ひふみんの十問十答 Vol.02

質問6

職場の同期のS子とは同じ営業職。「負けたくない」とライバル意識をもっているのですが、彼女は頭もよくて社交的なため、いつも私よりひとつ上をいっています。それでいつもS子のことを妬ましく思ったりしています。そんな自分が好きになれません。どうしたら嫉妬心から解放されますか?(33歳・不動産)

私にとってのライバルは、やっぱり中原誠さんですね。8年間で20戦戦って、一度も中原さんに勝つことができなかった。それが21戦目のあるとき、「ほぉ。中原さんって巧みな戦い方をするな」と気がついたら恐れが消えてしまったんです。そして勝てるようになった。だからライバルの長所に必ず学ぶべきところがあるということだね。妬ましいと感じるライバルの中に何か憧れとか、共感できる部分を見つけられたら怖くもなくなるし、嫉妬心も消えると思います。ただね、羽生善治さんという名人がいるでしょう? 後輩なんだけれど素晴らしい戦果を残しています。もう勢いが止まらない。羽生さんに対しては、うらやましいなっていう気持ちが、万に一くらいはあるかな。でも、戦えば勝つと思ってますよ。

質問7

先日、仕事で大きなミスをして、勤め先に大変な迷惑をかけてしまいました。それ以来、すっかり気持ちが落ち込んで仕事にも前向きになれません。失敗をどう受け止めたらいいのでしょうか。(26歳・塾講師)

先にも言いましたが、私は1000回以上、負けました。でも、そのたびに何くそと思って立ち上がってきました。こんなに努力して、いい将棋をさそうと頑張ってる人生が、このまま終わるわけがないという気持ちが常にありました。人は誰でも転びます。でも、7回転んでも8回立ち上がればいい。そして大事なことは、立ち上がるときに手に何かつかんでいるかどうか。僕なんかタイトル戦で負けた直後に「次は十段になる」「次は名人になる」って腹に決めたもん。それで実現したもん。そういうたくましさが大切です。世の中には、一時的な負けを引きずって、成功の一歩手前で諦めてしまう人が結構多いけれど、それこそが本当の敗北だと思います。

質問8

夫のうつ病、自分の流産など、私ばかり苦労しているような気がします。仲よしの友達はみんな幸せそうです。息子がサッカーのジュニアチームで活躍していたり、ご主人の転勤についていって海外ライフをエンジョイしていたり。メールしていてもその差は開くばかり。世の中はなぜこんなにも不公平なのでしょうか。(29歳・派遣)

自分だけうまくいかない。そんなふうに感じることはあるでしょうね。実はかつて将棋界は低迷していた時期がありました。1960年代の高度経済成長期、みんなの賃金がどんどん上がっていくのに、この業界は好景気とは無縁でした。でもそんな中で棋士たちは一生懸命やっていたところ、あるとき突然に好転したんです。協力関係にあった新聞社が一気に契約金を上げると言ってきた。ある名人は「神風が吹いたね」と言ったけれど本当に予想外のことで、おかげで私たちも生活がラクになりました。ですから今は報われないと思っていても、頑張っていればいつか好転するときがくる。私はそう信じてますよ。

質問9

体調は不安定だし、独身だし、仕事もアルバイトだし……で、将来がとても不安です。自分みたいな人間は何のために生きているのだろうとつくづく思ってしまいます。加藤九段はクリスチャンだそうですが、生きる意味は何だと思いますか?(28歳・アルバイト)

今、この人は誰からも愛されてないという不安におびえていると思います。でも神様は私たち人間を無条件で愛してくださっています。どんなにダメな人間も神は救ってくださるのです、だから勝手な判断で自分はダメな人間だとか、救われない人間だなんて思ったらいけない。残念ながら日本では、一度ドロップアウトすると人生終わりみたいになってしまうけれど、誰にでも生きる意味はあるのです。大事なのは神からいただいたその愛を周囲に返すこと。自分の隣人を愛しなさいとイエス・キリストはおっしゃってます。そうやってこれから先、生き直せば、また道は開けるでしょう。

質問10

これまで自分の仕事にやりがいを感じていたので、薄給でも特に気にしませんでした。しかし最近思うのは、やっぱりお金が大事だと言うことです。いい服を着て、いいものを食べて、夜な夜な遊んでいるセレブたちを見ると、つくづくそう思います。人生、結局お金なのでしょうか。(35歳・プランナー)

人生、お金だとは僕は思っていません。確かに、仕事上での成功やそれに伴う評価、大切な人々との楽しいひと時を求めることは、生きるうえでまっとうなことであり、否定されるべきではありません。ただ、人生の中で自分の幸福のみを追求するのでは、どこか満たされないような、むなしい気持ちに駆られる瞬間もあるのではないでしょうか。「成功すればそれでOK」とおごり高ぶるのは愚かな行為です。今日ある自分を支えてくれた人々に感謝の意を伝えたり、他者に対して慈しみのある態度で接し、弱者を助けてこそ、真に満ち足りた人生を送れるのだと思います。

 

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着たい服はどこにある?
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