「フランス人は10着しか服を持たない2」#01

 年齢を重ねた女性には、どこか謎めいた、神秘的な雰囲気がある。

大ベストセラーになった『フランス人は10着しか服を持たない』の第二弾。正直、1冊目を読んだときは、オールシーズンで10着じゃないしちゃんとしてない服(インナーに着る用のカットソーなど)はカウントしないなどの独自ルールに「ぜんぜん10着じゃないじゃん!」とカクッと肩透かしを食らった感があった。

 いわゆる「パリジェンヌに学ぶシックなライフスタイル本」で、1冊目も特に服のことが中心というわけではなかったが、この2冊目はパリ留学でフランス流のライフスタイルを学んだ著者がカリフォルニアに帰り、家族との暮らしを始めてからの「頭ではわかってたけど、全然シックになれないじゃん!」というところからスタートし、日常にほんの少し工夫をするだけでぐっと気分良く、素敵に暮らすことができるアドバイスをする内容になっていて、より生活感があって身近に感じられる。個人的には1冊目より面白く読めた。

その中で、ぐっと来たのが上記のフレーズ。「年齢を重ねるほどシックになれる」という見出しのついた箇所に書かれている。美しく年齢を重ねる、なんて聞き飽きたと思ったり、本当にそんなことができる? と疑問に思ったりすることも多いけれど、このフレーズには「確かにそうだな」と納得させられた。

 女同士、知り合うと「何の仕事してるの?」「結婚してるの?」「彼氏は?」など、背景を質問し合う機会があるが、まれにそんな質問をするのが野暮だなと感じるような人に出会うことがある。雰囲気が素敵すぎて、「見ればわかるでしょ」と言われているように感じる人だ。「内面を美しく」と言われても、どうすれば良いか具体的にわかりにくいけれど、「過ごしてきた時間が素敵そうな人」を目指すとすると、少しは具体的かも、と思ったのだった。個人的には、自分が年齢を重ねるにつれて、若い人の顔はつるっとしていて物足りないと感じることが増えた。シワがあるほうが、「手応えのある顔」という感じがする不思議さへの回答のようにも読めた。

「フランス人は10着しか服を持たない2」(ジェニファー・L・スコット著/大和書房)

“雨宮まみ”

雨宮まみ

ライター。『女子をこじらせて』(ポット出版)で書籍デビュー。以後、エッセ イを中心にカルチャー系の分野でも執筆。近著に『東京を生きる』(大和書 房)、『自信のない部屋へようこそ』(ワニブックス)がある。

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