2022.04.16

PART 1 今さら聞けない基本情報からおさらい。NFT ARTを知るための7つのQ&A

2021年に急拡大したNFT ART市場。まずはNFT ARTにまつわる基礎情報を取得し、そこで何が起こっているのか把握することからスタートしよう

教えてくれたのは…… 施井泰平さん
スタートバーン株式会社CEO、美術家。「インターネット時代のアート」をテーマに制作を行う。東京大学大学院在学中に起業。現在は、アートのためのブロックチェーンインフラを構築する。

Q1 そもそもNFT ARTとは何ですか?

A 一般的に注目されているのが、コピーが可能なデジタルアートに、唯一無二的な価値を与えて販売・流通させていく「電子証明書」がついたアート作品のことです。暗号資産にも使われるブロックチェーン(分散型台帳)という技術を用いて、作成者や所有者が誰なのかという情報を記録した「証明書=NFT」が作品に付帯します。NFT ARTカルチャー=NFT ARTというわけではなく、デジタルアート以外の作品に、NFTの技術で世界にひとつであることを担保した作品もNFT ARTに含まれます。

Q2 NFTと暗号資産の違いは何ですか?

A NFTと暗号資産の違いは「代替可能かどうか」という点にあります。暗号資産は「Fungible Token(代替性トークン)」で代替可能。自分が持っている1ビットコインと誰かが持っている1ビットコインは同じで、唯一的な価値が存在しない。「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」のNFTは、個別データに唯一無二の価値を付与されているので、代替することが不可能。自分が所有している写真を、他人のものと入れ替えることはできないのです。

Q3 NFT ARTはどうやって作るのですか?

A デジカメで撮った写真やペンタブで描いた画像など、デジタルで作った作品にブロックチェーンの証明書を発行してNFT ARTにします。NFTを紐づける方法はいくつかあってFacebookに写真をポストするように、OpenSeaなど有名なマーケットプレイスで作品を投稿すると、その画像が自動的にNFTになります。ほかには、われわれのような、ブロックチェーンの技術でアートを流通させるサービスを開発している会社に依頼し、作品にNFTを発行することもできます。

Q4 NFT ARTはどこで購入できますか?

A NFTマーケットプレイスが主流です。世界で最も利用されているのがOpenSeaという市場で、全流通の90%以上がここで取引されています。ほかにもRarible、Foundationといった10を超える有名マーケットがありながら、新規参入も後を絶たず市場の数は今も増加中。また、作品を現金で販売して購入者にNFTをメールで送るという仕組みも存在し、暗号資産を持っていなくてもNFT ARTの取引ができるシステムが開発されるなど、日々さまざまなサービスが生まれています。

 

Q5 NFT ARTの売り手と買い手のメリットは何ですか?

A 今までデジタルアートは自分が所有者ということを証明しづらかったり、作品の維持管理に課題がありました。それがNFTという証明書を付与されることで写真や画像、映像作品が安心して売買できるようになったのは、双方にとって一番大きなメリットだと思います。また、二次流通できることもすばらしい利点。購入者が作品を手放して二次販売を行う際、アーティストが還元金を受け取れる仕組みが生まれています。一度きりの取引で終わるのではなく、作品が売られるたびにアーティストに還元金が入ってくるというメリットがあります。

 

Q6 NFT ARTのマーケットは現在どんな状況でしょうか?

A 2021年2月にブームが到来。6月に沈静化したので、バブルが崩壊したといわれていましたが8月には取引額がさらに増加。その後また沈静化したものの、今年1月には取引額が過去最大になるなど、乱高下を繰り返しながら少しずつ市場が成熟してきています。今は暗号資産の利用者が全世界の人口の4%、その中の2%がNFTを使っているといわれています。一部の人たちだけが参加しているのが現状ですが、この先クレジットカード対応など新規参入のハードルが下がれば誰にとっても重要なテクノロジーになることが期待できるでしょう。

 

Q7 NFT ARTはどのようにして楽しむのでしょうか?

A 暗号資産のウォレット内に入れ、マーケットプレイスやSNS、VRを通じて、ほかの人と所有している作品を見せ合うのが基本の楽しみ方。購入した作品をさらに高く売ることを目的としている人や、購入せず無償のものを集めて楽しむ人もいます。CryptoPunksというNFT ARTは作品1万個が2017年に無料で配られましたが、今は高いものは27億円ほどで取引されているといった事実もあるからです。VRでNFTのギャラリーを簡単に作るサービスも出現し、さらに可能性が広がっています。

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