僕と山について。煩悩を捨ててひたすら歩く【井之脇海と、山の話 第1回】

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 これから11回にわたり、山の話をさせてもらうことになりました。好きなんです、山登り。阿蘇で撮影をしていたとき、時間があったら阿蘇山へ登ろうとしていたくらい。残念ながら登るどころではなかったですが……。山登りを教えてくれたのは父です。15歳の頃から始めて、日本には「百名山」というものがあることも父から聞いて。父はすでに80座は登っていて、僕も百名山すべて登りたいんです。岩手山、丹沢山、富士山、霧ヶ峰、乗鞍岳、焼岳、霧島山、開聞岳……、まだ8座ですが(笑)。

 山には父か、大学時代の友人Hと登ります。父もHも、お尻にエンジンをつけているかのような健脚の持ち主なんですけど。50分歩いたら10分休憩と決めて、ひたすら黙々と歩くことに集中する。仕事や役のことを、考えるんです。だんだん頭がすっきりして、それが気持ちいい。

 天気に振り回されるのも悪くないんです。父と韓国岳(からくにだけ)に登ったとき、すごく疲れて霧もすごいし不機嫌だったんですよ、僕。でも、ある箇所で急に霧がふわーって晴れて、眼下に大きな池が見えたんです。地図をしっかり見ていなかったから知らなかったんですが、標高1700mの韓国岳の1240mほどのところにある池で。あまりの絶景に父も僕もテンションが上がりましたね。そのとき撮った父のポーズが、普段の父からはありえない感じでしたし(笑)。僕も山ってすごいな、と改めて思いました。さて、あと10回。一緒に山頂の空気を吸うような気持ちで、山の話におつき合いください。

僕と山について。煩悩を捨ててひたすら歩くの画像_1

九州の霧島連峰の最高峰、韓国岳。その山腹にある大浪池の青さよ!

僕と山について。煩悩を捨ててひたすら歩くの画像_2

登山中、霧や雨、強風の洗礼を受けることも。それもまたよし

僕と山について。煩悩を捨ててひたすら歩くの画像_3

「神奈川の屋根」ともいわれる丹沢山地のひとつ、蛭ヶ岳(1673m)。地元だけに丹沢はよく登るエリア。ちなみに富士山は5 回、登頂済み

Profile
いのわき かい●俳優。1995年神奈川県・横須賀生まれ。幼い頃から子役として活躍し、日本大学芸術学部では映画を学ぶ。4 月スタートのTBS日曜劇場「集団左遷!!」(日曜21時〜)、6 月21日全国公開の映画『ザ・ファブル』に出演。

SOURCE:SPUR 2019年5月号「井之脇海と、山の話」
photography: Wakaba Noda〈TRON〉 styling: Fumihiko Okabe hair & make-up: Taro Yoshida text: Tomoko Yanagisawa