今をときめくヒップスターシェフの原点は、日本の「禅」!

自然光が気持ちよく入るダイニングにて。ヴィンテージのシャツ、エヴァーレーンのプリーツスカートには、彼女のトレードマークであるメゾン・ミッシェルのハットをオン

 料理に興味を持ち出したのは高校を卒業してから。アメリカ各地を旅するうちにその土地の食文化に触れ、マクロビやアーユルヴェーダの料理法にも興味が芽生えた。決定的だったのはサンタフェで禅に出会ったこと。「リトリートセンターで料理人として働いていたとき、臨済宗の老師のもとで修行をしたんです。そのときに日本料理のシンプリシティに感動して、私のコアになっていった。以来、私のソウルフードはご飯とお味噌汁なの」。彼女の両親はラテン系だが「母もご飯が大好き。彼女は決して料理上手ではなくて、子どもの頃は毎日ライス&ビーンズだったけれど、今となってみたらひとつのレシピを極めるというのも素晴らしいな、と思う。それが食の伝統を作っていくということだから」。

 ニューヨークを拠点としてからはいくつかのレストランを経て、現在はノリータにある「De Maria」で腕をふるう。日本の食材も使ったコンテンポラリーなメニューはもちろん、アーティスティックな内装やテーブルセッティングも話題だ。「店名はオープンの直前に訪れた現代美術館ディア・ビーコンで見たウォルター・デ・マリアの作品から。 フェミニンさと強さを併せ持った響き、そして自然を題材にした作品のコンセプトにも共感したの」。アートのほか、インスピレーションを受けるのは旅。「その土地伝統の食べ物やレシピはもちろん、現地の人々がどのように食事をしているか、といった文化人類学的な要素に興味がある。店のメニューもニューヨーカーのライフスタイルに応じたものにしていて、朝は分量少なめ、昼は忙しくてもパッと食べられる栄養価の高いもの、そしてディナーは誰かとゆっくり楽しみながらシェアするスタイルにしているの」

 ストレスを感じたときはメディテーションを。「仕事の途中でも、ちょっとひとりになって瞑想する。朝、早起きして海に行くことも多いわ。車で30分の場所にビーチがあるのはニューヨークのいいところ。自分なりのリラックス法を知ることもこの街で生きていくには大切なことね」

Camille Becerra(カミーユ・べセラ)
ニュージャージー州出身。料理人としては20年以上のキャリアを持ち、TV番組「TOP CHEF」などにも出演。ニューヨークではプロデュースしてきた店が次々に人気店となり、現在はノリータの「De Maria」でシェフとしてクリエイティブ全般に関わっている。

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