椎名直子さんが行きたい、益子の旅

作り手の思いに、器を通してつながる

椎名直子さんが行きたい、益子の旅の画像_1

昔から暮らしにまつわるものが好きです。使ってみて、機能性があり美しいものに惹かれます。中でも器への思いは熱いまま! このお茶にはこの器を合わせよう、なんて楽しみがあったら、気持ちも整うしワクワクしますよね。

ずっと親しくさせていただいているのが、陶芸家の郡司庸久さん、慶子さんのご夫婦です。郡司さんの作品は、気取っていないのに端正な美しさがあって、使い勝手のよさも抜群。初めて見たときにひと目惚れして、それ以来個展に通い、アトリエに足を運ぶようになりました。

なので、私がクラフトを巡る旅をするなら、郡司さんを訪ねて益子へ。「濱田庄司記念益子参考館」で古い陶器を見たら、街の民芸店を巡ります。お店が移転してきたり、新店ができたり、なかなか盛り上がっているんですよ。翌日は早起きして、「郡司製陶所」へ。器が実際に使われているさまを見ることは、かけがえのない時間です。慶子さんが一本一本植物を植えて育てた、素晴らしいお庭も。帰りにお花をいただいて、郡司さんの器に活けました(1)。作り手の方との会話を楽しみながら、器を使って、愛でるというのが、工芸の醍醐味ですよね。

椎名直子プロフィール画像
スタイリスト椎名直子

しいな なおこ●スタイリスト。モード誌をはじめ、幅広いフィールドで活躍。旅をするときは、偶然の出合いにまかせて楽しみたい派。

1日目_

07:30 東京を車で出発する

濱田庄司記念益子参考館

09:30 益子着/「濱田庄司記念益子参考館」へ

「濱田庄司さんは、民藝運動の中心人物で、益子に陶芸を根付かせた人。大胆さとおおらかさを感じる作風に惹かれます。古い家屋を移築した展示室(2)があり、茅葺き屋根や、当時が偲ばれる内観(3・4)からも、彼の世界観に浸りたい」(椎名さん)
DATA

濱田庄司記念益子参考館

栃木県芳賀郡益子町益子3388
☎0285−72−5300
◯開9時30分〜17時
㊡月曜、展示替え休館あり

おおつか

12:30 「おおつか」で蕎麦をいただく

元陶芸家の主人が始めたお店(5)。打ちたての蕎麦が絶品(6)! 裏山で採れたての山菜を揚げた天ぷらも楽しめます
民芸店ましこ

14:00 民芸店巡り

益子で最も古い民芸店の一つ。「郡司さんの花器も置いているんですよ。ただそこに存在しているだけで美しいと思える品を集め、シンプルで素朴な味わいがあるお店」(椎名さん)
DATA

民芸店ましこ

栃木県芳賀郡益子町益子2901
☎0285−72−2231
◯営10時〜17時 ㊡火曜

時余利
「センスのいい骨董店。古道具にも、今っぽさを見出す目利きのオーナーです。絶妙なバランスで歪んでいたり……不完全な美を見つめたい。木のお盆を手に入れました」(椎名さん)
DATA

時余利

栃木県芳賀郡益子町益子3344
☎080−2334−3662
◯営13時〜17時 ㊡木・金曜

暮らしの品 つかもと
「民芸店ましこの目の前にあって、今年4月に籠を中心としたお店としてリニューアル。実用性がありつつ、端正な佇まいのものが揃います。ハンドバッグにもなる籠を購入」(椎名さん)
DATA

暮らしの品 つかもと

栃木県芳賀郡益子町益子898
◯営10時〜17時 ㊡火〜金曜

19:00 「フォレストイン益子」に宿泊

2日目_

郡司さんのアトリエ

07:00 郡司さんのアトリエ兼ご自宅へ向かう

「裏山で、郡司夫妻の愛犬とお散歩をした後、朝ごはんを食べながらゆっくりおしゃべり。器を焼いている場所があったり、生活と陶芸が混在している空間なんです(8)。お茶をしながら、物づくりの展望を語ったり、愛猫とたわむれたり(9)。器はもちろん郡司さんのもの。使っていると貫入が出てきて、使い込むほどに味わいが出てくる。本当にきれいで惚れぼれします(7)」(椎名さん)
インドカレー専門店「けらら」

14:00 インドカレー専門店「けらら」でランチ

「郡司さんにすすめてもらったお店。ご飯の上にすべてのせて食べるミックスカレーは、一度食べたらやみつきに(11)。本格的なスパイスカレーを味わえます。美しいステンドグラスがあり、至るところにお花が飾られているんですよ(10)」(椎名さん)
nagi

15:30 「nagi」で郡司さんの器を購入

「開放的で広々とした店内には、乙女心がときめくような、ちょっと可愛くておしゃれなものが揃います。郡司さんの作品を購入したいなら、ここへ(12)。ほかにも、益子焼などの陶器・ガラス・雑貨・リネン・籠など、豊富なラインナップ。陶芸体験もできるんですよ」(椎名さん)
DATA

nagi

栃木県芳賀郡益子町益子3169の1
☎0285−72−6311
◯営10時〜17時 ㊡水曜

16:00 「赤羽まんぢう本舗」でお土産を購入
16:30 「道の駅ましこ」で、野菜やお米、フルーツを購入し、帰路につく
19:00 東京へ到着

FEATURE