泊まるだけじゃないホテル新時代【京都・大阪編】

嵐山の景色と福田美術館を満喫

嵐山の中に宿泊している気分を味わえる立地

MUNI KYOTO

京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3
075-863-1110
https://muni-kyoto.com/

「唯一無二の景色」というコンセプトにふさわしい、嵐山と桂川、渡月橋を一望する絶好のロケーションに8月にオープンしたのがこちら。3棟が川と平行に配置され、その間に趣の異なる庭園を挟み込む形に。「建築と庭を半分ずつ」という京都の歴史を汲んだ構成になっている。全室がラグジュアリー仕様のつくりで、景観を最大限に生かすため、内装は極力シンプルに。その“余白”がゆったりとした時の流れを生む。すぐ隣には、ホテルと提携する昨年開館したばかりの福田美術館があり、江戸時代から近代の日本美術を鑑賞できる。芸術家や文化人に愛されてきた嵐山の空気に包まれて、深淵な文化を堪能したい。

 四季折々の豊かな表情を見せる自然と美しい庭園を望む客室
 伊藤若冲ら京都ゆかりの画家の作品蒐集に力を入れる、福田美術館

異世界へと誘う京の町家を体験

椿通に並ぶ町家

NAZUNA京都椿通

京都府京都市下京区高辻通大宮西入坊門町838
075-748-0402
https://www.nazuna.co/ja

外界と「椿通」の世界を結ぶ小路であるレセプション棟を抜けると、そこには花街を彷彿とさせる街並みが。情緒漂う町家が並び、石畳の敷かれた街路には夕暮れとともに提灯や行灯が灯り、艶やかさを増す。

明治時代に建てられた23棟の町家を改装し、4月にオープンした当館。京都の自然美をテーマに「TAKE」「MIZU」「IWA」「HANA」「HA」の5つのカテゴリーから着想を得た各部屋が、ゲストの目を楽しませてくれる。すべての部屋は半露天風呂つきで、のんびりと過ごすのにもってこい。小上がりになった畳の空間や、窓の格子が趣を添え、気分はまさに"はんなり"。着物姿で街を散策してみたくなる。

 現代的なアートワークと古きよき和のテイストを融合させ、各部屋のテーマを表現。写真は「HANA」の部屋
 現代的なデザインで日本庭園を表したロビー

歴史ある「新風館」が日本初上陸のエースホテルに

Photo by Stephen Kent Johnson

ヒストリックツイン。内装はLAのデザイン集団communeが担当

エースホテル京都

※グランドオープンの日程は未定。

京都府京都市中京区車屋町245の2 新風館内
075-229-9004
https://www.acehotel.com/kyoto/

6月、京都・烏丸御池の複合商業施設「新風館」がリニューアルし、シアトル発の「エースホテル」が日本に初上陸。アートや音楽を軸に、クリエイティビティあふれるインテリアデザインや、コミュニティと結びついた斬新なアプローチで注目を浴びている。「East Meets West」をコンセプトに、染色作家・柚木沙弥郎をはじめとする日本人アーティストの作品が部屋を飾り、Pendletonのオリジナルブランケット、TEACのターンテーブルなど、ならではのインテリア構成に。まずは1階の「Stumptown Coffee Roasters」で、シグネチャーの「ヘア・ベンダー・エスプレッソ」をオーダーして、ホテルクルーズといきたいもの。

Photo by Gorta Yuuki

 「Stumptown Coffee Roasters」も
 大正時代に建設された旧棟と、新築棟で構成される「新風館」。建築デザイン監修は隈研吾

建築とアートの融合“泊まれる美術館”

バンケットルームを飾る小松美羽の絵画作品

ホテルロイヤルクラシック大阪

大阪府大阪市中央区難波4の3の3
06-6633-0030
https://hotel-royalclassic.jp

特筆すべきは、フロントや客室廊下などの公共スペースと各客室に展示されているアート作品の数々だ。1950年代に結成された芸術集団「具体美術協会」のメンバーである吉原治良や白髪一雄、元永定正をはじめ、草間彌生、村上隆、ジャン=ミシェル・オトニエルの作品まで、美術館さながらのコレクション。

建築家・村野藤吾が設計した「大阪新歌舞伎座」が建てられたのは1958年のこと。当館は、その跡地に昨年12月開業。隈研吾設計による建築は、シンボリックな連続唐破風で知られる新歌舞伎座を継承し、今、大阪・なんばに新たな時を刻みはじめている。

 最上階にあるチャペルは、木で葺かれた屋根など、隈研吾らしく自然素材をふんだんに
 連なる唐破風が特徴の外観

FEATURE
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