可愛すぎて胸アツ! フランス映画祭で見つけたコメディ、『愛しのベイビー』

© 2019 - Love is in the Air - Pathé Films - France 2 Cinéma - C8 Films - Les Productions Chaocorp - CN8 Productions
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今週、横浜でフランス映画祭2019が始まります。ラインナップのジャンルはさまざま、でもどれもフランスらしさいっぱい。マチュー・アマルリックにギヨーム・カネ、ジャン・ユーグ・アングラードと、男性スターが揃って「くたびれオヤジ」を演じるばかりか、シンクロナイズド・スイミングを披露する『シンク・オア・スイム』。ベル・エポックのパリを夢のように美しいアニメで表現する『ディリリとパリの時間旅行』。これから公開されるフランス映画をいち早く、来日ゲストともに観られるチャンスです。

とともに、まだ公開が決まっていない作品を目にする絶好のチャンスでもある。私はほとんど前情報もなく観た『愛しのベイビー』に、ちょっと胸熱でした。エロイーズ(サンドリーヌ・キベルラン)は三人の子どもを育ててきたシングルマザー。大変だったけれど、いよいよ末娘ジャード(タイス・アレサンドラン)が18歳になり、留学して家を出ようとする段になって、どっと不安や感傷に襲われます。さて、エロイーズは無事に子離れできるのか?

「母の愛」というのは、よくも悪くも、映画ではずっしりと重く描かれがちなのですが、ここではあくまでコミカルでキュート。娘の最初のセックスを心配したり、一緒に暮らす最後の時間をビデオや写真に残そうと頑張りすぎて、空回りしたり……どんなに自立したフランス女性でも、ときには「自分より子ども優先」となってしまうんだ、と思いました。とはいえ、いつも自然におしゃれなところはさすが。

監督は『ダリダ 甘い囁き』(16)のリサ・アズエロス。彼女を含め、多くの作品の監督が上映後のQ&Aに登壇するようです。いろんな出会いが待っているのは、やはり映画祭ならでは。関西や福岡でも作品上映があるようなので、チェックしてみてください。

『愛しのベイビー』
監督・脚本/リサ・アズエロス
サンドリーヌ・キベルラン、タイス・アレサンドラン


フランス映画祭2019 横浜 Festival du film français au Japon 2019
6月20日(木)~6月23日(日)
みなとみらい地区中心に開催(横浜みなとみらいホール、イオンシネマみなとみらいなど)
http://www.unifrance.jp/festival/2019/

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。