緑をインテリアの一部と考え、全室が昭和記念公園に面したパークビューになっているんですよ。当館では、お客さまに心も体も健やかになっていただきたいという願いを込めて、“ウェルビーイング”にこだわっています」と話すのは、ホテルのマーケティングを担当する岩元麻衣さん。「適地適作」の考えのもと、食材にこだわったレストランや、サステイナブルなホテルのあり方を追求し、歯ブラシなどの使い捨てアメニティを常備しないということにも深くうなずける。1泊だけじゃ、もったいない。そう思わせる魅力にあふれたアドレスだ。

 基本のサイズが52㎡の広々とした客室は、リラックスできるナチュラルなデザイン
 商業施設やオフィスなどが並ぶ「GREEN SPRINGS」。緑豊かで風通しのいいエリア

皇居の森を見渡す、贅沢な空間にステイ

左 4つのオープンキッチンを備えた躍動感あふれるダイニング「PIGNETO」からの眺め
右上
 39階に位置する「THE LOUNGE」ではアフタヌーンティーを楽しみたい
右下 客室には、イッセイミヤケのプリーツプリーズにインスパイアされたテキスタイルを撮影したアートワークが

フォーシーズンズホテル東京大手町

デラックスルームや6タイプのスイートルームなど全190室。

東京都千代田区大手町1の2の1
03-6810-0600
https://www.fourseasons.com/jp/otemachi/

エレベーターの扉が開くと、そこは最上階の39階。一面に広がる窓からの眺望と、コンテンポラリーと和のテイストが見事に調和したラグジュアリーな空間に息をのむ。新たなランドマーク、Otemachi ONEタワーの上層6フロアに位置する「フォーシーズンズホテル東京大手町」は、9月1日にオープンしたばかり。最上階には、ミシュランの星に輝くギョーム・ブラカヴァルがスーシェフを務める「est」をはじめ、コンセプトの異なる4つのダイニングがあり、「イタリアンダイニング『PIGNETO』では、皇居の庭園を見渡しながら食事やカクテルを楽しむことができ、ラウンジでは夕暮れどきにミュージシャンによる生演奏もあります」とPRの小島朋子さん。
部屋からの眺めはもちろんのこと、細部まで行き届いた美しいアートワークにうっとり。どの客室にも2台の洗面台があり、ゆったりとしたバスルームもくつろげる。また、スパ内にある、「ADELAIDE」がキュレーションするライフスタイルストアにはぜひ足を運んでほしい。メゾン マルジェラやヴェトモンなどの限定アイテムのほか、日本の職人技が光る陶芸・工芸品、日本初上陸となるヘルスケアブランドAmayoriなど、東京を代表するセレクトショップならではのエッジがきいたラインナップに買い物欲も刺激されるはず。
ここでは、五感で堪能するラグジュアリーな時間に身を委ね、非日常の世界へと誘われたい。

アニメ、映画、本、建築…… 最新カルチャーを目撃

「ところざわサクラタウン」の一角。右が隈研吾設計の「角川武蔵野ミュージアム」

EJアニメホテル

それぞれ趣向が凝らされた全33室。ダイニングでは作品とコラボしたディナーも。

埼玉県所沢市東所沢和田3の31の3 ところざわサクラタウン内
04-2003-7020
https://tokorozawa-sakuratown.jp/hotel/

11月6日にグランドオープンを予定している「ところざわサクラタウン」。KADOKAWAが手がけるこの街には、超建築として注目を集める隈研吾設計の「角川武蔵野ミュージアム」を中心に、神社、体験型書店「ダ・ヴィンチストア」など注目のショップが目白押し。そして、10月1日にオープンしたちょっと異色な「EJアニメホテル」。「好きな物語に、泊まる。」をコンセプトに、人気アニメやゲーム、コミック、映画、特撮、アイドルなど、日本のポップカルチャーの世界観を演出する体験型ホテルである。
ホテルの企画・営業を担当する成松佳子さんはこう話す。「ロビーの壁面いっぱいに広がる映像でゲストをお出迎えし、すべての客室には150インチのスクリーンを完備。ファンの方々に楽しんでいただけるコンテンツをたくさんご用意しています」
すべての体験や滞在中のオペレーションを行うのは、チェックイン後に配布されるスマートフォン。それを持って部屋に行き、好きな物語のグッズや装飾に包まれて、さまざまなミッションや謎解きなどをしながら過ごす。そしてさらに、コスプレをして撮影をしたり、鑑賞会に明け暮れて……と、思い思いに楽しみたい。

ちなみに、エントランスでエレベーターに乗ると、声優・梶裕貴のボイスでウェルカムメッセージが流れるなど、ファン垂涎の隠れた仕掛けが随所にあるので、ぜひ体験してほしい。

左 広々としたロビーでは、今後イベントなども開催予定
中央 ジュニアスイートの部屋には、通称“ヒカキンソファ”として知られるHalo製のソファが
 アニメの世界観を表すような、デコラティブな客室の入り口。映える写真が撮れそう

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