チャーミングで元気になれるフェミ・ドラマ、『グッド・ガールズ!』


1月21日、ウーマンズ・マーチに世界中で続々人が集まりました。大勢がピンクの猫耳キャップをかぶって、思い思いのプラカードを持って、あのカラフルでユーモアのある感じにも元気づけられましたね。配信中のドラマ『グッド・ガールズ!~NY女子のキャリア革命~』も、タイトルにあの感覚をちょっと残せばよかったのに、と思うのです。原題は『Good Girls Revolt』。Revoltは「反乱」「暴動」みたいな意味で、職場で抑圧されていたアメリカの女性たちが訴訟を起こした実話を元にしています。歴史用語っぽく訳すと「1970年ニューズウィーク女子の乱」って感じでしょうか。

雑誌『ニューズウィーク』では当時、記事を書くのは男性で女性はそれをサポートする調査員、と分担が分かれていました。そこに疑問を投げるのがグレース・ガマー演じるノーラ・エフロン。のちに映画界に入るノーラ・エフロンはキャリア当初は記者でしたが、話はそれよりさらに前、彼女がニューズウィークで記事を書こうとして却下され、「こんなところじゃ働けない」と見切りをつけるところから始まるのです。

以前取材で会ったノーラ・エフロンが、周りをじっと観察するように見ていたのを思い出します。あの冷静で知的な雰囲気をメリル・ストリープの娘、グレース・ガマーがうまく演じている。「私、文章と料理について冗談は言わないわ」というセリフもかっこいい! とはいえドラマの主人公はノーラではなく、彼女が去った後もニューズウィークで働く女性たち。それぞれ考え方も境遇も違う彼女たちがだんだん「本当にやりたいこと」に気づき、グッド・ガールの殻を破り、団結して訴訟を起こすまでのストーリーです。

仕事だけでなく、もちろん恋やセックスでも迷ったり傷ついたり。周りの男性はただの敵じゃなく、頼もしい仲間であり、惹かれる相手でもあるからこそ話は簡単じゃない。その葛藤がよく描かれていると思います。たとえばファッションやメイクを楽しみながら、同時に「どうして毎日こんなに時間をかけて身支度しないといけないんだろう?」と思うところなんかもすごくよくわかる。時代風俗が見どころですが、いま働く女性には共感できるポイントがたくさんあるはずです。



『グッド・ガールズ!~NY女子のキャリア革命~』
クリエイター/ダナ・カルヴォ
出演/ジェネヴィーヴ・アンジェルソン、アンナ・キャンプ、エリン・ダーク
Amazonプライム・ビデオにて配信中
写真:Amazon Studios

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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