赤尾昌則さんが行きたい、倉敷の旅

民藝運動の地で、クラフトの奥深さに思いをはせる

もともと、陶芸やクラフトが好きで、小谷眞三さんが作る倉敷ガラスと出合ったのは10年以上前。料理店「浜吉」で「面白い人がいるから」と紹介してもらったのがきっかけで、作品を見てひと目惚れ。色合いや造詣の美しさもさることながら、先生のパワーにも惹きつけられ、工房に通うように。さらに、作品を撮影するようになりました。それ以来、倉敷に通っています。

ガラスをはじめ、織物や焼き物も盛んな地域なので、民芸店や骨董店を訪れるのも楽しい。「融民藝店」のほかに、アンティークを扱う「山陽堂」もおすすめです。小谷先生の作品を掘り出し物で見つけることもありますよ。ひとしきり歩いたら、「エル・グレコ」や「喫茶K」など、昔懐かしい純喫茶で一休みを。そして、倉敷に来ると必ず立ち寄るのは、「大原美術館」。モネの《睡蓮》や、エル・グレコなど著名画家の作品も有名ですが、東洋の古美術や工芸も扱い、倉敷の民藝コレクションも豊富。食事はやはり、「浜吉」で。小谷ガラスと日本酒を楽しみたい!

小谷眞三のアトリエ

1 小谷眞三のアトリエにて、制作風景 2 仲のよさが伝わるツーショット 3 翡翠のような青色が象徴的で、小谷ブルーと呼ばれる

赤尾昌則プロフィール画像
フォトグラファー赤尾昌則

あかお まさのり●数多くのファッション誌で活躍中。2019年、写真集『倉敷ガラス 小谷眞三』(上・下巻)を出版。

1日目_

07:00 品川駅を出発

崎陽軒のシウマイ弁当と缶ビールを買い、新幹線で朝ごはん

11:00 倉敷駅に到着
11:30 「常衛門食堂」でお昼の定食をいただく

どこか懐かしい洋食メニューが豊富
美観地区

12:30 美観地区を散策する

「美観地区には、江戸時代から続く古い建物や水路がそのまま残っており、歩いているだけで楽しい。古きよき情緒が漂う街並みも魅力」(赤尾さん)。旅情あふれる景観を思う存分満喫して(4)

14:30 「エル・グレコ」でお茶休憩

大原美術館の隣にあるカフェ。蔦で覆われた外観や、内装も味がある
大原美術館

12:30 「大原美術館」へ

1930年に設立。西洋建築も見所だ(5)。"日本人の感性や心情をもって西洋の美術作品を展示する"という熱意のもと、画家の児島虎次郎が収集。彼自身の作品も収蔵されている(6)。東西の垣根を越えたコレクションを有し、ロダンの彫刻(7)やゴーギャンの絵画なども展示している
DATA

大原美術館

岡山県倉敷市中央1の1の15
☎086−422−0005
◯開9時〜17時 ㊡月曜

浜吉

18:00 「浜吉」で晩ごはんをいただく

「地域の地酒に海鮮料理を合わせて食べるのがたまらない! 小谷ガラスの食器や、倉敷の作家の器も使用されています(9・10)」(赤尾さん)。築40年以上という外観は、民芸調の趣を残す(8)。備前焼などの器も揃い、ままかりやさわらなど、豊かな海の幸を活かしたメニューが名物だ(11)
DATA

浜吉

岡山県倉敷市阿知2の19の30
☎086−421−3430
◯営11時30分〜14時 17時〜22時
㊡月曜

22:00 2軒目へはしごし、「バー ディンプル」へ
23:00 「天然温泉 阿智の湯 ドーミーイン倉敷」に宿泊

街の中心部に位置し好立地。温泉もあって心地よく過ごせます

2日目_

07:00 起床
08:00 「喫茶K」で、コーヒーとサンドイッチの朝食をとる

アーケード内にあって、白を基調としたレトロな内観も醍醐味

09:00 足高神社で参拝するなどして、倉敷を散策
11:00 「そば処 田」でランチ

ミシュランのビブグルマンも受賞したことがあるという、本格手打ち蕎麦のお店。お昼から呑めるところもいいですね
融民藝店

12:00 街の民芸店を巡り、「融民藝店」へ

民藝運動の盛んだった倉敷で小林融子さんが1971年から始めた、長く愛される名店(13)。
"民藝"を定義することは難しいけれど、日用道具が見せる美しい表情に、ふとした瞬間ハッとする——それをきっかけに、日々の暮らしにひそむ豊かさに目が向くような場所になってほしい。そんな願いが込められている
赤尾昌則さんが行きたい、倉敷の旅の画像_8
眞三さんの息子である小谷栄次さんの作品や、現代の作家のものも(12・14)。岡山のクラフトを購入するならこちらへ
DATA

融民藝店

岡山県倉敷市阿知2の25の48
☎086−424−8722
◯営11時〜18時 ㊡月・火曜

14:00 東京へ帰る