『パッセンジャー』のクリス・プラットは、いまっぽい「のんびり」系のスターです




イケメンでなくていい、気が利かなくてもいい。ちょっとぼーっとしてても、のんきで明るい男の人が一番。なんて思うようになったのは、自分が歳をとったからかと思っていましたが、最近のハリウッドの男性スターにもその傾向がある気がします。ラブコメでも『恋人まで1%』(2014)のザック・エフロンより、『ブライズメイズ~』(2011)のクリス・オダウドあたりから始まる「のんびり系」が女性のハートをつかんでいるし、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)でそのクリス・オダウドからナタリー・ポートマンの愛を取り戻したクリス・ヘムズワースも、最近はすっかりオバカ系。次作のソーも完璧、そんな感じになりそうです。

で、そんな英語で言う「グーフィー」な、愛すべきボンクラの代表格がもう一人のクリス、クリス・プラット。『憧れのウェディング・ベル(The Five-Year Engagement)』(2012)ではぽっこりしていたお腹も、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)で完璧しぼられ、堂々ビッグ・スターとなりました。もうすぐ公開される『パッセンジャー』では珍しく悩める男を演じていますが、やっぱりどっかのほほんとしてるのです。

だって、何十年も宇宙船で孤独に生きる――というシリアスな設定でも、案外ゲームしたりバーで酒を飲んだり、ダラダラ過ごす時間が大半。もちろん、切迫した展開もあるんですけどね。ただ、この映画はプロットじゃないところを楽しむ映画。何より、クリスだけでなく共演のジェニファー・ローレンスともども、体力でもメンタルでもサバイバルに強そうなカップルがいまっぽいのです。この時代、男も女も相手に求めるのは「一緒にいて楽観的になれる人」なのかも。

クリス・プラットは5月に公開される続編『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』も楽しみ。これからもグーフィー路線を極めてほしいスターです。



『パッセンジャー』
監督・脚本/モルティン・ティルドゥム
出演/ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット
3月24日(金)、全国ロードショー



『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
監督/ジェームズ・ガン
出演/クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ
5月12日公開

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映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。