キャプテン・マーベルは、最強の90sロック・ウーマンだ!

©Marvel Studios 2019
©Marvel Studios 2019

とうとう公開されました、『キャプテン・マーベル』。MCU初の単独女性ヒーロー映画です。ブリー・ラーソンが演じる媚びのない女性像も、2019年的にシンプルで強いメッセージも、それに見合う出来。でもここで言いたいのは、この映画は90年代に10代、20代だった女性にもぐさっと刺さる! ということ。そう、キャプテン・マーベルがやってくるのは、90年代のアメリカなのです。

なにせ彼女の墜落地はレンタルビデオ店。他にも90年代テクノロジーをからかうギャグが連発されますが、音楽ネタも盛りだくさんです。キャプテン・マーベルが変装時に着るのはナイン・インチ・ネイルズのTシャツで、その服装に「グランジっぽいのが似合うな」とニック・フューリーことサミュエル・L・ジャクソンが一言。流れる音楽も当然、ニルヴァーナやR.E.M.など90sロックの名曲です。しかも女性シンガーの曲が多め。エラスティカ、TLC、ガービッジ、ホールなどなど!

思えば、昨年アイスランドの女性バンドと話した際、「自分が子どもの頃はカッコいい女性ギタリストが大勢いたのに、いまはいない」と言っていたのが印象的でした。もちろん、いまだってアリアナやリアーナ、カッコいい女性ミュージシャンはいくらでもいます。でもバンドという形態が少なくなって、ギターやベースを鳴らすハードなロック・ウーマン、というふうには「憧れの対象」が見えなくなってきている。キャプテン・マーベルはまたそのイメージを喚起したのかも、と思うのです。エラスティカのジャスティーンやコートニー・ラブみたいにステージで暴れ、カメラに向かってにっこりしない型破りな女性。ムーヴメントを起こしたライオット・ガール。彼女たちをこの、MCUでもめちゃくちゃに強いキャラクターに重ねてみたくなる。可愛い猫キャラも出てくるし、何度でも劇場に通ってしまいそうな一作です。



『キャプテン・マーベル』
監督/アンナ・ボーデン&ライアン・フレック
出演/ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、ベン・メンデルスソーン
全国公開中

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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